So-net無料ブログ作成
前の10件 | -

佐藤賢一の小説フランス革命18巻『革命の終焉』 [書評]

佐藤賢一の小説フランス革命15巻『粛清の嵐』から18巻『革命の終焉』を一気によみました。全18巻、とうとう辿り着いたという感じがします。2015年6月に読み始めたので、間で他の本も読んでいますが、2年以上がかかったことになりますね。

物語はいよいよ佳境にはいり、恐怖政治が始まる。手始めに、ジロンド派を粛清したロベスピエールは、次いで左派のエベール派を、その返す刀で、ダントン派をギロチンに送る。ただ、このころから、ロベスピエールもまた、自分の運命を悟った感がある・・・。

特に、17巻『ダントン派の処刑』で、刑場に送られる、ダントンとデムーランが交わす会話は印象に残る。

「常に正しくあることを、俺たちがあいつに推しつけてしまったからだ」
「革命がぶれなかったのは、あいつのおかげなんだ。右往左往せずに済んだのは、あいつのおかげなんだ。ああ、革命はマクシミリアン・ロベスピエールを必要としたんだよ」
「正義を武器に誰かを倒せば、その正義に自分も縛られざるをえない。逃れちまえば、自己否定になっちまう」


ナポレオンの登場まで、5年を待つことになるのだが、その間のことも知りたくなりますね。
最後、刑場に送られるロベスピエールに去来するものは、なんだったのか。

「愛国者でなければ、反革命とみなした。それは善でなければ、直ちに悪という論法だ。が、人間という生き物は、全き善でも、全き悪でもなく、両者の狭間にいる、あるいは両者を渾然一体として併せ持つ存在であったのだ。」と言う一節でてくるが、もっと深い人間に対する絶望であったかもしれない。

ただ、もっとも気になるのはこのフランス革命、およびロベスピエールが、現代のフランスでどのように評価されているのか、ということですね。


革命の終焉 小説フランス革命 18 (集英社文庫)

革命の終焉 小説フランス革命 18 (集英社文庫)

  • 作者: 佐藤 賢一
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2015/05/20
  • メディア: 文庫



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

サンドローネ・ダツィエーリ『パードレはそこにいる』 [書評]

サンドローネ・ダツィエーリの『パードレはそこにいる』を読みました。私にとって、初めての著者でしたが、主人公二人の造形に成功しており、大変面白い作品になっています。

ローマ近郊で、ある母子が行方不明になる。母親は惨殺死体となって発見され、6歳の少年の消息はつかめない。警察は父親を容疑者とみなして逮捕する。この事件の捜査に当たるのは、ある事件で、大怪我をし、退院したものの、休職中である女性刑事コロンバ・カッセリと、彼女と相棒を組むのは、失踪人捜索の専門家であるダンテ・トッレ。彼は、6歳のときに、何者かに誘拐され、農場のサイロに11年間も監禁されていたという特異な経歴の持ち主で、その影響から閉所恐怖症でもある。

そんな弱点を持つ二人が、協力しながら、事件を追う。この事件の裏に、幼い自分を誘拐し、11年間にわたって監禁した犯人“パードレ”がいる―そう考えるダンテだったが、その事件の裏には大きな陰謀が隠されており、やがて意外な人物がパードレとして浮かび上がってくる・・・。

捜査の途中で、ふたりが警察に追われることになる、また、最後はダンテに命の危機が迫り、緊迫の展開をします。次のシリーズも読まなければ、と思わせるには十分な作品です


パードレはそこにいる 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

パードレはそこにいる 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/09/25
  • メディア: Kindle版



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

映画『ダンケルク』 [映画]

映画『ダンケルク』を見てきました。IMAX2D版で見たのですが、褒めるべき点はこのIMAXの観点だけです。映画としてはどうでしょうか、いまいちだと思います。
物語に芯がない。無論、ダンケルクの撤退が中心なのだが、スピットファイアの飛行機乗りであったり、民間でありながら救出に協力した一家がであったり、救出される側の兵士が描かれるのだが、それぞれの背景が描かれないので、散漫な印象を与える。映画としてどうかと思う。
ただ、IMAXの音響は素晴らしく、本当に自分の耳のそばを銃弾が飛んでいく感じがします。
評価は☆☆☆です。

http://wwws.warnerbros.co.jp/dunkirk/
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

映画『関ヶ原』 [映画]

映画『関ヶ原』を見て来ました。評判はイマイチですが、それなりに見所もありました。
ただ、前半はいささか詰め込みすぎでしょう。映画だけでは理解するのが難しいと思います。大河ドラマの黒田官兵衛や真田丸の話を思い出しながら、話を繋げるという行為が必要になります。予備知識がないと苦しいと思う。有村架純は、まぁ余分でしたね。

石田三成が敗れ、城の前で縄につながれている時に、前を通りかかる三人の武将、福島正則、黒田長政、小早川秀秋の対比は面白い。黒田長政はさすがですが、福島正則ってあの程度人物だったのでしょうか。
岡田、役所の主演の二人を除けば、平岳大の島左近が印象的な役どころでした。
評価は☆☆☆と半分です。

http://wwwsp.sekigahara-movie.com/sp/
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

中川毅『人類と気候の10万年史』 [書評]

福井県に水月湖という湖があることをご存知ですか。わたしは、講談社(ブルーバックス)から出ている中川毅さんの『人類と気候の10万年史』を読んで初めて知りました。この著者、中川毅さんは立命館大学の古気候学研究センター長でもあります。

「年縞」(ねんこう)。聞き慣れない言葉だと思いますが、この樹木の年輪に相当する「縞」は、湖沼の底の泥層に残されています。その「年縞」が数万年にわたって連続して残っている湖沼は世界でもごくわずか。その、理想的な場所が福井県の水月湖なのです。水月湖の「年縞」は、同じ条件で同じ場所で、きれいに連続した「年縞」が、1年刻みで7万年分も残っているというのです。今では、地質学的年代決定での事実上の世界標準となっているそうで、最近では、中学の教科書にもこの話は載っているらしいです。ところで本書によると
地球の自転軸の向きや公転軌道の形と連動して気候が変動するというミランコビッチ理論に従うならば、減少しているはずの温室効果ガスが、産業革命よりもはるか以前から上昇している、つまり、人間が気候を左右するようになった歴史は、100年前ではなく8000年前にさかのぼるそうです。IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の予測でも、21世紀の100年で平均気温が大きく変化するかもしれず、人類存続の危機と恐れられているが、氷河期の終わり頃は数年でそれくらいの気温変化があったと思われる。ある臨界点を超えたとき、突然、世界気候は激変するかもしれない。

ということのようで、近年、各地で「何十年に1度」という豪雨が毎年発生し、また今年は、関東地方では奇妙な夏でしたが、これらは変化の予兆なのでしょうか。
いずれにせよ、
『先進国を生きる私たちが、「先を進んで」いるような気分でいられるのは、現代の気候がたまたま私たちのライフスタイルに適合しているという、単なる偶然に支えられてのことに過ぎない。』
という著者の言葉は耳に痛いですね。
 また、次の一節には、研究者としての矜持を感じました。

2006年の掘削は、それ自体は単なる穴掘りであり、学術的な成果であると見なされることは少ない。(中略)、ひとつだけ自画自賛を許していただけるなら、その後に続いた水月湖研究の栄光のドミノ、その最初の1個を倒したのは、あの暑い夜に「完全連続」を達成するまで決して引き下がらなかった、私たちの愚直な掘削だった思っている。



人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか (ブルーバックス)

人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか (ブルーバックス)

  • 作者: 中川 毅
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/02/15
  • メディア: 新書



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

畠山健二『本所おけら長屋(九)』 [書評]

畠山健二の『本所おけら長屋(九)』を読みました。七巻あたりで、マンネリ化を心配したのですが、いえいえどうして快調です、このシリーズ。第二話と第四話で中途半端におわっている話が第五話で一気に片付くところなど、相変わらずうまいものです。

「店賃なんてものは、みんなで溜めるから怖くねえのよ」なんてうそぶく万松コンビも快調です。

それと、今作から電子書籍化されて、このシリーズで初めてKindleで読みました。そのことは嬉しいのですが、うまく表示できない漢字があるのはなぜでしょう?


本所おけら長屋(九) (PHP文芸文庫)

本所おけら長屋(九) (PHP文芸文庫)

  • 作者: 畠山 健二
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2017/08/09
  • メディア: 文庫



nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

ユッシ・エーズラ・オールスン『アルファベット・ハウス』 [書評]

ユッシ・エーズラ・オールスンの『アルファベット・ハウス』を読みました。特捜部Qのシリーズですっかり有名になったユッシ・エーズラ・オールスンの、これがデビュー作というから恐れ入ります。まさに読み応え充分な作品になっています。

第二次世界大戦末期。英国軍パイロットのブライアンとジェイムズはドイツ上空で撃墜されてしまう。かろうじて生き延びたものの、そこは敵国の只中。追手から逃れるべく、傷病者を搬送する病院列車に潜入した彼らはドイツ軍親衛隊将校になりすまして脱出の機会を伺う。だが、そこには、精神を病んだ患者の振りをして、横流しした戦利品をくすねようとしているドイツ人達もおり、彼らに怪しまれたブライアンとジェイムズの命も狙われる。そこで、ブライアンはやむを得ずジェイムズを残し、ただ一人脱出をはかる。
それから話はいっきに、1972年(ミュンヘンオリンピックの年)に飛ぶ。仕事で成功したブライアンは仕事にかけこつけて、ミュンヘンを訪れて、ジェイムズを探す。ブライアンの存在を知った、元ナチスの悪党三人組はブライアンを亡き者にしようとするが…。

単純に、友人同士が、長い別離の末に、再び友情を確認しあうといった単純な話になっていない。最後に、ジェイムズもはいっても、目まぐるしく攻守ところを変える激しい攻防となる。

やむを得ぬ状況と言っても、おいていかれた方は、恨みが残るであろうし、置いていったほうも、自責の念はあろうし、また、なぜ28年間も待つ必要があったのか、そこには、終戦を知らずに密林でただ一人で暮らすのとは違う苦しみがあろう。
ただ、第二部がミュンヘンオリンピックの年なので、てっきり例のテロ事件と関係のある展開になるかと思っていましたが、その点はまったく違っていました。

ところで、アルファベット・ハウスとはナチスドイツの軍人専用精神病院の通称とのこと。


アルファベット・ハウス 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

アルファベット・ハウス 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 作者: ユッシ・エーズラ・オールスン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/06/22
  • メディア: 文庫



nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

上田秀人『因果 百万石の留守居役(九)』 [書評]

上田秀人の『因果 百万石の留守居役(九)』を読みました。

瀬能数馬の参勤交代も、いよいよ富山まできた。しかし、加賀前田家の分家でもある富山藩では、前田綱紀をなきものにし、後釜にすわろうと画策する一派がおり、加賀藩にはいり先祖の菩提を弔うために立ち寄った綱紀を瑞龍寺にて襲うが、…。更には、綱紀から数馬へ越前松平家を探る新たな命が…。

前作で登場した、新武田二十四将を名乗る無頼の一派が弱すぎると書いたが、それは下っ端らしく、強そうなやつらがでてきた。これには少し手を焼きそうです。佐奈さん大丈夫だろうなぁ。それと、数馬も琴さんと仮祝言をあげます。でも、いわゆる尻に敷かれっぱなしのようで…。


因果 百万石の留守居役(九) (講談社文庫)

因果 百万石の留守居役(九) (講談社文庫)

  • 作者: 上田 秀人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/06/15
  • メディア: 文庫



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

竹内建蔵『あなたの人生は「選ばなかったこと」で決まる 不選択の経済学』 [書評]

竹内建蔵あなたの人生は「選ばなかったこと」で決まる 不選択の経済学』を読みました。

この本は、あの時、会社の新規事業への人材募集に迷ったまま、応募しなかったが、もしその道を選んでいれば自分の人生変わっただろうな、という話しではありません。

「機会費用」といういう考え方をわかりやすく解説した本です。機会費用とは複数の選択肢があるとき、ある選択肢を採用したことによって犠牲にされた選択肢を選んでいたならば得られたてであろう価値のことと定義されている。

ただ、事例はホテルのキャンセル料だあったり、特急料金の払い戻しの例であったり、機会費用を持ち出すまでもなく判る例が多く、あまり感心しなかったのも事実。



あなたの人生は「選ばなかったこと」で決まる 不選択の経済学 (日経ビジネス人文庫)

あなたの人生は「選ばなかったこと」で決まる 不選択の経済学 (日経ビジネス人文庫)

  • 作者: 竹内 健蔵
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2017/03/02
  • メディア: 文庫



nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

佐藤賢一の小説フランス革命シリーズ『サン・キュロットの暴走』と『ジャコバン派の独裁』 [書評]

佐藤賢一の小説フランス革命13と14つまり『サン・キュロットの暴走』と『ジャコバン派の独裁』を読みました。

フランス王ルイ16世を処刑したものの、依然として物価の高騰などで、庶民の生活は楽にならず、おまけに諸外国との戦争も不利な状況が続き、フランスは内乱状態となる。

本作から、新しい人物が登場してくる。ジャック・ルネ・エベール。新聞「デュシェーヌ親父」を創刊し、サン・キュロット(もともとは半ズボンをはかない人々の意で、貧困層のこと)の代弁者として頭角を現してきた男だ。下ネタ満載で庶民の代弁をする男だ。ジロンド派はマラを告発するが、マラは雄弁と支援するサン・キュロットの後押しで無罪となる。逆にサン・キュロットはジロンド派を追い落とそうと武力で圧力をかける。逆に、ジロンド派は地方で指示を取り付け反パリの姿勢を貫く…。

のちにロベスピエールの右腕と称されたサン・ジュストが、かなり放埓な生き方をしているのが判る描写があるのだが、清廉なロベスピエールに代わり、悪の部分を一身に引き受けようとするシーンが印象に残ります。
このシリーズも残り少なくなったなぁ。


サン・キュロットの暴走 小説フランス革命 13 (集英社文庫)

サン・キュロットの暴走 小説フランス革命 13 (集英社文庫)

  • 作者: 佐藤 賢一
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2014/12/16
  • メディア: 文庫



nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
前の10件 | -