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一本の道 byパウル ハイ, J. シュピーリ『ハイジ』 [眠れる森の図書館]

 

一本の道  byパウル ハイ, J. シュピーリ『ハイジ』
                             *ピーターパン*


ハイジ〈上〉 
        

のどかな、古い、小さな町マイエンフェルトから、一本の小道がのびていました。

 

上記の文は『ハイジ』の冒頭の一文である。マイエンフェルトという町に主人公ハイジは叔母であるデーテと住んでいた。それはさっきまでの話であってもう違う。おじいさんにハイジを預けようとデーテが手をひいてその町を後にしたのだった。一本道を通ってアルプスの山に登っていくのだ。その道が表しているのはなんだろうか。

なぜ1本しか道がないのだろう。

私が思うにそれはハイジの進む道というのがその1本の道しかないということだと思う。両親は他界し、デーテに育てられていたけれど、その叔母がおじいさんに預けるというのならハイジにはそれ以外道はない。そこが例え大都市であろうと、山の中であろうと選択する権利すらないのだった。

ハイジに対して同情心が持てないのは本人がとても明るいからである。『秘密の花園』を読んだことのある人なら分かるだろう。彼は何事も始める前から諦めていたし、否定的であった。それに比べハイジは生命力に満ち溢れているように感じる。

『秘密の花園』の物語の始めの頃のメアリのような女の子、またメアリと初めて会ったときのコリンのような男の子は『ハイジ』の中にいるだろうか。
ハイジとメアリは非対称といえるだろう。コリンのような男の子は今のところ登場しないがペーターはディコンと同じ匂いがする。ハイジを取り巻く人で悪い人はいるだろうか? おじいさんについては素直に良い人とは頷けないかもしれない。おじいさんの過去を知ってしまえば、好印象は持てないのも分かる。けれどおじいさんはハイジを預けられることを知って、嫌だとは一言だって言っていない。『秘密の花園』のコリンのお父さんのように見るからに悪い人は一見いない。でもデーテは、「ハイジをよろしくね」と言ってこの世を去った姉の頼みを放棄しているではないか。デーテが病気になってハイジの面倒がみられないというのなら納得できるが、フランクフルトに行きたいというのはただのわがままである。それに太陽が照り付けているのにハイジに厚着をさせるところなど人間性を疑ってしまう。それでも一見悪い人はいないという錯覚に陥ってしまうのはハイジがデーテに対してもおじいさん対してもバルベルに対しても全く不快な感情を持っていないからなのだ。
ハイジには不思議な魅力がある。

ハイジは疑うことを知らない、空に浮かぶ雲を映す川のように澄み切った心の持ち主ではないだろうか。コリン以上に世間を知らない。『秘密の花園』に登場する誰よりも純粋で、まるで生まれたての赤ん坊のように感じる瞬間もある。ハイジは自分がなぜアルプスを登っているのか気付いているだろうか? フランクフルトで仕事がしたいというデーテのお荷物になっていることにハイジ自身気付いていない。ハイジを預けられておじいさんが戸惑うということすら想像しないだろう。

アルプスの自然は一体どんな所なのだろう。私は8月にスイス旅行に行くのだが今から胸を躍らせている。そこは10年という長い眠りから覚めた秘密の花園の自然を大きく越える自然があると私は考えている。私たち人間が生まれるよりもはるか昔の地球を知るアルプスの山たち。花園も自然は生きていたけれど、アルプスは自然の原石であると私は想像している。そこで暮らしてゆくハイジたちはこれからどう変わっていくのだろう。『秘密の花園』に登場する人物をさらに越える魅力ある人間になっていくのではないかと想像して私はページをめくる。

ハイジの前の一本の道がどういう道になるのか、想像して皆さんも是非もう一度本を手にとってみてください。


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秘密の花園 [眠れる森の図書館]

 
秘密の花園 The Secret Garden  by フランシス・ホジソン バーネット
                                       
*ピーターパン*

秘密の花園 『秘密の花園』で何が秘密になっているかは、きっと皆さん知っていますね。

メアリは、引き取られた先の家で10年間閉ざされたままになっていた庭の鍵を見つけ、そこで遊び、またそこを一面の花畑にしたのですが、その花園のことは秘密にしていたのです。秘密という言葉にはどこか魅力がありますね。秘密というのは人に言えないんじゃなくて、言わないんです。

幼い頃に読んだ記憶にまかせて『秘密の花園』を読むと、びっくりするかもしれません。主人公のメアリの性格があまりにひねくれているのです。やることなすことかわいげがなくて、見た目までかわいく見えません。少なくとも私にはそう見えます。

でも、物語が進むにつれてメアリは頬もふっくらし、まるで頬紅を塗ったように赤見を帯び、チャーミングな女の子へと変身していきます。まるでヨークシャーのプリンセスのように、人を惹きつける魅力を持つようになっていったのです。

『秘密の花園』には、自分の意思とは裏腹に不幸な境遇をもつ可哀相な人たちが多く登場します。メアリは何でも言うことを聞いてくれる召使いを従えているけれど、母親の頭の中はパーティーのことばかり。両親はメアリのことなど頭の片隅にもないようでした。そんな両親は、病気でメアリを一人残して早くにこの世を去ってしまいます。

メアリを引き取ってくれた叔父クレイブン氏も、最愛の妻に先立たれた悲しみに打ちひしがれています。その息子のコリンはそんな父親から愛情を注がれるはずもなく、自分の命はそう長くないと思い込み陽の下に出ようとはせず、ひたすらベッドに横たわっているだけなのです。

冷え切っていたメアリの心を温めてくれたのは、その土地で生まれ育ったディコンという男の子です。ヨークシャーから出たこともなく、ヨークシャーしか知らないのに、まるで自然界に精通しているようで、野生児と読み取る人もいるでしょう。そんなディコンとヨークシャーを駆け回わり花や鳥たちに触れるうちに、メアリの心に優しさが芽生えてきます。

人を気遣う心を備えたメアリは、今度はディコンと一緒に鍵がかかったコリンの心を開こうとするのです。最後にはメアリもコリンもクレイブン氏も皆人間らしい心を取り戻し元気になります。メアリには自分と同じような傷をもつコリン、自分にないものを持つディコンが隣りにいてくれているのです。二人とも違った魅力を持っています。コリンはメアリを理解してくれるでしょうし、ディコンはメアリが傷ついたとき癒してくれるでしょう。

二人の男の子のどちらが魅力的でしょうか? 
またメアリが好きになるとしたら誰でしょうか? 
そんなことを考えて読むのもおもしろいかもしれません。

最後のページをめくるときは、両親はいないけれどメアリがとても幸せそうに思えるのは私だけではきっとないはず。


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もう一人の主人公“ウエンディ”~J.M.バリ『ピーターパン』 [眠れる森の図書館]



もう一人の主人公“ウエンディ”~J.M.バリ『ピーターパン』
*ピーターパン*

ピーター・パン皆が知っている『ピーターパン』は無敵のヒーローのピーターパンが主人公です。
本を読んだことはありますか? 
本当の『ピーターパン』のお話は、少し違います。
実はピーターパンは実は暗い影を背負っている男の子なのです。
本にはピーターパンが家を出た理由が書かれています。
それはピーターが生まれた日に両親が、ピーターは大きくなったら何になるんだろうねと話していたのを聞いてしまったことがきっかけだったのです。
それでなぜピーターが家を飛び出したのか分かりますか? 
私の憶測ですけれど、両親のこの言葉には息子が立派な人間。つまり今でいうお医者さんとか、弁護士とか、公務員とかになって欲しいという願いが込められていると思います。でもピーターは親が望むような道は歩みたくなかったのでしょう。それで家を飛び出したのです。
でもそれだけではないんです。ピーターが家を出て、少し経ってから家に戻ってみるとお母さんの隣りには違う子どもが寝ていて、ピーターは帰るに帰れなくなってしまったというのが、ピーターがネバーランドにいる本当の理由です。

私はここでウエンディに注目しました。
ウエンディがこの物語の重要な鍵を握っています。
だって、ウエンディがいなければマイケルたちはネバーランドに留まる道を選んだでしょう。物語は、ロンドンのダーリング家に戻らなければ終わりません。家までの道のりの舵をとったのはピーターパンかもしれませんが、弟たちを導いたのはウエンディです。

ここで一つの仮説を立ててみたいと思います。
ウエンディは少女といえるのでしょうか? 
まずウエンディ、マイケル、ジョンこの三人は同じですか? 
ウエンディとマイケルのところで線が入るでしょう。
ウエンディとお母さんはどこが違いますか? 
あまり変わらないように感じます。
ウエンディはマイケル達とお母さんとどちらに近いと思いますか? 
私はお母さんに近い、大人の世界に既に一歩も二歩も足を踏み入れている子どもだと思います。けれどそれはもう子どもとは言えないでしょう。

ここで『秘密の花園』のメアリとくらべてみようと思います。彼女は自分のことしか考えていません。人が何でもしてくれると常に受身だし、何より愛するということを知らないのです。愛するということを知らなければ一人前の大人とは言えないでしょう。
ウエンディは弟のこと、自分の両親のこと、迷子たちのこと、その両親のことまでも考えられる子です。その間が愛で繋がっていることにも気づいているはずです。
こんなに物分りのいい子どもは、結構いるのでしょうか? 
少なくとも私はかけ離れているし、私の周りを見渡しても見当たりません。ウエンディは特別でしょう。
ではなぜ彼女はそんなにも早く大人の道を歩くことを急いだのでしょう。
私が思うには彼女の中に理想の父親・母親像を持っていて、ダーリング夫妻は彼女の理想と異なっていたのでしょう。だからこそよけいに早く大人になって、自分が理想とする母親になりたいと思って急いだのでしょう。
ところで、メアリとダーリング氏って似ていませんか? 
ダーリング氏も自分の事だけしか考えていないでしょう。さすがにメアリよりも若干広くは物事を見ているけれど、あまり変わらないでしょう。
ウエンディは実年齢だけが追いついていないだけで、それ以外は大人だと思います。ピーターパンとはまるっきり正反対です。彼は大人というものに幻滅して子どもでいる道を選択したのです。

物語の始まりのころ、ウエンディが見つけたのは何でしたか? 
ピーターの影です。それは紛れもない事実です。
けれど、こうは考えられないでしょうか? 
ウエンディが見つけた影は自分の心の内に秘めている、押し殺している自分の影だと。
彼女は子どもでいたいという気持ちもあるけれど、大人になろうとしている。
ピーターは大人になりたいと思う気持ちもほんの少しはあるかもしれないけれど、でも子どもでいることを選んだ。

この物語はピーター一人では成り立たないのです。ウエンディがいて初めて成り立つのです。

最後にもう一度最初の疑問を振り返ってみましょう。
ウエンディは少女だといえるでしょうか? 
言えないと言っても過言ではないでしょう。
自分はネバーランドから帰らなくてはいけないと思うことに気づくのはもう大人の証拠なのです。
この冒険を最後にきっとウエンディは迷うことなく大人になったと思います。

 


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「ひげの色の意味とは?」~シャルルペロー『青ひげ』 [眠れる森の図書館]

「ひげの色の意味とは?」~シャルルペロー『青ひげ』          
 *ピーターパン*

ペローの青ひげ今回は、ペロー童話集の中にある『青ひげ』を紹介したいと思います。

昔々、お金持ちなのだけれど青いひげを生やした男がいました。
物語は、彼が隣人の美人姉妹に求婚したところから始まります。彼にはこれまで6人の妻がいましたが、みな行方知れずになっていました。初めは噂や評判から警戒していた姉妹も、次第に彼に心許すようになり、妹が彼の妻になりました。

ある日、彼は妻に鍵を渡して「どこにでも入っていいが、小部屋には絶対に入ってはいけない」と言って外出しました。
しかし妻はその扉を開け、青ひげの先妻たちの死体を見てしまう。約束を破ったことに気付いた青ひげは妻を殺そうとするが、兄によって青ひげは殺され、妻は青ひげの遺産を手に入れお金持ちになるという話です。

男のひげはなぜ青かったのでしょう? 
青いひげは男を幸せにしたのか? 
それとも不幸をもたらしたのか? 

私はひげが青いからこそ女性が多く寄りつき、結果彼を不幸にしたのだと考えています。
多くの女性が、初め青いひげに不快な感情を抱いたのにも関わらず、男は何人もの女性と結婚している。

ではひげの色が青かったことは功を奏したのか?
男が何度も結婚をしていて、その妻たちがどうなったのか分からないので、警戒心を持っていたはずの女たち。金に糸目をつけない彼の暮らしぶりは、男の過去を忘れさせてしまうのだった。贅沢三昧な暮らしは、ひげが青いという問題を覆してしまうほど、女性にとっては魅力あるものなのだろう。
結局のところ、ひげは青い色でも何の色でも女性にとって問題ないのではないだろうか?
ひげは青くても緑色でも紫色をしていても多分物語の結末は変わらないだろう。

この物語が書かれたころの時代は、女性が思うように自由に働けなかった。結婚しなければならないという風潮の中、ならば出来るだけ裕福な暮らしをしたい、というのが女性の本心であって、男のひげの色よりお金の方が大切だったのだろう。

“青ひげ”が留守にするとき、なぜ鍵を置いていったのだろう?
見られては困るのなら小部屋の鍵を持っていけばよかったのに、そうしないのはそれに意味があるのだ。彼はわざと鍵を渡して妻を試していたのだろう。彼が求めていたのは従順な家臣のような妻だったのだ。
本の教訓に『好奇心は数々の後悔を招くのが常』と書かれている。昔は好奇心というのは求められるものではなかった。しかし私は生を受けこの世に産み落とされて今日まで好奇心が人生のベクトルになっている。確かに今回の事件は妻の好奇心から起きたことかもしれないが、しかしそれ以前に男の行動こそ深くじっくりと議論することではないだろうか。 

なぜ"青ひげ"は妻たちを殺してしまったのだろうか?その答えこそが男のひげが青かったことと密接に関係しているのではないだろうかと思った。
彼は金に物を言わせて女を自分のモノにしてきたけれど、初対面の時に女たちが彼にとる態度が、“青ひげ”の心を傷つけ徐々に蝕んでいったのだろう。金につられて結婚した女は、実際の彼を愛していたのではない。そのことを“青ひげ”は気付いていたのだろう。気付いていて女を妻として迎え入れる。それなのに、妻となってからも扉を開けてしまったりして言うことをきかない女たち。“青ひげ”はそれを許すことができずに殺してしまうのだ。

ひげの色が何色でも、女たちが彼を傷つけることに変わりはないだろうが、彼のひげの青色は女性に裏切られた“青ひげ”の気持ちの表れかもしれないと思いました。

みなさんも、ぜひこの作品を読んで青の色のひげの意味を考えてみてください。

 
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眠れる森の図書館 もういちどひらく、あの絵本 [眠れる森の図書館]



レポーター ピーターパン

子どもの頃に読んだあの絵本。手にとってみれば、鮮やかによみがえる空想のプリンセス
私と一緒に、絵本の森でもういちど、あのころのプリンセスに出会ってみませんか。

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