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十二月大歌舞伎鑑賞記 ~夜の部①~ [歌舞伎座日記]

 最悪のコンディションのなか、行ってまいりました『十二月大歌舞伎』夜の部。
 早いものでもう12月。
 今年の歌舞伎鑑賞も、残すところあと2回と相成りました。

 “最悪のコンディション”というのは、仕事で徹夜→午前様つづきだったのです。戦わずして その結果はわかっていたものの、やはり挑まねばなりません。
 なんてったって、今月は勘三郎のみならず玉三郎まで出演するのだからッ!

 初戦は『恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな)重の井』。
 丹波国の大名・由留木家の息女 調姫は、関東の大名・入間家へ輿入れすることになっているのだが、東国へ下ることを嫌がっていた。そんな調姫の機嫌を直そうと、乳母の重の井らは門前で馬子が遊んでいる“道中双六”なるものを見せるため、馬子を招き入れる。
 三吉と名乗る馬子の説明が終わったあと、一同はさっそくゲームをはじめることに。おのおの自分の「しるし」(コマとなるもの)を出し合う。調姫は扇、奥家老の弥三左衛門は眼鏡の鞘(メガネケース)、そして10名ほどの腰元たちは……

みんな懐紙。そろって真っ白。わかんねぇ!
全然「しるし」になってねぇー!!

 しかも賽をふれば「姫様、さすがでございますぅ。“6”が出ましてございますぅー!」と調姫 トップを爆走。ほかの人は、ほぼ“1”。出ても“3”。コマを動かすのは七之助扮する腰元の若菜なのだが、おなじ場所にしるしをモリモリと重ねていく「おい、いまのは“3”だと言っておろう?」と思うのだが、“1”と目されるマスに積み重なっていく懐紙。ついには2巡目も姫は“6”を出し、あがり。「あがっちゃうのかよッ?!」と三村ばりのツッコミを飲み込む。
 結局、それで気をよくした姫様は「はやく東国へ行きたいわいなぁ~」などと言い、「よっしゃ!気の変わらぬのうちに!」とばかりに、みな一斉に出立の準備を始める。いつの世も姫は移り気。

 その後、馬子の三吉がじつは重の井がむかし産み落とした実の子であることが発覚するのだが、諸事情があったにせよ、自分の子が身分卑しい馬子とあっては調姫の名に傷がつくとして、「いまでは母でも子でもない」と突き放すのだった。わが子を留められない重の井と、やっと見つけた母親と暮らすことのかなわぬ三吉の悲運が涙を誘う……のだが、私が「おぉ、やっぱりさすがだなぁ」と思ったのは、福助さんの扇さばき。閉じた扇を“バッ!”とひとふりで全開にする、アレである。これをやらせたら福助さんの右に出るものはいない!と、私は固く信じている次第だ。音といい、見事な開き具合といい、「天晴れじゃッ!!」(←『野田版 研辰の討たれ』での決めゼリフ。もちろん扇全開)

 親子の悲しい行く末に涙を誘われないなんて薄情だ?……だって、やりとりの大半寝てたんですもの。福助さん、児太郎くん、すみません。でも、すばらしい演技でしたよ。となりの母が泣いてましたから。どうかそれで許してください。
 というわけで、初戦は大敗……

 第2戦、3戦については、またあらためて。

 あ、そうそう。1階の売店で銀座鹿の子の「ゆであずき」が復活してました。
バンザイ!(くわしくは七月大歌舞伎の記事をどうぞ)


 それではまた。
 Have a wonderful day!!


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吉例顔見世歌舞伎鑑賞記 ~昼の部~ [歌舞伎座日記]

 吉例顔見世歌舞伎の昼の部を観てきました。

やっぱり染五郎はいいッ!

 そしてその父もステキですッ!言わずもがな、幸四郎さんですが。いやぁ、お父さんについては初めてそう思いましたねぇ。

 『文七元結』で染五郎さんが文七を、幸四郎さんが長兵衛を務めました。
 父・長兵衛の酒と博打が原因で諍いが絶えない両親を見かねた娘のお久は、自ら吉原へ身売りに行きます。その金でなんとか心を入れ替えて、昔のように働きに戻ってほしいと懇願するのです。
 なんという孝行娘なのだろう……体を売ってまで家族の平安を願うとは。ムリムリ。

 その金を懐に入れた長兵衛は、川に身投げしようとする若い男に出くわします。聞けば、出入りの屋敷で集金してきた金をすられたのだというではないですか。娘の身代金が50両、男がすられた金も50両。懐に手を当てて思いなやむ長兵衛。うーんうーん。

 そのなかで、

「おい、おまえ。親戚なんかに借りられないのかっ?」
「幼い頃にふた親を亡くし、天涯孤独の身の上でございます…いいんでございます。私がひょいっと死ねば済む話でございます」

 なんて掛け合いがあるんですね、笑いを交えながら。この軽妙なやりとりがなんとも言えず素晴らしい。単に親子だからというのではなく、巧い役者同士の見事な競演です。

 このあと長兵衛は「俺はこれから頑張れば娘を身請けできるけれども、こいつは今この金がなければ死んでしまう」と、文七に50両を手渡します。その出所を知った文七は頑なに拒むものの、金を投げつけ立ち去っていく長兵衛。
 「死ぬんじゃねぇぞー!いいか、絶対に死ぬんじゃねぇぞーっ!」と、いつまでも叫びながら。

 泣ける…
 たまたま通りがかりに出くわしただけの、見ず知らずの男に50両。しかも、ここまで気にかけるわけですよ。今はなき、江戸っ子の義理人情ですな。できませんよ、フツーはね。
 花道をはけたあとも響く「死ぬんじゃねぇぞーッ!」の声。“迫真の演技”って、こういうことをいうんだなと実感しました。
 だてにラ・マンチャしてないっス。うんうん。ドン・キホーテ万歳。
 俊寛を演じた時の同じようなテンションで発せられた「ぅおーい、ぅおぉぉぉぉーいッ!!」は女々しいわッ!と思ったのですが、今回はいいっ!!すごーくいい。
 平成中村座で勘三郎さん(当時は勘九郎)のやった長兵衛を観て『文七元結』が好きになったんですけど、今回の幸四郎さんの長兵衛は本当に素晴らしかったです。

 あ、でもやっぱり“親子の情”があるからこそ、あの芝居になったのかもしれないな。ふと、そんな気がしました。
 巧い役者+親子の情=真に迫る人情噺、かな?
 なにはともあれ、とてもいいものを観せていただいて大満足。染五郎さんにすっかりヤラレた吉例顔見世だったのでした。


 そうだそうだ、もうひとつ。いちばん最初にあった『息子』。
 9年前に上方へ修業へ出た息子と父が偶然に再開するものの、お互いにそれとは気づかずに話をするふたり。
 息子が立派にやっていると信じてその帰りを待つ父と、いかさま博打をして捕吏に追われる身の息子。
 話の途中で目の前にいる老爺こそが自分の父であると気づくが、息子はそれを打ち明けられない。結局、自らの素性を明かせぬままに追っ手から逃げるために立ち去ることになるのだが……

って、わかるだろ?家族の顔くらい。

 だって、19歳で家を出てるんですよ?この息子は。
 生後間もなく生き別れになったのならともかく、当時すでに二人とも充分に大人じゃないですか。そんなに顔は変わらんて。とくにおトン。
 筋書にも、「正宗白鳥は『九年ぐらい会わなかった実の親が子の顔や声を忘れるのはおかしい』と疑問を呈しているが…」とある。
 まったくもって、そのとおりだ。白鳥さんに3000点 、さらに倍ッ!だ。
息子の帰りを心待ちにしていながら、わざわざ上方から親を探しに帰ってきながら、その大失態はナニゴトか。
 鼻息を荒くして、異議を申し立てたい。しっかりした親子関係を築け。


 とまぁ、こんなところで、それではまた。
 Have a wonderful day!!


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吉例顔見世大歌舞伎鑑賞記 ~夜の部②~ [歌舞伎座日記]

 吉例顔見世大歌舞伎、夜の部最後は『大経師昔暦』です。


 「おさん・茂兵衛」として有名な演目ですが、そのすじはと言いますと…

 実家の岐阜屋が金策に困っていると母から聞いたおさんは、夫・以春が吝嗇(りんしょく・ケチってことですね)なため金策を手代の茂兵衛に頼んだ。茂兵衛はほろ酔い機嫌も手伝って二つ返事で引き受けるが、金があるわけはなく、以春の印判で金を借りようと思いつく。ところが、それを同僚の助右衛門に見つけられ大騒ぎになる。茂兵衛を慕う女中のお玉の自分が茂兵衛に借金を頼んだと名乗り出るが、事態はますます悪化する。実は以春も助右衛門もお玉に横恋慕していて、嫉妬が憎悪を増幅したのである。
 (中略)夫が毎夜お玉の部屋に忍んで来ると聞いたおさん(①)は、夫を諌めるためにお玉と入れ替わる。そこへお玉の思いに報いるため茂兵衛が忍んで来た。それが思わぬ事態を生んでしまう(②)。

 以上、筋書からの抜粋でした。


 暦の出版を商っている大店の主人である以春と番頭の助右衛門は、ともに女中のお玉に思いを寄せるが、お玉は手代の茂兵衛に好意をもっている。それがすべての根本となっているのだが、物語全体にそれはもうツッコミどころが満載!

 まずだが、女中お玉が主人の妻であるおさんに「旦那が夜毎、私の部屋にやってくるんです…よよよ…」とポロリよろしく泣きながら打ち明けるのだが、打ち明けられんだろッ!フツーは。
 だって「あなたの夫が、夜な夜な私の寝間に忍び込んでくるんですよぅ」と本妻に言いますかっ?! しかも、自分が勤めるお店の主人の妻。
 それに対して、妻は妻で「えぇ~っ!」と驚きつつも、「主人はきっと今夜もやってくるに違いないから、入れ替わっておいて恥をかかせてやりましょう」といたって冷静に提案をする。
 怒ってはいるみたいなんですが、でもそんなもんなんでしょうかねぇ?江戸時代の夫婦関係というか、色恋は。

 その夜、おさんが寝ているお玉の部屋に茂兵衛が忍び込んでくる。もちろん、そこにはお玉が寝ていると思って。自分を庇ってくれたお玉に礼を言い、かねてから自分に思いを寄せていてくれたお玉の思いに応えようと、体を重ねるわけですな。っが、しかし!そこに寝ていたのは、夫を懲らしめようと入れ替わっていたおさん。つまり、期せずして不義を働いてしまうわけです。たしかに思わぬ事態ですな()。

 でも、おかしいとは思いませんか!茂兵衛はともかく、おさんは布団に入ってきた男が自分の夫かどうか、いくら江戸の夜が暗いといえどもわかるだろう。声とかさ。
 しかも布団にすべり込む前に「お玉、今日はありがとう」みたいなことを言っているわけだし。
 わかれよ、おさんっ!!

 事が済んだあとで不義を働いたことを知ったふたりは、驚き、うちひしがれる。茂兵衛は取り返しのつかないことをしてしまったとして、死んで申し訳を立てようとするが、おさんは「死ぬなら自分もいっしょに…」とこれを押しとめ、ふたりは共に家を出る。
 そこに、月灯りに映し出されたふたりの影が物干しの影と重なり、あたかも磔に遭っているかのように壁に浮き上がった。それを見て、お互いの行く末を暗示されたかのように思い、「あぁッ…」と嘆き合うのだが。

 あのぅ、非常に申し上げにくいことなのですが、
黙ってそれぞれの寝床(部屋)に戻ればよかっただけなんじゃあ…
 
たしかに不義は働いてしまったけど、そのことは二人の胸にしまって、そ知らぬ顔して日々を過ごせばいい話じゃないんですかね?「昨日は夫はやって来なかったわ。ギャフンと言わせてやりたかったのに。ぷんぷん」とかって言ってれば、それで済んだんじゃないかと思うんですけど…
 しかも影を見ただけで「あぁッ…」と嘆くだなんて、江戸人はなんてナイーブなんだ。それが美しくもあるんですけどね。
 最後にこういう場面をもってくる近松は、さすがだと唸らずにはいられません。物干しの影と重なって磔に見えるだなんて、現代人ではなかなか思いつかないことですからね。こういう繊細さは好きです。

 でも、ね。

 この物語で誰がかわいそうって、絶対的にお玉ですよ。思いがようやく通じそうだったのに、恋焦がれていた茂兵衛はワケもわからず主人の妻といなくなり、きっと妻がいなくなった以春からはこれまで以上に言い寄られるにちがいない。うぅ、かわいそうだ…

 あ、でももしかしたら、裕福な以春の後妻におさまって幸せに暮らしていくかもしれないな。だとしたら、あながち「かわいそう」でもないか。むしろうらやましいぞ。大店の後妻。最近かなり本気でそういうポストにあこがれる。疲れてんだな、私…。

 それはともかく、なんかスッキリしない終わり方だったなぁ。それは私が現代人だからかもしれないけど。うーん、うーん……
ともあれ、今回もたのしい歌舞伎鑑賞でした。つぎは「錦秋特別公演」です。待っててね、中村屋!

 それでは、また。
 Have a wonderful day!!

 

※10月22日付の「やっぱり中村屋」の記事がプログラミングの問題できちんと表示されていませんでしたが、アップしなおしました。よろしければ、そちらもどうぞご覧ください♪


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吉例顔見世大歌舞伎鑑賞記~夜の部①~ [歌舞伎座日記]

 ひと月ぶりに歌舞伎を観てきました。
 いやぁ、やっぱりおもしろいです。

 夜の部、最初の演目は『嬢景清八嶋日記より 日向嶋景清』。
 松 貫四こと、中村吉右衛門さんの演出です。
 いままで全然思わなかったのですが、吉右衛門さんと松本幸四郎さんはやっぱり兄弟ですね。そっくり。
 今回の吉右衛門さんが演じるのは、島流しになった平景清。
 この風貌が、「俊寛」にそっくりなのです。衣装といい、カツラといい。
 そのせいもあるんでしょうが、以前 幸四郎さんがやった俊寛とうりふたつでビックリしました。
 声の感じも沖をいく舟に叫ぶさまも、本当によく似てる。
 「あぁ、やっぱり兄弟なんだなぁ…」と強く感じた舞台でした。

 つぎは『鞍馬山誉鷹』、中村富十郎さんの長男・大くんの披露狂言です。
 中村大くん 改め 初代中村鷹之資さんとなりました。
 ちゃんと足をあげたり見得を切ったりしていて、なんともほほえましい。
 でも、この演目でいちばんの注目はここではありません。
 最後は出演者が口上の時のようにご挨拶をするんですが、ここで幹部俳優を代表したのが雀右衛門さん。
 私は雀右衛門さんが出てくると、いつも「ダイジョウブかっ?!」とつい声を出してしまいます。だって大正9年生まれですよ?御年85歳ですよ?!
 もう、いろんな意味でドキドキしちゃう…本日も然り。
 その披露狂言だというのに、ご挨拶の最初の部分で「中村大 改め 中村………」

「すわっ!もしかして、名前わすれた?!」

 ビミョーな間のあとに「鷹之資の…」と続けてましたけど、あれ絶対忘れてたよ。そんでもって、後ろにいた黒子さんがおしえてたよ。
 だって常盤御前に扮する雀右衛門さんの着物の裾を整えたあとも、ずっとそのまま控えてたもん。普通なら直し終わったらすぐササッとさがるのに。
 絶対にそうだよー、おしえてもらってたよーぅ。
 でも、そんな雀右衛門さんが好き。これからもいっぱいドキドキさせてください(笑)。

  続きまして、松本幸四郎・染五郎親子による『連獅子』です。
 いやぁ、カッコよかった~…ほぅ (←ためいき)
 テレビで見る染五郎さんには大した感慨はないんですが(失礼)、歌舞伎の舞台になると、ビンビンにそそられます。同じ現象は橋之助さんにも起こるのですが。
 それはともかく、今日はかなり針が振り切れそうでした。
 『連獅子』の装束って、それだけでカッコいいじゃないですか。これだけでもたまらんのに、あんなに勇ましく毛を振られた日にはもう、ねぇ?
 グイングインと毛を振る姿に胸がキュンキュンして、あやうく大向こうから
結婚してくれーッ!」プロポーズしそうになってしまいました。
 妻がいようが、隠し子がいようが、そんなことはカンケーないッ!(←個人的にちょっと流行っている)

 それはさておき、親子競演というのはおもしろいですね。
 幸四郎さんと染五郎さんの対照が際立って、非常に興味深かったです。
 幸四郎さんは足腰が根を下ろしているかのように動くことなく、しなやかに毛を振る。
 これに対して染五郎さんは重心を前後に移動しながら、力強く毛を振っていました。
 若さと熟練の技とを比べて見られて、ほほぅ…と。
 染五郎さんはこれからどんどん、幸四郎さんのような巧さを身につけていかれるのでしょう。しかしながら、いまの力強さも持ち続けていってほしいなと思います。
 やっぱり『蝉しぐれ』、観にいこうかなぁ。

 夜の部にはもうひとつ、最後に『おさん 茂兵衛 大経師昔暦』というのがあるんですが、これがもう見どころ満載で。
 とてもじゃないですがサラッとは書けませんので、またつぎに回します。
 うぅ、おもしろすぎる……

  ともったいぶったところで、それではまた。
 Have a wonderful day!!


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やっぱり中村屋 [歌舞伎座日記]

 今月は歌舞伎座へ出かけなかったので、今さらながら八月納涼歌舞伎の感想を。当時は時間がなくて書けなかったため、ちょうどいいのでアップします。

       
       【8月のラインナップはこんな感じでした】

 

 「中村屋人気は別格だなぁ…」

 ということを強く感じさせた舞台でした。8月の歌舞伎座には襲名披露以来、ひさびさに勘三郎さんが登場。おそらくそのせいでしょう、チケットが完売するのもいつもに比べて早かったし、一幕見を求める列も長かった。炎天下にもかかわらず、たくさんの人が並んでましたもんねぇ。その時点で「う~ん、さすがだなぁ」と。

 しかし、本当にそれを再確認したのは、昼の部の第一部「祇園祭礼信仰記 金閣寺」でのこと。勘三郎さんは狩野之介信直という、登場時間わずか2~3分の役どころです。にもかかわらず、舞台に姿を現した途端、客席からは他のどの役者さんが登場したときよりも大きな拍手が沸き起こりました。言ってみれば、“端役”のようなものなのに。勘三郎さんの圧倒的な人気を見せつけられた瞬間でした。当代きっての人気役者って、まさにこういう人のことをいうんですね。

 第三部は串田和美さん演出の「法界坊」。やっぱりおもしろい!そして、わかりやすい。歌舞伎が江戸時代の大衆演芸(現代劇)だったということを、肌身で感じました。野田秀樹さんの演出のときもそうなんですが、お客さんのことを本当によく考えて作っているなぁ、というのが伝わってきます。はじめて歌舞伎を観る人でもまちがいなく楽しめる。チケットの値段はともかくとして、まったく敷居は高くない。イヤホンガイドもいらないだろうし。コレですよね、中村屋(勘三郎さん)が人気のワケ。単純明快。おもしろいから、ちゃんとわかるから、観に行きたくなる。お客さん思いの舞台だから。

 

       
      【法界坊人形。うーん、アバンギャルド…でも、なんかかわいい】

 

 もちろん、ほかの役者さんや演出家のかたがお客さん思いじゃないなんて思っていませんよ。そうじゃなかったら、毎月なんて観に行きません。でも、勘三郎さんはそれが飛び抜けているというか。もしかしたら、「先駆者」だから挑戦しやすいのかもしれませんが。周りの認識もあるだろうし、勝手もわかってたりするから。でも、歴史ある歌舞伎の世界であたらしいことをするのって大変なんだろうなぁ。そういう点でも、やっぱりすごいんだな。うんうん。いままで歌舞伎を観たことがない人まで巻き込んじゃうんだから。

 それと、八月納涼歌舞伎で思ったことがもうひとつ。これまた中村屋さんネタですが。勘太郎さん、相変わらずいいですねぇ…本当に、どんどんよくなる。第一部の「雨乞狐」で野狐を務めたのですが、もう踊る踊る。それがまた、えらい軽やかなんですよ。その姿を見ていると、
あぁ、一緒に踊りにいったら、さぞ楽しかろう…」
なんて思っちゃったりして。踊れないんだけど。クラブとかにいっしょに行ったら、絶対に楽しいね。まちがいない。まぁ、そんな日は、悲しい哉、やってこないだろうけどな。くそぅ…

 来月は勘太郎さんと七之助さんの「錦秋花形歌舞伎」へ行ってきます。巡業だから会場もそんなに大きくないので、ひさびさに近場で観られるので楽しみです。いつもは遠ーくから観ているので、興奮しすぎて血管がはちきれないように気をつけねばッ!

 それでは、また。

 Have a wonderful day!!


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シェイクスピアがやってきた。~七月大歌舞伎鑑賞記~ [歌舞伎座日記]

歌舞伎座でシェイクスピア
歌舞伎座で蜷川幸雄。


【「NINAGAWA」の文字が光っています】

 最近新しい試みが続いている歌舞伎の世界に、またひとつ新風が吹き込まれました。
 灰皿投げ名人・蜷川幸雄による、初の歌舞伎の演出。
 やっぱりシェイクスピアなんですね。
 と言うよりも、「シェイクスピアをやるから蜷川さん」なのかな。

 先週の『情熱大陸』で観た方もいるでしょうが、舞台装置が非常に美しかったです。
 幕が上がると、舞台一面に置かれた鏡に観客席が映し出されます。
 そこで驚いている間に、一転して幻想的な桜が浮かび上がり、キリシタンと思われる子どもたちがパイプオルガンの音色にあわせて歌う場面に切り替わる。
 「これは本当に歌舞伎なのか?」
 そう思っているうちに白塗りの菊之介さんが登場し、スッと歌舞伎の世界に移行していきます。もう、ここからは早替わりの連続。菊之介・オン・ステージ
 菊之介さんの何がいいって、圧倒的に「声」ですね。
 若衆のときも姫のときも、透き通った声がよく響きわたります。ハリと艶の両方を持ち合わせた、本当にきれいな声。聞いていて気持ちよくなります。

 しかし、どうしても気になることがありました。
 主人公の恋敵(一方的にそうしているだけなんだけど)のひとりである安藤英竹。
 奇抜な格好をしている“阿呆”なんです。
 赤ラメのショートブーツピンクのタイトフィットパンツ、そして白と紫のボーダーソックス。そして指にはたくさんのきらびやかな指輪の数々…それはいいんです。意外とうまくはまっていたので。
 でも。でも、しかし。
 あの“阿呆ぶり”が、どうにもこうにも気になって気になって…
 「うんっ!」とか「あのね、ボクね」ってのは、さすがにやり過ぎのような。ちょっと全体のバランスや雰囲気を乱してしまっていたように感じました。
 いくら阿呆でもやはり恋敵なのだから、もう少し「節度ある阿呆」と言うか、「締まりある阿呆」を…んー、言葉にするのが難しい。とにかく、若干行き過ぎちゃったかな感が否めなかったのが残念です。

 しかし、おもしろいなと思ったのは登場人物の名前。
 原作の『十二夜』のものを、うまく日本名にアレンジしています。
 たとえば、主人公のヴァイオラは「琵琶姫」。
 オーシーノ公爵は「大篠左大臣」、オリヴィラは「織笛姫」、そしてサー・アンドルー・エーギュチークが「安藤英竹」。
 うまいなぁ。こういうの、なんか好きです。

 去年だったか、蜷川さんの『タイタス・アンドロニカス』を観に行きました。
 これもシェイクスピア作品なのですが、知人が出演していたこともあり、足を運んだんですね。
 このときも舞台装置に感心したんですが、先に述べたように、今回も色鮮やかで美しいものでした。
 常に舞台上に置かれていた鏡は「…は真実を映し出す鏡だ」という菊五郎さん扮する丸尾坊太夫のセリフにあったとおり、それを象徴していたんだと思うんですけど、肝心の「…」が思い出せない。なんてこったい。なんだったかなぁ…不覚。
 ともあれ、鏡のもつ不思議な魅力と菊之介さんの妖艶さとが非常によく合っていたと思います。菊之介さんの美しさを、より引き出していましたね。

 今回は連日の残業による寝不足と休日出勤のあとの鑑賞のため、睡魔との激烈な闘いにさらされてしまいました。辛勝です。今もまだ同じ状況下に置かれていますが、なんとかまた1冊送り出しました。この本にはけっこう思い入れもあるので、また別立てで書こうかなと考えています。今月中は無理かもしれませんが…

 そろそろ梅雨明けしそうですね。
 みなさん、お体には気をつけてください。
 暑い夏がやってくるのは、夏女としてはうれしいかぎりなのですが、その到来を感じられない環境にいることが悲しい…早く仕事を片付けたい。

それでは、また。
Have a wonderful day!!

 
【先月からお目見えした「ゆであずき」。バニラと抹茶のアイスクリームがのっています。あずきは茹でただけなのか、砂糖の甘みがなく、アイスの甘さがほどよくマッチ。定番化希望】


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橋之助に酔った夜 ~コクーン歌舞伎鑑賞記~ [歌舞伎座日記]

 行ってまいりました、念願のコクーン歌舞伎へ!
 会社、早退です。

 劇場へ足を踏み入れた瞬間、飛び込んでくるのは宇野亜喜良さんのイラストが描かれた大きな3枚のタペストリー。
 不思議な妖しさが漂わせていました。
 舞台に幕はなく、がらんとした空間が広がるだけ。薄闇の中に置いてあるセットがこれから舞台が始まるのだという興奮をそそります。

 噂には聞いていましたが、縦横無尽もいいとこですね。
 花道にある迫りから出てくるわ、客席を横切るわ、雨は降るわ…挙句の果てには、口上役のアサヒ7オユキさんが「粟津七郎ってわかる?覚えてないでしょ?」とお客さんにマン・ツー・マンで復習する始末。うらやましかったです。私は前から3列目だったので、残念ながら雨に打たれることもなく。ビニールシート、かぶりたかったなぁ。
 本当に手を伸ばせばそこにいる。役者と観客の距離が非常に近い舞台でした。どこから出てくるかわからないから、見ている側も変な緊張感があるんですね。なにか物音がするんで振り返ったりしようものなら、周りのお客さんもそっちを振り返ってしまうぐらい。先の粟津七郎を演じた七之助さんなんか、走り回ってましたからね。「また来たッ!」みたいな。ちなみに勘太郎さんも七之助さんも、すぐ後ろを通っていきましたよ。うれしい。

 そんな中でしびれさせてくれたのは、やっぱり橋之助さんでした。
 私は舞台化粧をした橋之助さんにめっぽう弱いのです。CMなんかに出ているときは、あんなに人の良さそうな、どちらかと言うと“優男”っぽいのに、舞台に立つとどうでしょう!見るからに狡賢そうな悪い男になってしまうんですね。でもそれが妙に艶っぽくて…ダイスキです!!
 化粧映えがするんでしょうかね、それも舞台化粧映え。TVの時代劇では、まだまだその艶やかさは生かしきることができていないように思います。やっぱり、あの白塗りなんだわ。思い出しただけで胸が締め付けられます。舞台上の橋之助さんを観たときは、奥さまにジェラシーすら感じる今日このごろ。
 何度か花道の迫りから急に登場する場面があったのですが、私が観にいった回では、そのすぐ隣の席にいたのは6歳くらいの女の子でした。橋之助さんが上がってくるたびにびっくりしていたようで、カーテンコールでは彼女に向かって橋之助さんが「ゴメンネ」と申し訳なさそうに笑いながら謝っていました。その姿にまたキュンキュンしちゃうわけです。釣鐘権助に完全におちましたね。はぁ…ため息もの。

 総括すれば、ものすごく前衛的な薫りがしました。
 それは「やはり」と言うべきか、前評判どおりであり、イメージとしてもっていたものではありましたが、聞くのと実際に目の当たりにするのとでは非常に開きがあったように感じます。
 その「前衛」感をじつに効果的に演出していたのは、先述の宇野亜喜良さんのイラストに尽きます。歌舞伎を描いた絵というのは、その大半が浮世絵であると思います。世の中の人のイメージもそうなのではないでしょうか。歌麿や豊国、そして写楽。この強いイメージと概念をひっくり返したのが、今回のイラストです。
 幕には宇野さんによって描かれた登場人物が並んでいたのですが、これがかっこいいのなんのって。まさに「かっこいいとは、こういうことさ」です。ジェームスディーンが描かれるようにして、桜姫や清玄が描かれている。こんなにかっこいい描かれ方をした歌舞伎の絵を、私はいまだかつて見たことがありません。
 「コクーン歌舞伎」と「宇野亜喜良」のアングラ感が最高のかたちでマッチした、非常にエキサイティングな空間が生み出されている。そこに身をおいて芝居を観る幸せを感じた、そんな夜でした。

 日本の伝統芸能である歌舞伎に“前衛的”という形容は矛盾しているように見えます。しかし、それを現実のものにしているのがコクーン歌舞伎です。伝統を重んじながらも、上手にそこを逸脱していく新しさ。この先、もっともっと進化していくことは、まず間違いないでしょう。
 古と今、そして未来が絶妙に混在している歌舞伎の世界からは、とてもじゃないけど視線を外すことができません。歌舞伎狂いはますます加熱の一途をたどることになりそうです。

 それでは、また。
 Have a wonderful day!!

 
 これが、宇野亜喜良さんのイラスト。本当に素敵です。
 後で知ったことなんですが、これは撮っちゃいけなかったそうです。
 ごめんなさい……


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いぶし銀の巧さに惚れる ~六月大歌舞伎鑑賞記①~ [歌舞伎座日記]

 うまい役者を見るというのは、なんて面白いことなんでしょうか!
 六月大歌舞伎は「巧さ」を見せ付けられた舞台でした。

 先月までの華やかな襲名披露が終わり、少し落ち着いたかのように見える歌舞伎座。
 毎月のように歌舞伎を見るようになってまだ日も浅いので、今までわからなかったものがいろいろと見えてくるようになりました。
 そのひとつが、冒頭に述べた役者の巧さです。

 特に唸らされたのは、片岡秀太郎さん。
 「うわぁ、うまいなぁ…」
 と、つい言葉が漏れてしまいました。もう、そのものなんですね。演じてらっしゃる、役そのもの。  老女や中年の女性にしか見えないわけです。
 言葉の足らなさがもどかしいのですが、本当に「うわぁ」としか言えない。
 決して派手な所作をしているわけではないのに、目を引かれる。あまりに自然で、秀太郎さんのほうに意識が引っ張られるんですね。
 歌舞伎界では“中堅”なのかもしれませんが、その円熟した演技にはドキドキさせられます。

 そして、染五郎さん。
 私は本当にこの方を舞台で観るたびに感嘆の声を上げてしまいます。
 今回は『恋飛脚大和往来』のご存知「封印切」、亀屋忠兵衛です。
 八右衛門の憎らしいほどの悪口雑言を堪えて、堪えて、でもついに堪えきれずに預かり金の封印を切ってしまう――その葛藤しているさま、そして封印切をしてしまったことの絶望を浮かべた表情がなんとも言えない男の哀しさを表していて、それが観ている人間に強く伝わってきます。切ない。
 以前にも書いたように、私は現代劇を演じているときの染五郎さんにはあまり訴えかけられるものがないのですが、歌舞伎の舞台に立っているときの彼からは、ひしひしと感じるものが多々あります。そういう意味で、「彼は生粋の歌舞伎役者なのだなぁ」なんて勝手に思ったりして。素敵です。

 この六月大歌舞伎で一番楽しみにしていたこと。
 それは中村吉右衛門さん。
 子どもの頃から、なぜだか吉右衛門ファンなのです。
 一時期は「娘になりたい!」とかなり本気で思っていました。
 ちなみに好きなハリウッドスターはショーン・コネリーです(イギリス人ですけど)。
 だから、吉右衛門さんを舞台で観られることがうれしくて仕方ありませんでした。
 『素襖落』の太郎冠者、本当に酔っ払っているんじゃないかと思うような演技。もしかしたらジャッキー・チェンの酔拳を超えるかも。かも。
 そんな感じでした。
 これは余談ですが、どこか幸四郎さんと似てますよね。声が似ているのかな。舞台化粧をすると、素顔のときよりも似ている気もしますし。やっぱり兄弟だなぁ、なんて思いました。

 まだまだ書きたいこと、あるんですよね。
 偶然にもここで書いたのは昼の部のことだけですので、夜の部のことはまた別立てにしよう。そうしよう。
 そして、前回まで歌舞伎役者の方々のお名前の敬称として「丈」を使っていましたが、なんとなく自分のなかでぎこちなくなってしまうので、今回から「さん」にしました。このほうが、しっくりいって書きやすいので。 

 今月はいっぱい更新しようと思っていたのに、あまりに仕事に追われすぎて公演中に眠りに落ちそうになることもしばしば…来月半ばまではこんな状態なのかしら。思考が停止寸前です。
 うー、あと5冊!!ちなみに今日1冊刷り上ってまいりました。そのうち画像をUPするので見てください。
 「助けてください…!」と、言葉もむなしく四谷の中心で叫んでみました。

 それでは、また。
 Have a wonderful day!!


  このお祭り感が好き

 歌舞伎座名物「あずきモナカ」。 


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『研辰』に討たれ…〔五月大歌舞伎鑑賞記~夜の部~〕 [歌舞伎座日記]

 はぁ、『研辰』に討たれました……

 待望の五月大歌舞伎 夜の部、『野田版 研辰の討たれ』です。
 襲名披露でこれがかかるとわかった時から、ずっと待ち焦がれていました。
 そして、完全に打ちのめされたのでした。

  
 《今までの襲名記念の幕の中でいちばん好き。》

 幕が開いた瞬間から、あたらしい世界に目を奪われました。
 伝統的な歌舞伎にはない舞台装置。
 布を効果的に使うことで、それまでにはない立体感が生まれています。木材で作られた「しきり」がないため圧迫感がありません。奥に向かって3つの空間がつくられていることも。
 そのため「あれ、こんなところから勘太郎丈が!」「こっちからは福助丈がっ?!」なんてことになり、どこから誰が出てくるのかわからず、こういった歌舞伎を見慣れていない者にはてんやわんやで楽しいかぎり。
 ほかにも、時の経過を表すのに回り舞台が非常にうまく使われていました。そのうえに設置された円形の橋げたを歩く(一定の場所で歩く動作をする)人物の周りを、季節ごとの情景が通り過ぎていくのです。伝統的な歌舞伎と現代演劇の絶妙なリミックス

 そして、内容はと言うと…始終笑いっぱなしです。アドリブあり、暴露あり、なんでもあり。役者衆の「キレッぷり」がいい意味で見事です。これを演じるのはさぞ楽しかろう、マチガイない。「天晴れじゃっ!!」(←福助丈扮する「萩の江」の決めゼリフ)
 どうすれば観客が喜ぶか、笑うか、楽しめるか。それが考えつくされた舞台でした。
出てくる出てくる、若手お笑い芸人のネタの数々。まさにオンパレードです。扇雀丈の波田陽区“ギター侍”にはじまり、染五郎&勘太郎の「平井ブラザーズ」によるアンガールズの“ジャンガジャンガ”、レギュラーの“あるある探検隊”、そしてインパルスの“テディベア”。「そんなことしていいのーっ?!」と思いながらも大爆笑。
 中高年のおばさま方も笑っていたので、お笑いブームのすごさをあらためて実感したのでした。ただ、インパルスのネタに笑いがほとんどなかったのはちょっと悲しかったですが……レギュラーまではお茶の間にかなり浸透しているものの、インパルスまではいってなかったんですね。ちょっとしたボーダーラインが見えました。決して、染五郎丈の座りの甘さのせいじゃないです。がんばれ、インパルス。あと一歩だぞ。

 大サービスの演出が盛りだくさんでしたが、いちばんうれしかったのはなんと言っても喜多さんの乱入!いきなり金髪の旅人が出てきたので、一瞬、何事かと思いましたが、「ぃ弥ぁ次さぁ~ん!!」と叫びながら舞台を横切る喜多さんの姿に、鼻血が噴き出そうになりました。「生で喜多さん見ちゃったよぅ!」とすぐに友人に自慢したことは言うまでもありません。いやぁ、かわいかったなぁ……恋に焦がれるオトコの姿は。いいもの見たなぁ。
 こう書くと、ハチャメチャで収集のつかないように思われるでしょうが、そこは野田秀樹。やってくれます。『野田版 鼠小僧』もそうでしたが、しっとりしんみりと締めてくれます。セリフや小道具の伏線が効いていて、「さすがだなぁ」の一言です。

 気付けばここまで一言も勘三郎丈に触れていませんでしたが、もちろん素晴らしいんですよ。周りを立てるときも、アドリブも笑わせてくれます。ちょうど獅童丈の結婚が発覚した直後だったこともあり、研辰が自分の身を嘆く場面では「世の中には結婚するってヤツもいるのによぉ」とユーモアを交えながら祝福(?)していました。もちろん観客は大喜び。
 また、わが身を追う平井兄弟に向かって命乞いをする場面では、才次郎こと愛息・勘太郎丈に「ぼっちゃん!ワタクシは坊ちゃんのこともよーく存じておりますよ。なぜだかわかりませんが、そこにいらっしゃるお兄様(染五郎丈演ずる兄の九市郎のこと)よりも存じ上げております。あなたはお優しいお方です。震度3のゆる~い地震にもかかわらず、彼女のケータイに『だいじょうぶ?』と電話するような、非常にお優しいお方です!」
 これには完全に“勘太郎”に戻って、なんともいえない表情で苦笑していた姿に笑いがもれました。あの暴露はアドリブでしょうな。きっとそれまでの公演では、またちがうことを言っていたのでしょう。ちょうど地震が何度かあったころだったので、“新ネタ”だったのだと思います。きっと、息子が電話している姿をニヤニヤしながら見ていたんでしょうね。「これはツカえる」と。勘太郎丈の素の部分と親子関係とが垣間見られて、なんだか得した気分でした。

 あぁ、いくら書いても書き足りないなぁ。いつの間にやらこんなに書いてしまいました。それだけおもしろかったということなんですけどね。
 歌舞伎と現代演劇の妙なる融合。それぞれの優れた部分が相乗効果を生み出して、素晴らしい「現代歌舞伎」ができあがっています。いまは伝統的といわれる歌舞伎だって、江戸時代は“現代劇”だったのだから、どんどん新しいことを取り入れていくのはむしろ自然なことなのかもしれません。400年ものあいだ受け継がれてきたものを守りつつ、その時々の傑出した要素も取り入れる……そして、それがまた新たな「伝統」になるのでしょう。
 これから、まだまだ歌舞伎は進化していきます。あぁ、目が離せない!!

それでは、また。
Have a wonderful day!!

 
 《今回はつまみやすそうな手まり寿司を。これまたおいしかったです。》 

              《なぜ……??》   


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中村屋のブーケなふたり。 [歌舞伎座日記]

あぁ、やっぱりしてたんですね…妊娠
おめでたいことですが、その一方で「またかぁ」と思ったり。
なんだか最近の風潮として、“結婚=妊娠”という方程式が成り立ちすぎじゃあありませんか。
つまり、「できちゃった婚」ですね。
こっちの方が当たり前、みたいな。その証拠に藤井さんと乙葉ちゃんは「堅実婚」ですよ。スポーツ新聞の結びの一文は「なお、乙葉は妊娠していないと言う」ですよ。そんなご時世ですよ。普通にいけば、こっちが順当なのに。まぁ、幸せならばどちらでもいいんですけどね。
それにしても、あの記者会見はかわいかったなぁ。なんとも微笑ましい、いいカップルで。明日のMatthew’s Best Hit TVが楽しみです♪

前置きはさておき、乙葉ちゃんの結婚であることに気付きました。
中村屋びいきの方なら同じことを思ったかもしれません。
そう、「中村屋のご子息とデートすると結婚できる」!!
TBSの人気番組『恋するハニカミ』。
この中で勘太郎丈とデートした新山千春さんに引き続き、七之助丈のお相手であった乙葉ちゃんがめでたくご結婚。
と、いうことは…?結婚したければ、どちらかとデートすればいい?
うん、きっとそう!
…でも、あの二人とデートするより結婚する方がずっと簡単だな。きっとそう、うんうん。
ただ、ちょっと言いたかっただけでした。

しかしながら、獅童丈といい海老蔵丈といい、梨園はだいぶ開かれてきたんですね。
新しい風が吹いてるなぁ。


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