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イノベーションを起こすために必要なこと [社会]

 テスラ・モーターズのイーロン・マスクが、イノベーションを追及している若者へのアドバイスとして、基本原理に立ち戻って考えることの大切さを語っている。2018年の03月21日に書いたブログの内容にも関係することだが、このことは私の仮説で言えば、洋才→洋魂へのパスが必要だと言うことになる。マスクの言っていることが正しいとすれば、私の仮説では日本には、洋才→洋魂のパスが無いわけだから、日本でイノベーションが起き難いのは必然だとも言える。

 そういう意味では、今の日本を支えているキリスト教系の中高一貫校で学んだ人の多くは、洋魂→洋才の「片道切符」の運転をしている様なものだと思う。「いいとこ取り」を日本の長所として自慢する人は多いが、これも同様に「片道切符」だ。片道切符で一発当てたとしても、それはその人の人生にとってみれば成功かもしれないが、普遍的で持続可能なものでは無い。本来は洋魂の様な「戻るべき場所」があって、その間を「双方向のループで回す」というのが基本だと思う。

 マスクの言っている、「基本原理に立ち戻る」とは上の例では洋魂のレベルでものの見方が変わるとか新しい発見があると言うことだ。それは、洋才→洋魂のパスが無いとできない。片道切符では駄目なのだ。音楽で言うと、クラシック音楽は今後どの様な進化の過程を辿るかはよく分からないが、変化があるとすれば、それはおそらくは、教会音楽の中で起こった変化の波がクラシック音楽に影響を与えるという様なものになる気がする。

 「いいとこ取り」もそれ自体は一つの才能であり、別に悪いことでは無い。日本が、世界に大した影響も与えない程度で細々とやっている分には何の問題もない様に思う。ただ困るのは、日本人自身がそれでは満足できないという点だ。「モノ」の「応用」で「ユニゾン同期」して(私はこれを日本人の「3バカ特性」と呼んでいる。)、世界に大きな影響を与えないと日本人自身が満足できなというのも困りものだ。その結果が日本や世界ににとってハッピーなものになればいいが、恐らくは違った道を歩む様な気がする。

 ひとつ考えておいた方がいいのは、日本は戦う相手としては非常に与し易い相手だという事だ。上に書いた日本人の特性を叩けば、多様なポートフォリオを持っていないので、日本はあっという間に駄目になってしまう。先の大戦では日本人のこのワンパターンな特性を叩かれて、負けるべくして負けてしまった。

 今、世界で一番頭のいい人達は、プラットホームの力学を研究している。巨大で安定したプラットフォームを短期間の間にデザインするにはどうしたらいいか?という様な事だ。(注)プラットホームは双方向のループで繋がっているので、一度それができてしまうと壊すのは大変だ。一方で、日本が今だに標榜している20世紀の「ものつくり」は片道切符の直線的な繋がりしかないので、ビジネスモデルとしてはプラットホームには太刀打ちのできないものになってしまっている。21世紀は繋がりを研究する時代になると思うのだが、主要な2項目をループで回すという最低限のことくらいは理解しておいた方が良いと思う。


(注)日本の識者の中には、プラットホームは悪いもので、それは無くした方が良いとか、無くなってしまうとか言う意見の人もいる様だが、私は少なくとも21世紀の間は、プラットホームは無くならないと思うし、21世紀の価値の源泉になると思う。勿論、全てが良いことばかりではないことも十分理解できるが。


by チイ

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AIとBIが創る世界 [社会]

 波頭亮氏著の「AIとBIはいかに人間を変えるのか」。最近読んだ日本人が書いたAI関連書籍の中では久々の良書であり、多くの人に読んでいただきたい内容でもある。

 AIが高度に発達した社会において、BI(ベーシック・インカム)がセーフティネットとして必然であることを、BIの制度上の長所、経済政策、財政問題、分配政策(格差と貧困問題)、民主主義・資本主義との関係性、社会通念、etc.の観点から理路整然と説明されている。しかもこの変化はこの20~30年くらいの間には必ず起きるだろうと言われていて、これからは政治的にも具体的な政策イシューの立案段階に入って来ているように思う。

 著者は、この歴史的大転換点を前向きにポジティブに捉えて、その中で人がどう生きるかを色々提案している。その中には、「働かなくても、食って良し」理念の合理性、「金を稼ぐ能力」から「やりたいことを見出す能力」への価値の転換、labor(労働)から開放された後のwork(仕事)やaction(活動)の働く意味やplay(遊び)についても言及している。

 歴史的に見ても、今の日本は日本人が得意なお決まりの「負けパターン」の時代に入っていると思う。日本がいつも駄目になっていくパターンは、パラダイムシフトが必要な時代に、旧態依然とした枠組みの中で、それを捏ねくり回して、更に難しいものにしてパッチを当てるような作業を繰り返している時だ。政治手法や経済政策、ビジネスモデル、大学のカリキュラム内容、etc.どれをとって見ても恐ろしく古い内容で時代遅れのことを一生懸命にやっている。今は日本人の得意な「応用バカ」になる時代ではなくて、真っさらなキャンパスに自由に絵を描くような時代だと思う。

 思うのだが、希望の党や民進党は自民党の不正の批判やその政策の一部を変えたような付き焼き刃の政策ではなくて、波頭さんがこの本の中に示している「そもそも論」の「AIとBIが導く新しいステージの世界」を実現するための政党に生まれ変わってみてはどうだろうか?波頭さんに政策ブレーンになってもらって、波頭さんが描いたシナリオを実現するための政党になるのだ。それが今間違った政策をしている自民党に対する、唯一の対抗手段になると思うのだが・・・。

 最後に著者は、AI+BIの世の中で豊かに生きるための条件として「やりたいことを自発的に見出す能力」を挙げている。そのための教育の在り方も大きく変わって行くことになるだろう。初等教育または中等教育の早い段階から現行の部活動に代わって「自分のやりたい事」を見つけるための教育が主眼になって、今文科省が全ての生徒に押し付けている所謂標準的な科目は、それをサポートするための2次的なものへとなって行くかもしれない。


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by チイ

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和魂って本当に存在するんだろうか? [宗教]

 日本は、キリスト教徒の割合は1%にも満たない程度だと言われていて、明治以来の「和魂洋才」を実践しているようにも見える。またそこには魂までも西洋に取られてしまっては堪らないという反骨精神のようなものも感じられる。その反面、最近の日本のエリート層は、有名中高一貫校の出身者で占められていて、その多くは所謂キリスト教系(カソリック、プロテスタント)の学校である。そういう意味では、日本の知的層は、現段階で既にキリスト教に国を乗っ取られているようなものかもしれない。

 それで最近よく思うのが、「和魂って、本当に存在するんだろうか?」という疑問だ。洋魂や和魂などと言うと、宗教的な信仰の話になってしまいがちだが、ここではそういったものを昇華した後の「近代普遍主義理念」のことだと思ってもらえればいい。20世紀の物質文明を産んだ「物質論」や、これからの21世紀を支えて行くであろう「パターン主義」などがこれに当たる。実際の技術を生み出すための思想や理念などのことを言う。

 西洋では、「洋魂洋才」が成り立っているのはほぼ間違いない。下にその関係性を図示してみた。ここで重要なのは、洋魂と洋才の繋がりが双方向であると言う点だ。この事は、例えばクラシック音楽を考えてみればよく分かる。西洋のクラシック音楽は、教会音楽を母体にして産まれているが、クラシック音楽の「受け皿」としても存在している。クラシック音楽をやっていて挫折したり、疑問に思ったりした時、教会音楽の方に戻って自分を見つめ直して再びクラシック音楽の方に戻って行くような人もいる。その人の出入りはかなり自由でかつ双方向だ。教会音楽がクラシック音楽の裾野を広げているわけだ。また、その他の分野でも同様に双方向の繋がりになっていることが多い。


     洋魂⇄洋才


 私の考える「和魂洋才」は、実際には和魂と洋才は繋がっておらず、洋魂から洋才への一方向で繋がっているというイメージです。(下図参照。和魂と洋才は実際には繋がっていないという意味で×印を付けています。)日本人の言う所の和魂と言うものは存在するのかもしれないが、それは日本人自身があまり価値を置いていない和才を生み出すためのものであって、残念ながら洋魂のように洋才を生み出すための万人に共通した価値観下での普遍主義的基盤は無いように思う。また日本人は洋才を産むための洋魂にしか価値を置いていないため、洋才→洋魂の繋がりはほとんど無いし、このことが日本人を所謂「応用バカ」にしてしまっている。音楽でいうと、日本人は西洋音楽を器用にこなしてみせるが、西洋の教会音楽のような戻るべき場所が無い。


  和魂×洋才←洋魂


 Jazzはゴスペルなどの黒人音楽を母体にして生まれている。しかしそれがJazzになるまでには黒人だけではなく、特に音楽理論の面では優秀な白人の力も借りながらその体系が出来上がって来ている。白のJazzではビル・エバンスのようなユダヤ人も参画している。私は、日本人は和魂を母体として、それを万人が認める普遍主義的価値観に基づいたものに昇華させる努力をもっとすべきだと思う。その際、それが自分達の力だけでは無理ならば、Jazzのように色々な人種の人達にも入ってもらって、より良いものに作り上げていけばいいと思う。ただ単に、西洋の洋魂を洋才に変換して消費するだけの存在にはならない方がいいと思う。


by チイ

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スーパーインテリジェンス [コンピューター]

 昨年末にやっと待望のニック・ボストロム著の「スーパーインテリジェンス」の和訳本が出ました。この本は今から3年半くらい前に英語の原書が出版されたのを知っていたので、その時に原書を買って読みたかったのだが、かなりのページ数があるので私の英語力では途中で挫折してしまうのは分かっていたので、購入は控えていた。この3年半くらいの間にAIの分野では囲碁と将棋が完全に人間を抜き去ってしまって、本の内容ももうかなり古くなってしまった感はあるが、現在読み進めているが内容は本当に素晴らしいと思う。(注1)

 2015年に出版されたジェイムズ・バラット著の「人工知能」とこのニック・ボストロム著の「スーパーインテリジェンス」の2冊は、AIの一般向けの啓蒙書としては現代人の必読書だと思う。(この2冊だけ読めば、日本語で出ている他の一般向けの啓蒙書は読まなくてもいいです。)ジェイムズ・バラットはマスコミ関係の人でニック・ボストロムは学者(哲学)だが、残念ながら日本には、マスコミや学者で、一般向けにこれほど質、量ともに掘り下げた内容のものを書ける人はいないように思う。逆に戦術レベルのディープラーニングや機械学習などの理工系の書籍は山のように出版されていて、今の日本の現状をそのまま反映しているように思われる。

 今世界は、「自律分散型の社会」を目指して動いているように思われる。今後、スーパーインテリジェンスはこの自律分散型社会にどのように関わっていくことになるのだろうか?

 ITの分野では、現在「第3世代プラットフォーム」の時代に入っています。そこでのkeyテクノロジーは、①デブオプス(DevOps)(注2)、②マイクロサービス、③API連携の3つです。第1、2世代プラットフォーム時代の「ウォーターフォール型」から「デブオプス型」へとソフトウエアの設計手法が変化しているのです。今流行りの言葉で言うと、SoR(システム・オブ・レコード)からSoE(システム・オブ・エンゲージメント)への流れです。

 FinTechの分野でも今はAfter Bitcoin(注3)の流れで、中央銀行や国際送金や証券決済などの分野で本命である「ブロックチェーン」の技術が使われようとしています。ここでも忘れてならないのは中央集権的な権力を行使するためにブロックチェーンの技術を使ったとしてもそれはあまり意味の無いことだということです。ブロックチェーンの技術そのものが自律分散型の社会を目指して作られた技術だからです。このことを忘れると、恐らく中央銀行のデジタル通貨発行などでも世界に遅れを取ることになってしまうと思われます。

 AIの最終ゴールもAGIやASIといった自律分散型の社会だ。今世界の主要な技術やこれから重要になると思われる技術も全てそこを目指して動いているように見える。この流れはおそらくそれを実現するまでは、変わることは無いと思うし、また変えることもできないだろう。

 最後に面白い話をひとつ。デブオプスが行えるようになった最大の理由は、デプロイを自動化したことにあるようです。昔はこの部分はその組織で一番のノウハウを持った優秀なデプロイ職人がやっていたそうです。人間にしかできないと思われていたことをソフトウエアにやらせているわけです。恐らくその最終形がAGIやASIになるんだろうとは思います。人の能力ではとても無理だと思われる一番重要な部分にはASIが鎮座しているはずです。


(注1)高校生くらいの方で、将来AI分野に進むことを考えてられる人は、原書と和訳の2冊を買って、半年か1年くらいかけて両方読み比べて見ることをお勧めします。

(注2)デブオプスは別名「ピザ2枚のルール」とも言われています。ピザ2枚を囲んでミーテングができる程度の人数(どんなに多くても10人以下)でソフトウエアを開発するという意味です。何か「スパースなデータ表現」と似ていると思いませんか?音楽的に言うと、和声的にシンクロしている状態です。そう言った状態を沢山作り出しているわけです。

(注3)昨年(2017年)の私の中でのベスト本は、中島真志著の「After Bitcoin」です。現在のビットコインなどの仮想通貨のその後を予想した内容で、よくまとまっていて専門外の人にも分かりやすく書かれています。


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by チイ

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デジタルデフレーション [経済]

 最近、「デジタルデフレーション」という言葉を知った。簡単に言ってしまうと、「デジタル革命は、従来型産業の生産性を大幅に改善はしているが、新たな需要は創造しない。」ということらしい。20世紀の「モノの経済」では、生産性が向上すると販売価格が下がって、その結果需要が大きく増大して産業規模は拡大する。しかし、21世紀の「デジタル革命」ではデジタル化によって需要は呼び起こされないので、産業規模は拡大しないし、価格が下がるだけのデフレーションにつながる。


 日銀の金融緩和でインフレにならない理由の一つには、この「デジタルデフレーション」が関係しているのかもしれない。(もちろん原油価格の下落などの影響もあるわけだが。)今政府の行なっている金融政策や財政政策が、20世紀の古い経済を前提に対策がなされているとすると、それがお門違いの政策になってしまう可能性は十分にある様に思う。20世紀と21世紀ではその経済構造そのものが変わってしまっているのだということをまずは認識する必要性がある様に思う。


 私は経済の専門家でも何でもないので、「デジタルデフレーション」の真偽の程についてはよく分からないが、これからデジタル革命はさらにAI革命などの洗礼を受けていくことになって、「デジタルデフレーション」はさらにはっきりとした形で、世の中に定着して行きそうな気がする。その先にはおそらくBI(ベーシック・インカム)の様な社会保障政策につながっていくのだろう。


by チイ

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2行2列のマトリックス [社会]

 MITのメディアラボ所長の伊藤穰一が公演で面白い話をしていた。下の表の2行2列のマトリックスについての話だが、今までの教育ではこの中のどれか一つを選んで、それに集中しなさいと教えられてきたが、これからの時代は一人の人間の頭の中にこれら4つが必要だと言っていた。企業や組織も同様に、会社として4つとも全部分かる必要があると言っていた。これまでは一人の人間が4つの内の一つしか分からないので、4人を同じ部屋に入れると、喧嘩が起こって、話が合わない。そのためにも、これからは4つとも分かる必要がある。

 また、サイエンスとアートが無いと、飛ばない。(ジャンプが無い。)エンジニアリングとデザインだけだったら、皆がやりたい民主的なことはできるが、本当にとんがったものや、世の中を次に動かすものは生まれて来ないとも言っていた。

      artist     scientist
    designer     engineer
 
 ここからは私の意見だが、日本は上記マトリックスで圧倒的に、
       2行(design、engineering) >>  1行(art、science)
の国だ。欧米の社会が上記マトリックスで自律的に機能している社会だとすると、日本の社会は上記マトリックスの1行目はほぼ欧米の世界からの借り物のようなものだ。このマトリックスで考えても、日本人が欧米から、「戦術バカで戦略音痴」だと言われるのは当たり前のような気がする。
[晴れ]
 能力的にも4要素全てを満たすのはよほど優秀な人でないとかなり難しいとは思うが、これまでも日本の社会の中にも、例えば2行目の2つの要素(design、engineering)を両方とも満たしているような人はかなりいたように思う。そういう意味では、これからは普通の人でも、1列(art、design)又は2列(science、engineering)のことが分かる人材を目指して見るのが良いのかもしれない。
[晴れ]
 日本人は世界で一番実利的な民族なので、ジリ貧になってくるとどうしてもこのマトリックスの中の生活に近いものだけに注力しがちだ。20世紀(モノの時代)はそれでも何とかやって来れたが、21世紀(情報の時代)はおそらくはその逆をやらないと上手く回っていかないような気がする。「急がば回れ」という諺もある。
[晴れ]
 故「糸川英夫」は上記マトリックスを全て満たしているような人だった。(そういう意味では、糸川英夫は日本版のフォン・ノイマンと言ったところだろう。)その彼が生前、これからの時代は日本人の中の1割くらいの人が1行(art、science)に命を捧げる様な社会にならないと駄目だと言っていたが、実際のところは日本社会への影響という意味では1%にも満たない様な存在だと思う。
[晴れ]
by  チイ
 

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羽生さんの永世7冠達成 [風物]

 一昨日、羽生さんが竜王戦で渡辺竜王を破って永世竜王の称号を得て、ついに永世7冠のタイトルを手にした。思えば2008年竜王戦の同カードで、羽生さんが3連勝した後の4連敗で渡辺竜王に敗れてからの9年越しの記録達成になったわけだが、今回羽生さんは何故、渡辺竜王に勝つことができたのだろうか?


 2008年の竜王戦を見た私の率直な感想は、「世代交代が起った」ということである。テニスで言えば、ウインブルドンの大会で、グラフが初めてナブラチロワを破った時のようなものだ。何の世界でもそうだと思うが、世代交代が一度起きてしまうと、それ以降はベテランは新人にはまず勝てなくなってしまう。実際に羽生さんんもこれ以降の竜王戦で何度か渡辺竜王と対戦する機会があったが全て退けられている。


 今回の羽生さんの勝因の裏には、将棋ソフトの存在があるのではないか?というのが私の推論である。現在の最強の将棋ソフトの実力は羽生さんが100回戦って1回勝てる程度の強さだと言われている。つまりTOPの将棋ソフトの方が人間のTOP棋士より100倍(2桁)強いという事だ。これからの人間のTOP棋士が強くなる方法は、最強の将棋ソフトからどれだけ多くのことを学べるかが鍵になってくる。


 この場合学ぶと言っても、独自にこれまでに無かった新たな戦法を考えるとか、人間どうしの対戦の中で新たな戦法を見い出すというのとはちょっと意味が違ってくる。つまり人間より2桁以上も賢い存在から学ぶことになるのである。これはある意味、「神」から学ぶということと同じだと思う。そういう意味では、これからの将棋は「自然科学」になったと言えるのかもしれない。


 エンジニアの人で自分の作ったプログラミによく、created by ~のように自分の名前を付けている人がいたりとか、自然科学はcreate(創造)するものだと思っている人も多いと思うが、自然科学は基本的にはdiscover(発見)(注)だと思う。次の箴言を思い出す。「モーツァルトは彼の音楽をcreateしたのではなくて、すでに出来上がっていたものをdiscoverした。」


 将棋ソフトで、人間同士の感想戦のように大局の後に、将棋ソフトが負けた人間に対して人間が理解できるようなパターンで戦法を解説してくれるようなソフトは作れないものだろうか?又は棋士がその将棋ソフトと多くの大局をこなして行くに連れて、その棋士の弱点やこれから強くなる為に身に付けたらよい戦法を優先順位を付けて教えてくれるようなソフトは作れないものだろうか?これから出てくるかもしれない最強の棋士とは、棋士でありながらそういった将棋ソフトも自前で作れてしまうような人になっていくのかもしれない。

(注)discoverは、dis + coverでもともとの意味は、「覆いを取り去る」の意。


by チイ

 


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コンピュータ・サイエンスにみる学びの多様性 [学問]

 最近、文春新書から「知立国家 イスラエル」(米山伸郎著)という題名の新書が出版されて、大変興味深く読ませていただいたが、その中で特に気になった箇所があった。今の日本のコンピュータ・サイエンスの現状をそのまま表している数字のように思えた。「コンピュータ・サイエンスで有名な世界の大学のトップ30の中に、イスラエルの大学が4校も入っているのに対して、日本の大学は一つも入っていない。


 これは最近の世界の大学ランキングで日本の最高学府である東大が40番台の前半であるのを考えると、そんなに驚く様な数字ではないのかもしれないが、21世紀のこれからの将来展望を考えた時、日本産業にとっては切実な問題になってくるように思われる。ちなみにイスラエルでは16歳から選抜される軍関係のトップ頭脳集団「タルピオット」では、3年間かけて高等数学、物理学、コンピュータ・サイエンスの3学科を徹底的に叩き込まれるようだ。(日本の大学で4年かけて1科目を専攻するのを3年間で3科目やってしまう。)中でも、コンピュータ・サイエンスは国策として最も力を入れている分野でもあるらしい。


 そもそも日本にはコンピュータ・サイエンス学科や学部というものは基本的には存在しない。東大や京大にもない。あるのは工学部の中に、「情報ナンチャラ学科」みたいなものしかない。前にも書いたが、多くの日本人はコンピュータはサイエンスだとは思っていないので(注)、まず「コンピュータ・サイエンス」という言葉自体にかなりの抵抗がある。そしてやっている事はといえば、そのほとんどがハードウエアに関係する事が中心だ。思うに21世紀のコンピュータ・サイエンスでは7〜8割くらいがソフトウエアに関係するものになると思う。cognitive computing用の新しいハードウエアももちろん必要になってくるが、それもソフトウエアがあってのハードウエアだと思う。


 今のままの状態だったら、これからのAI時代、本物のコンピュータ・サイエンスを学びたい人は海外のWASP系の大学やイスラエルの大学に留学した方がいいのかもしれない。学びの多様性という意味では、ビルゲイツもマーク・ザッカーバーグもIT関連で成功している人の多くは、高校時代に学校にも行かないでプログラミングに熱中し、大学では起業して中退している。逆にラリーペイジやセルゲイブリンのようにコンピュータ・サイエンスの名門校で大学院まで進学して勉強したような人達もいる。ハーバードの数学科に入るような人も小中学校で飛び級した人とか数学オリンピックでメダルを取った人達とかで、少なくともSAT(日本の大学受験に相当するもの)の点数で選んでいるような人はほとんどいないと思う。


 現在の日本の大学受験にはコンピュータ・サイエンスはない。数学はというと、線型代数は2行2列の行列止まりで行列式のレベルにも行っていない。ベクトルは内積止まりでベクトル解析はまだ先の先。微積分は変数分離止まりで線形微分方程式にさえも行っていない。確率は条件付き確率止まりで、現在のベイズ全盛期に全く対応できていない。物理はといえば、力学は微積を使わないで力関係の図を描いて代数に当てはめるような、もう中学でやったらいいようなレベルのことを今だにやっているし(17世紀にニュートンが微積を使って力学を完成させたレベルにすら行っていない)、電磁気は、マクスウェルの方程式も知らないで、受動素子だけの交流の回路の問題や、直流のコンデンサの開け閉めのようなくだらない問題をやっている。


 20世紀はそれでも工学部で猫も杓子も電子回路さえ作っていればよかった時代には、皆が一律に全く同じ学びをしていればよかったのかもしれない。しかし、21世紀の時代には全くそぐわない内容になってしまっていると思うのは私だけだろうか?イスラエルの国家戦略(目的)はただ一つで、それは「生存」するということ。前にも書いたがユダヤ人は全ての点において日本人とは真逆の特性を持っている。その彼らが「生存」を第一の戦略としてあげているという事は、逆に言えば、世界で一番すぐに滅びてしまう可能性があるのが日本ということになってしまう。上記日本の大学受験の内容が陳腐化してしまった時、学びの多様性のない日本はあっというまに陳腐化してしまうかもしれない。


(注)欧米のコンピュータ・サイエンスの理想形は、おそらく、サイエンス、工学(エンジニアリング)、数学の3つが三位一体となったような形をしていると思う。


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by チイ

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中里真由美ピアノ・リサイタル [コンサート]

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by 中里真由美

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アルマドイチャーちゃんのアクティブラーニング [音楽]

 今話題のイギリスの音楽の天才少女、アルマドイチャー(Alma Deutscher)ちゃんを御存じですか?彼女は、ボーカル、ピアノ、ヴァイオリン、即興演奏、作曲となんでもこなします。学校には2日しか行ってないそうです。音楽の勉強もピアノの教則本や楽典などの標準的な教材は一切使わないで、はじめから作曲と即興演奏だけのアクティブラーニングをやってきたそうです。今世界の教育の流れは、小学校のDAY1からアクティブラーニングをやるというのがベストプラクティスだそうです。


 最近、MITのメディアラボの所長のJoi Ito(伊藤穣一)の書いた「9プリンシプルズ〜加速する未来で勝ち残るために〜」という本の第6章「理論より実践」という章で、「教育より学習」という内容で、現在のアメリカはこのままだと2つの学校制度ができてしまうようだ。貧しい学校はテストに合わせて指導し、標準カリキュラムで高得点を取ることを目指す。(サービス職向けの人材。)一方で金持ち学校は、問題解決、イノベーション、新知識生産に必要な技能を身につける。(グローバルシステムの中で成功する人材。)


 今の日本の教育は上記アメリカの教育の黒人やヒスパニックの貧しい学校で行っていることと同じことをやっているわけだから、グローバルシステムの中でどんどん競争力が落ちていくのは当たり前のような気がする。9つのPrinciplesにメディアラボの評価を全てAとした場合の日本の相対評価を私なりにしてみた。(A,B,Cの3段階評価)Aは結局なかった。Cが特に悪いということ。


1.権威より創発     C

2.プッシュよりプル   B

3.地図よりコンパス   B

4.安全よりリスク    C

5.従うより不服従    C

6.理論より実践     B

7.能力より多様性    C

8.強さより回復力    B

9.モノよりシステム   C


 彼女の曲や演奏はYouTubeで検索するといくらでも聴くことができます。興味がある方は、色々と聴いてみてください。






by チイ

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