十二月大歌舞伎鑑賞記 (昼の部)
十二月大歌舞伎 昼の部は、夜の部に増して悪状況での鑑賞になりました。
徹夜明け → そのまま歌舞伎座直行……そんななか行くなという話ではありますが。まあまあ。
おかげで大敗を喫するわけなんですけどね。
前回の夜の部で完敗(爆睡)した「船辮慶」が朝日新聞で絶賛されていました。
今月の演目のなかで一番の見ものだろう、と。
ちくしょう、せつなさを殺せやしない……
でも! 本当の見どころはほかにあったのですッ!!
それは勘太郎と七之助による「三社祭」。舞踊です。
ふたりの役どころは漁師、当然身につけているのは丈の短い着物(はっぴみたいな)。
姐さん、事件です! 勘太郎の足が生々しい……
七之助の足は細くて棒みたい。それにくらべて勘太郎はどうだ。
太腿がムチムチしている。
すごく太いわけではないんだけど、ふくらはぎとのバランスが悪い。
ふくらはぎに対して、明らかに太腿がボリューミィー。
幻想的ともいえる歌舞伎のフィクションの世界で、そこだけが異様にリアル。
先に書いたように、「艶かしい」ではなく「生々しい」。
体言止めを連発してしまうほど、悩ましいのだ。もちろん視線はガッツリ釘づけ。
さすがにちょっと目が覚めました。
以上。
いやぁ…「盲目物語」は気がついたときには城が焼け落ち、お市と柴田勝家が自害してました。
なので感想はといえば、すくない記憶を呼び起こした結果、
「ひどいぞ! 淀ッ!!」
くらいしかいえません。こんな今年の歌舞伎納めだなんて……。
来年はまともな環境でしっかり楽しみたいものです。
ちなみに歌舞伎初めは「新春浅草歌舞伎」、しかも席が花道のわき!!
とはいえ、この年末年始も早々に在宅勤務が決定し、危険な香りが漂っておりますが。
がんばります 。∑p(=_=) グワシッ
十二月大歌舞伎鑑賞記 ~夜の部①~ [歌舞伎座日記]
最悪のコンディションのなか、行ってまいりました『十二月大歌舞伎』夜の部。
早いものでもう12月。
今年の歌舞伎鑑賞も、残すところあと2回と相成りました。
“最悪のコンディション”というのは、仕事で徹夜→午前様つづきだったのです。戦わずして その結果はわかっていたものの、やはり挑まねばなりません。
なんてったって、今月は勘三郎のみならず玉三郎まで出演するのだからッ!
初戦は『恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな)重の井』。
丹波国の大名・由留木家の息女 調姫は、関東の大名・入間家へ輿入れすることになっているのだが、東国へ下ることを嫌がっていた。そんな調姫の機嫌を直そうと、乳母の重の井らは門前で馬子が遊んでいる“道中双六”なるものを見せるため、馬子を招き入れる。
三吉と名乗る馬子の説明が終わったあと、一同はさっそくゲームをはじめることに。おのおの自分の「しるし」(コマとなるもの)を出し合う。調姫は扇、奥家老の弥三左衛門は眼鏡の鞘(メガネケース)、そして10名ほどの腰元たちは……
みんな懐紙。そろって真っ白。わかんねぇ!
全然「しるし」になってねぇー!!
しかも賽をふれば「姫様、さすがでございますぅ。“6”が出ましてございますぅー!」と調姫 トップを爆走。ほかの人は、ほぼ“1”。出ても“3”。コマを動かすのは七之助扮する腰元の若菜なのだが、おなじ場所にしるしをモリモリと重ねていく。「おい、いまのは“3”だと言っておろう?」と思うのだが、“1”と目されるマスに積み重なっていく懐紙。ついには2巡目も姫は“6”を出し、あがり。「あがっちゃうのかよッ?!」と三村ばりのツッコミを飲み込む。
結局、それで気をよくした姫様は「はやく東国へ行きたいわいなぁ~」などと言い、「よっしゃ!気の変わらぬのうちに!」とばかりに、みな一斉に出立の準備を始める。いつの世も姫は移り気。
その後、馬子の三吉がじつは重の井がむかし産み落とした実の子であることが発覚するのだが、諸事情があったにせよ、自分の子が身分卑しい馬子とあっては調姫の名に傷がつくとして、「いまでは母でも子でもない」と突き放すのだった。わが子を留められない重の井と、やっと見つけた母親と暮らすことのかなわぬ三吉の悲運が涙を誘う……のだが、私が「おぉ、やっぱりさすがだなぁ」と思ったのは、福助さんの扇さばき。閉じた扇を“バッ!”とひとふりで全開にする、アレである。これをやらせたら福助さんの右に出るものはいない!と、私は固く信じている次第だ。音といい、見事な開き具合といい、「天晴れじゃッ!!」(←『野田版 研辰の討たれ』での決めゼリフ。もちろん扇全開)
親子の悲しい行く末に涙を誘われないなんて薄情だ?……だって、やりとりの大半寝てたんですもの。福助さん、児太郎くん、すみません。でも、すばらしい演技でしたよ。となりの母が泣いてましたから。どうかそれで許してください。
というわけで、初戦は大敗……
第2戦、3戦については、またあらためて。
あ、そうそう。1階の売店で銀座鹿の子の「ゆであずき」が復活してました。
バンザイ!(くわしくは七月大歌舞伎の記事をどうぞ)
それではまた。
Have a wonderful day!!
藤田敦史の超一流の「がんばる素質」 ~福岡国際マラソン~
待ってたよ、藤田敦史。
本当によかった。
みなさんご覧になりましたか? 今日の福岡国際マラソン。
大会前から「復活なるか?!」と注目されていたのが、冒頭にあげた藤田選手です。
学生時代はスーパースター、箱根駅伝でも大活躍。
卒業直前で挑戦した初マラソンでは、20年ぶりとなる学生マラソン記録を更新しました。
だれもが認める超一流選手だったのです。
ところが実業団に入ってからはケガに悩まされつづけ、2000年の福岡国際マラソンで優勝したあと、その姿を見ることがほとんどありませんでした(2003年の北京マラソンで優勝はしていますが)。
3月のびわ湖マラソンにも出場しましたが、それも上位入賞とはならず。
そして、5年ぶりとなった福岡のスタートライン。
彼が出場すると発表されてから、心待ちにしていました。
ついに出てくるんだ! と。
結果は日本人トップの3位。
競技場へ入る直前でかわされてしまいましたが、それまでのレース展開はかつての藤田選手の強さを彷彿させるものでした。
あの悪いコンディションで2時間10分をきったことは、十分に評価できるでしょう。
トップから遅れ 4位まで後退したものの、そこからジリジリと盛り返し、落ちてきた上位選手をひろっていく。
一時は2位にまでつけたのです。
私はこれまで、藤田選手のことを天才型のランナーなのかなと思っていました。
学生時代のすばらしい活躍の印象が強かったせいかもしれません。
しかしレース中に紹介された彼の言葉で、それが誤解だったことがわかりました。
「僕には走りの素質はありません。でも、がんばる素質だったら誰にも負けません」
ショックでした。
駅伝に出れば記録賞、チームが遅れをとっていても「藤田がいるから大丈夫」。
そんな選手が「走りの素質はありません」だなんて。
それに加え、この5年間で陸上をやめようと思ったことはないそうです。
5年という年月は長いですよ、小学生が高校生になっちゃうんですから。
これが、一流の「がんばる素質」がなせる業なのかな。
心から、オリンピックにいかせてあげたいと思ってしまう。
もちろんどの選手も必死で努力していることはわかってるんですけどね。
なにはともあれ、“強い藤田”が帰ってきつつあって、すごくうれしい。
3年後に日の丸をつけて、北京を走りぬける姿が観たい。
でもその前にニューイヤー駅伝だな。
がんばれ、藤田敦史!応援してるぞッ!!
それでは、また。
Have a wonderful day!!
上原ひろみ「Spiral TOUR」 ファイナル at ステラボール
上原ひろみ「Spiral TOUR」に行ってきました。
はじめて上原ひろみを知ったのは、とあるCD屋さんに貼ってあったポスター。
「なんかカッコイイなぁ」と、ちょうどJAZZに興味をもち始めた頃だった私は、さっそくファーストアルバムを試聴することに。
「……!!!」
衝撃的でした。
テクノともJAZZともつかない、いままで聴いたことのない音楽に魅せられてしまった。
それからしばらくして、彼女がJAZZ界の巨匠 オスカー・ピーターソンのコンサートでオープニングアクトをつとめることを知り、嬉々として出かけたのだった。
あれから2年。
上原ひろみはグレートアップしていた。
あんなに飛んだり跳ねたりしながらピアノを弾くひとを、かつて見たことがない。
比喩でもなんでもなく、本当にピョンピョンとびはねるんだから。
それがまた、かわいいんだ。
じつに楽しそうに、うれしそうに音を奏でる。
からだ全部で、顔いっぱいで表現している……そんな感じだ。
そんな彼女につられるようにして、観客もからだを揺らす。
つい動いちゃう、というのが正しいのかもしれないが。
「ジャズピアニスト」、それが彼女の肩書きだろう。
しかし今回のライブを観ていて感じたのは、上原ひろみは“acter”だということ。
役者という意味ではなく、純粋に“act”するひと、つまり「演じるひと」。
もしくは“performer”。
だから決して“actress”ではない。
彼女は曲によって、まったくの別人になる。
スポットライトに浮かぶ、首をうなだれて静かにピアノを弾くひろみ。
「どうだ、このヤローっ!」とばかりに下あごを突き出して、足を踏み鳴らすひろみ。
興奮をおさえきれないように、最後の一音をたたいたあと、勢いあまって舞台すそのほうへ走っていってしまうひろみ。
こんな簡単な言葉で形容したくはないけど、天才ってこういう人のことをいうんだろうなぁ。
そう思う。
そう思う、もうひとつの理由。
それは、彼女の曲にはストーリーが見えること。
ステージ上にいるのはピアノを弾く上原ひろみとベーシスト、そしてドラマーの3人だけ。
けれども、曲ごとに「街角で言い争いをしている若い恋人」や「紛争の最前線にいる青年」が見える。
曲の内容とは異なるのだろうが、そんな様々なひとたちの姿がはっきりと見えるのだ。
まるで映画館にいるかのように、目の前でいくつものストーリーが展開される。
それを中心でプロデュースしているのが上原ひろみだ。
そして印象的だったのは、会場全体のあたたかな雰囲気。
観客のまなざしがすごくやわらかい。
そうだな。
やんちゃな女の子がはしゃいでるのを見守る保護者たち、みたいな。
「ライブを観にきた」というよりも、「彼女に会いにきた」。「彼女と遊びにきた」というか。
そんな雰囲気が伝わったのか、アンコール終了後に彼女が発した言葉は、
「ニッポン最高~ッ!」
「日本人に生まれてよかったー!!」
同じ時代に、同じ国に、こんなにすばらしいパフォーマンスをするひとがいるなんて、私も日本人に生まれてよかったよ。
ありがとう、上原ひろみ!! またあそぼうね。
それでは、また。
Have a wonderful day!!
吉例顔見世歌舞伎鑑賞記 ~昼の部~ [歌舞伎座日記]
吉例顔見世歌舞伎の昼の部を観てきました。
やっぱり染五郎はいいッ!
そしてその父もステキですッ!言わずもがな、幸四郎さんですが。いやぁ、お父さんについては初めてそう思いましたねぇ。
『文七元結』で染五郎さんが文七を、幸四郎さんが長兵衛を務めました。
父・長兵衛の酒と博打が原因で諍いが絶えない両親を見かねた娘のお久は、自ら吉原へ身売りに行きます。その金でなんとか心を入れ替えて、昔のように働きに戻ってほしいと懇願するのです。
なんという孝行娘なのだろう……体を売ってまで家族の平安を願うとは。ムリムリ。
その金を懐に入れた長兵衛は、川に身投げしようとする若い男に出くわします。聞けば、出入りの屋敷で集金してきた金をすられたのだというではないですか。娘の身代金が50両、男がすられた金も50両。懐に手を当てて思いなやむ長兵衛。うーんうーん。
そのなかで、
「おい、おまえ。親戚なんかに借りられないのかっ?」
「幼い頃にふた親を亡くし、天涯孤独の身の上でございます…いいんでございます。私がひょいっと死ねば済む話でございます」
なんて掛け合いがあるんですね、笑いを交えながら。この軽妙なやりとりがなんとも言えず素晴らしい。単に親子だからというのではなく、巧い役者同士の見事な競演です。
このあと長兵衛は「俺はこれから頑張れば娘を身請けできるけれども、こいつは今この金がなければ死んでしまう」と、文七に50両を手渡します。その出所を知った文七は頑なに拒むものの、金を投げつけ立ち去っていく長兵衛。
「死ぬんじゃねぇぞー!いいか、絶対に死ぬんじゃねぇぞーっ!」と、いつまでも叫びながら。
泣ける…
たまたま通りがかりに出くわしただけの、見ず知らずの男に50両。しかも、ここまで気にかけるわけですよ。今はなき、江戸っ子の義理人情ですな。できませんよ、フツーはね。
花道をはけたあとも響く「死ぬんじゃねぇぞーッ!」の声。“迫真の演技”って、こういうことをいうんだなと実感しました。
だてにラ・マンチャしてないっス。うんうん。ドン・キホーテ万歳。
俊寛を演じた時の同じようなテンションで発せられた「ぅおーい、ぅおぉぉぉぉーいッ!!」は女々しいわッ!と思ったのですが、今回はいいっ!!すごーくいい。
平成中村座で勘三郎さん(当時は勘九郎)のやった長兵衛を観て『文七元結』が好きになったんですけど、今回の幸四郎さんの長兵衛は本当に素晴らしかったです。
あ、でもやっぱり“親子の情”があるからこそ、あの芝居になったのかもしれないな。ふと、そんな気がしました。
巧い役者+親子の情=真に迫る人情噺、かな?
なにはともあれ、とてもいいものを観せていただいて大満足。染五郎さんにすっかりヤラレた吉例顔見世だったのでした。
そうだそうだ、もうひとつ。いちばん最初にあった『息子』。
9年前に上方へ修業へ出た息子と父が偶然に再開するものの、お互いにそれとは気づかずに話をするふたり。
息子が立派にやっていると信じてその帰りを待つ父と、いかさま博打をして捕吏に追われる身の息子。
話の途中で目の前にいる老爺こそが自分の父であると気づくが、息子はそれを打ち明けられない。結局、自らの素性を明かせぬままに追っ手から逃げるために立ち去ることになるのだが……
って、わかるだろ?家族の顔くらい。
だって、19歳で家を出てるんですよ?この息子は。
生後間もなく生き別れになったのならともかく、当時すでに二人とも充分に大人じゃないですか。そんなに顔は変わらんて。とくにおトン。
筋書にも、「正宗白鳥は『九年ぐらい会わなかった実の親が子の顔や声を忘れるのはおかしい』と疑問を呈しているが…」とある。
まったくもって、そのとおりだ。白鳥さんに3000点 、さらに倍ッ!だ。
息子の帰りを心待ちにしていながら、わざわざ上方から親を探しに帰ってきながら、その大失態はナニゴトか。
鼻息を荒くして、異議を申し立てたい。しっかりした親子関係を築け。
とまぁ、こんなところで、それではまた。
Have a wonderful day!!
吉例顔見世大歌舞伎鑑賞記 ~夜の部②~ [歌舞伎座日記]
吉例顔見世大歌舞伎、夜の部最後は『大経師昔暦』です。
「おさん・茂兵衛」として有名な演目ですが、そのすじはと言いますと…
実家の岐阜屋が金策に困っていると母から聞いたおさんは、夫・以春が吝嗇(りんしょく・ケチってことですね)なため金策を手代の茂兵衛に頼んだ。茂兵衛はほろ酔い機嫌も手伝って二つ返事で引き受けるが、金があるわけはなく、以春の印判で金を借りようと思いつく。ところが、それを同僚の助右衛門に見つけられ大騒ぎになる。茂兵衛を慕う女中のお玉の自分が茂兵衛に借金を頼んだと名乗り出るが、事態はますます悪化する。実は以春も助右衛門もお玉に横恋慕していて、嫉妬が憎悪を増幅したのである。
(中略)夫が毎夜お玉の部屋に忍んで来ると聞いたおさん(①)は、夫を諌めるためにお玉と入れ替わる。そこへお玉の思いに報いるため茂兵衛が忍んで来た。それが思わぬ事態を生んでしまう(②)。
以上、筋書からの抜粋でした。
暦の出版を商っている大店の主人である以春と番頭の助右衛門は、ともに女中のお玉に思いを寄せるが、お玉は手代の茂兵衛に好意をもっている。それがすべての根本となっているのだが、物語全体にそれはもうツッコミどころが満載!
まず①だが、女中お玉が主人の妻であるおさんに「旦那が夜毎、私の部屋にやってくるんです…よよよ…」とポロリよろしく泣きながら打ち明けるのだが、打ち明けられんだろッ!フツーは。
だって「あなたの夫が、夜な夜な私の寝間に忍び込んでくるんですよぅ」と本妻に言いますかっ?! しかも、自分が勤めるお店の主人の妻。
それに対して、妻は妻で「えぇ~っ!」と驚きつつも、「主人はきっと今夜もやってくるに違いないから、入れ替わっておいて恥をかかせてやりましょう」といたって冷静に提案をする。
怒ってはいるみたいなんですが、でもそんなもんなんでしょうかねぇ?江戸時代の夫婦関係というか、色恋は。
その夜、おさんが寝ているお玉の部屋に茂兵衛が忍び込んでくる。もちろん、そこにはお玉が寝ていると思って。自分を庇ってくれたお玉に礼を言い、かねてから自分に思いを寄せていてくれたお玉の思いに応えようと、体を重ねるわけですな。っが、しかし!そこに寝ていたのは、夫を懲らしめようと入れ替わっていたおさん。つまり、期せずして不義を働いてしまうわけです。たしかに思わぬ事態ですな(②)。
でも、おかしいとは思いませんか!茂兵衛はともかく、おさんは布団に入ってきた男が自分の夫かどうか、いくら江戸の夜が暗いといえどもわかるだろう。声とかさ。
しかも布団にすべり込む前に「お玉、今日はありがとう」みたいなことを言っているわけだし。
わかれよ、おさんっ!!
事が済んだあとで不義を働いたことを知ったふたりは、驚き、うちひしがれる。茂兵衛は取り返しのつかないことをしてしまったとして、死んで申し訳を立てようとするが、おさんは「死ぬなら自分もいっしょに…」とこれを押しとめ、ふたりは共に家を出る。
そこに、月灯りに映し出されたふたりの影が物干しの影と重なり、あたかも磔に遭っているかのように壁に浮き上がった。それを見て、お互いの行く末を暗示されたかのように思い、「あぁッ…」と嘆き合うのだが。
あのぅ、非常に申し上げにくいことなのですが、
黙ってそれぞれの寝床(部屋)に戻ればよかっただけなんじゃあ…
たしかに不義は働いてしまったけど、そのことは二人の胸にしまって、そ知らぬ顔して日々を過ごせばいい話じゃないんですかね?「昨日は夫はやって来なかったわ。ギャフンと言わせてやりたかったのに。ぷんぷん」とかって言ってれば、それで済んだんじゃないかと思うんですけど…
しかも影を見ただけで「あぁッ…」と嘆くだなんて、江戸人はなんてナイーブなんだ。それが美しくもあるんですけどね。
最後にこういう場面をもってくる近松は、さすがだと唸らずにはいられません。物干しの影と重なって磔に見えるだなんて、現代人ではなかなか思いつかないことですからね。こういう繊細さは好きです。
でも、ね。
この物語で誰がかわいそうって、絶対的にお玉ですよ。思いがようやく通じそうだったのに、恋焦がれていた茂兵衛はワケもわからず主人の妻といなくなり、きっと妻がいなくなった以春からはこれまで以上に言い寄られるにちがいない。うぅ、かわいそうだ…
あ、でももしかしたら、裕福な以春の後妻におさまって幸せに暮らしていくかもしれないな。だとしたら、あながち「かわいそう」でもないか。むしろうらやましいぞ。大店の後妻。最近かなり本気でそういうポストにあこがれる。疲れてんだな、私…。
それはともかく、なんかスッキリしない終わり方だったなぁ。それは私が現代人だからかもしれないけど。うーん、うーん……
ともあれ、今回もたのしい歌舞伎鑑賞でした。つぎは「錦秋特別公演」です。待っててね、中村屋!
それでは、また。
Have a wonderful day!!
※10月22日付の「やっぱり中村屋」の記事がプログラミングの問題できちんと表示されていませんでしたが、アップしなおしました。よろしければ、そちらもどうぞご覧ください♪
吉例顔見世大歌舞伎鑑賞記~夜の部①~ [歌舞伎座日記]
ひと月ぶりに歌舞伎を観てきました。
いやぁ、やっぱりおもしろいです。
夜の部、最初の演目は『嬢景清八嶋日記より 日向嶋景清』。
松 貫四こと、中村吉右衛門さんの演出です。
いままで全然思わなかったのですが、吉右衛門さんと松本幸四郎さんはやっぱり兄弟ですね。そっくり。
今回の吉右衛門さんが演じるのは、島流しになった平景清。
この風貌が、「俊寛」にそっくりなのです。衣装といい、カツラといい。
そのせいもあるんでしょうが、以前 幸四郎さんがやった俊寛とうりふたつでビックリしました。
声の感じも沖をいく舟に叫ぶさまも、本当によく似てる。
「あぁ、やっぱり兄弟なんだなぁ…」と強く感じた舞台でした。
つぎは『鞍馬山誉鷹』、中村富十郎さんの長男・大くんの披露狂言です。
中村大くん 改め 初代中村鷹之資さんとなりました。
ちゃんと足をあげたり見得を切ったりしていて、なんともほほえましい。
でも、この演目でいちばんの注目はここではありません。
最後は出演者が口上の時のようにご挨拶をするんですが、ここで幹部俳優を代表したのが雀右衛門さん。
私は雀右衛門さんが出てくると、いつも「ダイジョウブかっ?!」とつい声を出してしまいます。だって大正9年生まれですよ?御年85歳ですよ?!
もう、いろんな意味でドキドキしちゃう…本日も然り。
その披露狂言だというのに、ご挨拶の最初の部分で「中村大 改め 中村………」
「すわっ!もしかして、名前わすれた?!」
ビミョーな間のあとに「鷹之資の…」と続けてましたけど、あれ絶対忘れてたよ。そんでもって、後ろにいた黒子さんがおしえてたよ。
だって常盤御前に扮する雀右衛門さんの着物の裾を整えたあとも、ずっとそのまま控えてたもん。普通なら直し終わったらすぐササッとさがるのに。
絶対にそうだよー、おしえてもらってたよーぅ。
でも、そんな雀右衛門さんが好き。これからもいっぱいドキドキさせてください(笑)。
続きまして、松本幸四郎・染五郎親子による『連獅子』です。
いやぁ、カッコよかった~…ほぅ (←ためいき)
テレビで見る染五郎さんには大した感慨はないんですが(失礼)、歌舞伎の舞台になると、ビンビンにそそられます。同じ現象は橋之助さんにも起こるのですが。
それはともかく、今日はかなり針が振り切れそうでした。
『連獅子』の装束って、それだけでカッコいいじゃないですか。これだけでもたまらんのに、あんなに勇ましく毛を振られた日にはもう、ねぇ?
グイングインと毛を振る姿に胸がキュンキュンして、あやうく大向こうから
「結婚してくれーッ!」とプロポーズしそうになってしまいました。
妻がいようが、隠し子がいようが、そんなことはカンケーないッ!(←個人的にちょっと流行っている)
それはさておき、親子競演というのはおもしろいですね。
幸四郎さんと染五郎さんの対照が際立って、非常に興味深かったです。
幸四郎さんは足腰が根を下ろしているかのように動くことなく、しなやかに毛を振る。
これに対して染五郎さんは重心を前後に移動しながら、力強く毛を振っていました。
若さと熟練の技とを比べて見られて、ほほぅ…と。
染五郎さんはこれからどんどん、幸四郎さんのような巧さを身につけていかれるのでしょう。しかしながら、いまの力強さも持ち続けていってほしいなと思います。
やっぱり『蝉しぐれ』、観にいこうかなぁ。
夜の部にはもうひとつ、最後に『おさん 茂兵衛 大経師昔暦』というのがあるんですが、これがもう見どころ満載で。
とてもじゃないですがサラッとは書けませんので、またつぎに回します。
うぅ、おもしろすぎる……
ともったいぶったところで、それではまた。
Have a wonderful day!!
「これは事件です。」
「あんたのカッコよさが事件だよッ!」
と、ボーダフォンのCMを見て思わずツッコんでしまった私。
11月1日からはじまった「LOVE定額」とやらのCM。
スーツを着た岡田くんがズンズン向かってくる、アレです。
とくに岡田くんファンではない私だが、いやはや、これにはヤラれました。
「これは事件です」という声にTVに目をやると、そこには岡田くんのアップ。
あまりのカッコよさに、「ビクッ!!」と体が震えてしまいましたよ。いや、ホントに。
尿意をもよおしたかと思ったくらいです。
でも、個人的には三枚目の岡田くんのほうがいいなと思う。
「俺はジャニーじゃなくて、テリーに選ばれたんだぜ!」
とか、
「ジャニーズだとか、アイドルだとか、そんなことはカンケーないッ!」
とか言ってる岡田くん。
ちなみに、これは先週のめちゃイケでの発言です。数取団。ミッキーしてました。
そんなもんで、『anan』とか『東京タワー』なんかの“二枚目岡田くん”はちょっと苦手。
あまりにきれいすぎて、なんだかこそばゆい。
あんな人が隣にいたら、緊張して疲れちゃうでしょ。
ま、そんなことをいくら考えたところで、それこそカンケーないけどな。
そんなことよりも、東京デジタルホン時代からのボーダフォンユーザーにもかかわらず、「LOVE定額」そのものがカンケーない現状を憂慮しなければならんだろ。
ちなみに、
この1ヶ月に挙式した友人…3人
この半月で結婚が決まった友人…3人
「しあわせ」は一体どこに売っているんですかッ?!
と嘆いたところで、それではまた。
Have a wonderful day!! (みなさんはお幸せに…)

【ボーダフォンのHPに、妙に味のある岡田くんがいました。
写真使えないんだ。やっぱりジャニーズだなぁ…】
やっぱり中村屋 [歌舞伎座日記]
今月は歌舞伎座へ出かけなかったので、今さらながら八月納涼歌舞伎の感想を。当時は時間がなくて書けなかったため、ちょうどいいのでアップします。

【8月のラインナップはこんな感じでした】
「中村屋人気は別格だなぁ…」
ということを強く感じさせた舞台でした。8月の歌舞伎座には襲名披露以来、ひさびさに勘三郎さんが登場。おそらくそのせいでしょう、チケットが完売するのもいつもに比べて早かったし、一幕見を求める列も長かった。炎天下にもかかわらず、たくさんの人が並んでましたもんねぇ。その時点で「う~ん、さすがだなぁ」と。
しかし、本当にそれを再確認したのは、昼の部の第一部「祇園祭礼信仰記 金閣寺」でのこと。勘三郎さんは狩野之介信直という、登場時間わずか2~3分の役どころです。にもかかわらず、舞台に姿を現した途端、客席からは他のどの役者さんが登場したときよりも大きな拍手が沸き起こりました。言ってみれば、“端役”のようなものなのに。勘三郎さんの圧倒的な人気を見せつけられた瞬間でした。当代きっての人気役者って、まさにこういう人のことをいうんですね。
第三部は串田和美さん演出の「法界坊」。やっぱりおもしろい!そして、わかりやすい。歌舞伎が江戸時代の大衆演芸(現代劇)だったということを、肌身で感じました。野田秀樹さんの演出のときもそうなんですが、お客さんのことを本当によく考えて作っているなぁ、というのが伝わってきます。はじめて歌舞伎を観る人でもまちがいなく楽しめる。チケットの値段はともかくとして、まったく敷居は高くない。イヤホンガイドもいらないだろうし。コレですよね、中村屋(勘三郎さん)が人気のワケ。単純明快。おもしろいから、ちゃんとわかるから、観に行きたくなる。お客さん思いの舞台だから。

【法界坊人形。うーん、アバンギャルド…でも、なんかかわいい】
もちろん、ほかの役者さんや演出家のかたがお客さん思いじゃないなんて思っていませんよ。そうじゃなかったら、毎月なんて観に行きません。でも、勘三郎さんはそれが飛び抜けているというか。もしかしたら、「先駆者」だから挑戦しやすいのかもしれませんが。周りの認識もあるだろうし、勝手もわかってたりするから。でも、歴史ある歌舞伎の世界であたらしいことをするのって大変なんだろうなぁ。そういう点でも、やっぱりすごいんだな。うんうん。いままで歌舞伎を観たことがない人まで巻き込んじゃうんだから。
それと、八月納涼歌舞伎で思ったことがもうひとつ。これまた中村屋さんネタですが。勘太郎さん、相変わらずいいですねぇ…本当に、どんどんよくなる。第一部の「雨乞狐」で野狐を務めたのですが、もう踊る踊る。それがまた、えらい軽やかなんですよ。その姿を見ていると、
「あぁ、一緒に踊りにいったら、さぞ楽しかろう…」
なんて思っちゃったりして。踊れないんだけど。クラブとかにいっしょに行ったら、絶対に楽しいね。まちがいない。まぁ、そんな日は、悲しい哉、やってこないだろうけどな。くそぅ…
来月は勘太郎さんと七之助さんの「錦秋花形歌舞伎」へ行ってきます。巡業だから会場もそんなに大きくないので、ひさびさに近場で観られるので楽しみです。いつもは遠ーくから観ているので、興奮しすぎて血管がはちきれないように気をつけねばッ!
それでは、また。
Have a wonderful day!!
ビバ!餃子パラダイス!!~宇都宮餃子共和国~
先日、ちょいと栃木へ行ってまいりました。日光まで家族旅行です。あいにくお天気にはあまり恵まれなかったので、最終日(といっても1泊2日)は早々に退散することに。雨も降って、寒かったので。
「どこか行きたいとこある?」との兄(←栃木在住)からの問いに、まよわず
「ぎょうざ食べたいですッ!!」
そう、私は「ぎょうざがあればそれでよい」と断言できるほどのぎょうざ好きなのだ。心から君(ぎょうざ)を愛す。物心ついた頃から、好きな食べ物は「ぎょうざとラーメン」。保育園で周りのおともだちが「ハンバーグ」や「カレーライス」といった“キッズ人気メニューBEST10”の常連を挙げるなか、私は頑なに「ぎょうざとラーメン」を押し通した。母はそんな娘をどう思っていたのだろうか。まぁ、イカの塩辛とか公言しなかっただけよしとしよう(これも幼い頃からの好物)。それはともかく、私のキャリアは長いのだ。そんじょそこらの者とは年季がちがう。
そこで案内してくれたのが、「宇都宮餃子共和国」。すばらしい。この共和国には宇都宮のぎょうざ屋さん7店舗とその他のエリアにある4店舗の合計11店舗が出店している。それはつまり、11店の異なるぎょうざを一堂に会することができることを意味している。心が躍る。胸が騒ぐ。だって、共和国が入っているショッピングセンターに足を踏み入れた瞬間に、ぎょうざ特有のにんにくとニラの匂い(※臭いではない)に包まれるのだから。

「宇都宮餃子といえば“みんみん”か“正嗣”でしょう!」という兄嫁(←宇都宮出まれ)の先導により、まずは“みんみん”の焼餃子と揚餃子から(各6個220円、ちなみに“正嗣”は出店していない)。正統派ですね。ちょっと皮が厚めなのが私好み。ふだんはあまり揚餃子は食べないのですが、おいしくいただきました。コレを皮切りに怒涛のぎょうざラッシュ。ざっと挙げると、
・ みんみん…焼餃子と揚餃子と水餃子【各6個 220円】
・ 青源…青源水餃子【5個 420円】とねぎ味噌餃子【6個 320円】
・ めんめん…めんめんシソ餃子(焼)【6個 320円】
・ 香港点心餃子 招福門…海老揚げ餃子【4個 500円】
・ 味噌だれ一口餃子 浪花餃子庵 包包…焼き餃子【6個 290円】
・ 元祖浜松屋台餃子 石松…石松餃子【5個 390円】
・ ぎょうざのシンフー…シンフー火の国餃子【6個 480円】
・ 宇都宮餃子さつき…さつき餃子【6個 210円】
・ 餃子専門店 龍門…焼餃子【6個 250円】
・ 神田餃子屋 天鴻餃子房…黒豚餃子【3個 360円】
と、これだけ食べました。いやー、ごはんが進む進む。ぎょうざがあるからと思ってセーブしながら食べていましたが、それでも軽く2膳はいってしまった。もうこれだけあると何がなんだかわからなくなるもので、どこの店のだかわからないけどおいしいなー、なんて。基本的に「ぎょうざ」であるというだけで満足してしまうので何でもおいしくいただくのだが、招福門の海老揚げ餃子はちょっとちがったかな。おいしいんだけど、ぎょうざっぽくないのだ。あくまで正統派が好きなのです。お肉と白菜と…みたいな家庭の食卓でものぼっちゃうようなヤツが。
【手前が青源のねぎ味噌餃子。奥はみんみんと松本楼。たぶん…】
そんななかでも特に「もう1皿食べたいなぁ」と思ったのは、めんめんのシソ餃子と石松の石松餃子。シソ餃子は餃子共和国限定らしいが、さっぱり加減がよかったです。石松餃子は単純においしかった。つけあわせにモヤシが添えられているのもいい。あぁ、「肉汁がたっぷりでジューシー」とか、そういう言葉が出てこない。単純においしかったんだもの。食リポーターにはなれないなぁ(ならないけど)。でも、家族はそれぞれ別のお店のぎょうざを気に入ったようす。これだけあれば、そりゃそうか。辛いのとか味噌をつけるのとか、本当にいろいろあるのだから。くわしくは公式HP(http://www.gyoza-kyouwakoku.jp)をご覧ください。
それにしても、ぎょうざにこれだけ種類があって、お店ごとにちゃんとちがう味があるというのは、当たり前なんだろうけどオドロキでした。ぎょうざを食べ比べる機会なんてそんなにないですから。まさに至福のとき。まぁ、帰って体重を量ったら、しっかり2kg増えてましたが。1食で2kg。わが人生に悔いなしッ!!
いま気になっているのは、兄嫁が帰りに買っていた「餃子めん」。ぎょうざの具を薄い皮で包んで麺状にしたものなんですが。ひたすら「ありえない」と言いながらレジへ歩いていた兄嫁。感想を待つ。

【街灯がぎょうざ。すずらんみたいで、なかなかかわいい】







