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辻堂魁『風の市兵衛』シリーズ [書評]

辻堂魁の『風の市兵衛』シリーズを読み始めました。NHKで向井理主演でTVドラマ化されるという話をきいて、手に取りました。時代小説ですから、主人公の剣の腕が立つのは当然として、ソロバンを得意とするという設定が効いています。まぁ、さしずめ今風に言うならば、経営コンサルタント、中小企業診断士といったところでしょうか。

柳原堤下で、武家の心中死体が発見された。旗本にあるまじき不祥事に加えて、新たな借財までもが判明する。遺された妻と幼い息子は窮地に陥る。そこに渡り用人唐木市兵衛が雇われた。やがて、市兵衛によって、この事件の背後に、抜け荷と阿片をめぐる陰謀があることが…。

作中、市兵衛に立ちはだかる相手に、唐人剣をつかう美貌の女剣士がでてくるなど、ビジュアル的にもTVドラマ向きですね。ただ、もう少し、中小企業診断士といった側面に日を当てても良いのかなとは思いましたが、二作目の『雷神』では、市兵衛 が古着を扱う商いを提案し、成功します。(ここらは、佐伯泰英の『古着屋総兵衛』を思い出します。)

三作目『帰り舟』では、日本橋小網町の醤油酢問屋「広国屋」が舞台。渡り用人・唐木市兵衛は、使用人の不正を明らかにしてほしいということで雇われたのだったが、折しも広国屋に直買い(密輸)の嫌疑がかかっていて・・・。

いずれも、ツボは押さえた物語で、安心して読めます。すでに、このシリーズは二十巻を超える長い物語になっているので、今回は、TVシリーズ化されたものだけで、とりあえず打ち止めにしようと思います。


風の市兵衛 (祥伝社文庫)

風の市兵衛 (祥伝社文庫)

  • 作者: 辻堂 魁
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2010/03/11
  • メディア: 文庫



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映画『孤狼の血』 [映画]

映画『孤狼の血』を見てきました。血と暴力の匂いがフンプンとする作品です。出演者もみな力量のある人ばかり。素晴らしいのだが、原作を読んでいる身から言うと、何か物足りない。

いくつか原作と違うところがあります。
大上がやられて以降の最期のエピソードは、観客のカタルシスを目的としたものでしょうが、悪くない。日岡の捜査日記に、大上が添削していたことが最後のほうで判りますが、これも良い。また、日岡の恋物語らしきものも描かれていますが、これさえも大上の仕組んだことだったという展開はなかなか良い。
ただ、真木よう子が演じる里佳子は、原作では、クラブのママなどなどではなく小料理屋をやっていたのですが、その方がしっくりきますね。この点だけは感心しない。
評価は☆☆☆☆ですね。

http://www.korou.jp

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堂場瞬一『奪還の日 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真』 [書評]

堂場瞬一の『奪還の日 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真』を読みました。

一之瀬は、新たに強行班へ加わった後輩の春山と共に福島へ出張していた。事務所荒らしの末、警備員を殺害した事件の指名手配犯が福島県内で確保され、その身柄を引き取るためだ。楽な任務とわれたが、被疑者を乗せ福島駅に向かう途中、護送車が襲撃されて、容疑者島田を奪い去られてしまう。島田の行方を追ううちに、さきの事務所荒らしにあった会社の社長が刺殺される。しかも、防犯カメラの映像からその犯人が島田であることが確認される。島田の背景をさぐるために、丹念に聞き込みを続ける一之瀬だったが、そのうち島田の内縁の妻が誘拐されていることが判明する。

背景に、マネーロンダリングを巡る争いにしても、それが殺人事件にまで発展する理由が明確に説明されない。また、島田の内縁の妻が誘拐されている場所を突き止めたあとに、なぜ同期の城田が相手と対峙することになったのが説明不足。など、幾つかの点で疑問が残ります。

あと同じ著者の他のシリーズ物の主人公、鳴沢と大友も登場してくるのは嬉しい限りです。



奪還の日 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫 と)

奪還の日 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫 と)

  • 作者: 堂場瞬一 著
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/04/21
  • メディア: 文庫



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住野よる『青くて痛くて脆い』 [書評]

住野よるの『青くて痛くて脆い』を読みました。原作は未読なまま『君の膵臓をたべたい』の映画をみて感激しました。映画のほうは、主演の浜辺美波のすばらしさもあってのことだとは知りながらも、本作を手に取りました。少し、期待はずれかなぁ、という印象を最初に持ちましたが、よくよく考えると余韻の残る物語になっていますね。

自分が傷つきたくないために、人に近づきすきないように、誰かの意見を真っ向から否定しないことを信条にしていた大学一年生の田端楓。一年生の春、秋好寿乃と出会う。二人で「モアイ」という秘密結社をつくった。ところが、この「モアイ」が楓の考えとは違う方向で、大きくなっていく。そのことに反感を持った楓は、「モアイ」の粗を探して、「モアイ」に打撃を与えようとするのだが…。

特に前半が退屈。何故、楓がそうまでして「モアイ」を唾棄するのか、ちっともわからないまま、日常が語られる。物語の前半で、「あの時笑った秋好はもうこの世界にいないけど」と書かれており、『キミスイ』のこともあり、てっきり何かで秋好は亡くなったものと思っていたら、おっと、どっこい…と言う展開。ここからは、まぁ普通に読ませます。特に、大学を卒業して数年経ったと思われる最期のシーンはいいですね。

最初の感想は「最近の学生さんは大変だなぁ」というものです。いわゆる意識高い系でないと、まともに社会に出ることもできないのかなぁ、と思いました。私の時代(昭和50年代前半)とは大きく異なります。そうした若い人の今を写し取っているとも言える作品です。


青くて痛くて脆い

青くて痛くて脆い

  • 作者: 住野 よる
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/03/02
  • メディア: 単行本



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今村昌弘『屍人荘の殺人』 [書評]

今村昌弘の『屍人荘の殺人』を読みました。
デビュー作にして前代未聞の3冠という触れ込みのミステリーです。確かに一見するると本格物っぽい設定ですが、最近の私には、少し荷が重たかったようです。

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲が主人公。会長の明智恭介と、映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねる。
ところが、合宿一日目の夜、近くで実施されていたロックフェスティバルでバイオテロが発生し、想像しえなかった事態に遭遇した彼らは紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。
緊張と混乱の一夜が明け、部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった…。と言うお話しなのですが、単にクローズド・サークル(何らかの事情で外界との往来が断たれた状況のこと)を作り出すためだけにゾンビを使い、かつ、以後はそのお話しはまったく触れないというのは、斬新といえば、斬新かな。

ただ、犯人の動機が凡庸。これほどまでの殺意を抱く要因となる出来事がほとんど語られないのも無理がある。
また、最初は使えた携帯が、途中から使えなくなるのも、全く明かされていないように思うのだが…。


屍人荘の殺人

屍人荘の殺人

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/10/13
  • メディア: Kindle版



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柚月裕子『朽ちないサクラ』 [書評]

柚月裕子朽ちないサクラ』を読みました。最近日本のミステリー作家として、その力量にわたしが感心している著者です。主人公が広報課ということで、『64』を連想させるが、趣はかなり異なる。公安と刑事部との対立というよくあるお話になっている。

米崎県警平井中央署生活安全課が、被害届の受理を引き延ばし、ストーカー殺人を未然に防げなかったと、新聞にスクープされた。その対応で忙殺される県警の広報課の事務員、森口泉が主人公。その新聞社で記者をしている彼女の親友、千佳が殺された。その後、スクープ記事を漏らした、警察を退職した女性事務員も殺されていたことが判る。
ところが、ストーカー殺人の犯人がカルト集団に属していたことがわかり、物語は急展開するのだが…。

と言うのだが、物語の設定そのものに無理がある。なぜ、ネタ元を追っていた記者とネタ元となった女性を殺さなければいけないのか、納得いく説明が無い。それは、カルト集団にとっても、公安にとってもそうだろう。いささか強引に過ぎる。
一応、真相に辿り着いたと思えた泉の決断、事務員を辞めて、警察官を目指すというのはいいとしても…。


朽ちないサクラ (徳間文庫)

朽ちないサクラ (徳間文庫)

  • 作者: 柚月 裕子
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2018/03/07
  • メディア: 文庫



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柚月裕子『狂犬の眼』 [書評]

柚月裕子の『狂犬の眼』を読みました。映画化され、まもなく公開される「孤狼の血」の続編です。

所轄署から田舎の駐在所に左遷された日岡秀一は、穏やかな毎日に虚しさを感じていた。そんななか、なじみの小料理屋を訪ねた秀一は、そこである男を見かける。敵対する組長を暗殺して指名手配中の国光寛郎だと確信する。彼の身柄を拘束すれば、刑事として現場に戻れるかもしれない。日岡が目論むなか、国光は自分が手配犯であることを認め「もう少し時間がほしい」と直訴した。そして、工事現場の監督になりすまして、隠れていた国光たちの正体がばれて、警察に包囲されてします。人質となった女性事務員の身代わりとして、日岡を指名してくるのだが…。

著者は、ヤクザの世界を描かせたら、本当にうまい、と思う。ヤクザの知り合いはいないので、たぶんこうなんだろう、という一般の想像するヤクザ像にぴったりた。

ただ、日岡が国光と兄弟の盃をかわすシーンがあるのだが、もっと日岡に葛藤があっても良いように思うなぁ。また、日岡の眼を通して、ヤクザの抗争を見たという物語で、もっと日岡自身がもっと前面に出る物語でないと、少々消化不良といった感がある。
いずれにせよ、映画には期待です。


凶犬の眼

凶犬の眼

  • 作者: 柚月裕子
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/03/30
  • メディア: 単行本



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映画『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』 [映画]

映画『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』を観てきました。できは平凡ですね。
冒頭、箱に入ったボードゲームのジュマンジが出てきて、昔の映画を知っている方へのつかみはうまいです。
まぁ、現実の世界とゲームの世界のギャップが面白いと言えます。評価は[☆]?[☆]?[☆]?です。

http://www.jumanji.jp/sp/
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マイケル・ロボサム『生か、死か』 [書評]

マイケル・ロボサムの『生か、死か』を読みました。英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞という触れ込みですが、確かに面白い。主人公オーディ・パーマーの造形に成功している。

4名が死亡した現金輸送車襲撃事件の共犯として十年の刑に服していたオーディ・パーマー。奪われた七百万ドルの行方を知るとされる彼は、服役中どれほど脅されても金の在処を吐くことはなかった。時は経ち、出所日前夜。オーディは突如脱獄を果たす。もう一日待てば、自由も金もすべてが手に入ったはずなのに…。彼の決断の裏にある真相とは何か。
パーマーの脱獄後に、パーマーの獄中での親友モス・ウェブスターも何者かに脱獄させられ、パーマーを捕まえろと強要される。一方で、小柄なFBI女性捜査官、デジレー・ファーネスは一連の出来事に疑問を持ち、事件を追う。そのころ、脱獄したパーマーは、襲撃事件で自分を銃撃した保安官の息子を誘拐して・・・。

パーマーとモス、そしてファーネス捜査官の三者の立場で物語りは語られる。誰がどのような状況であったか、読んでいてい少し混乱するが、徐々に現金輸送車襲撃事件の真相が明らかになるという展開。
また、パーマーの脱獄の動機が、結局愛した女性との約束を守るためというのは、まぁ小説とはいえ、当たり前すぎる印象ではある。

モスがパーマーが言っていたことを紹介するシーンあるが、
「キリスト教科が道徳を独り占めしてるともな。ご立派なことを口にしたって、することはキリストよりジョン・ウェインだって、よくいってたよ」
「聖書を盾に二千年も屁理屈をこねてると、爆弾を落として人を殺しまくって、それを正しいと言い張るようになる。隣人を愛し、打たれたら別の頬を向けろと書いてあるのに」


まったく、その通りですね。


生か、死か (ハヤカワ・ミステリ文庫)

生か、死か (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 作者: マイケル ロボサム
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2018/03/06
  • メディア: 文庫



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映画『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』 [映画]

映画『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』を観てきました。確かに、いい映画だとは思いますが、少し淡々とし過ぎていて、盛り上がりに欠けます。

ワシントン・ポストが、もともと家族経営でやっていたことを始めて知りました。また、作中マクナマラが語るニクソン評が面白いですね。判事の言葉として紹介される「報道機関が仕えるのは国民であって、時の権力者ではない」という言葉がとても印象に残ります。評価は[☆]?[☆]?[☆]?と半分です。

http://pentagonpapers-movie.jp/sp/

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