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ロバート・クレイス『容疑者』

ロバート・クレイスの『容疑者』を読みました。犬好きでなくても、感涙もののミステリーです。

ロス市警の刑事スコット・ジェイムズは相棒のステファニーとパトロール中、銃撃事件に遭遇する。銃弾はふたりを襲い、ステファニーは死亡、スコットも重傷を負った。事件から九カ月半、犯人はいまだ捕まっていない。事件前の決定どおり警備中隊へ配属となったスコットがそこで出会ったのは、新たな相棒マギー。アフガニスタンに従軍し、そこでスコットと同様大切な相棒を失った雌のシェパードだった。心に傷を負ったひとりと一匹が新しいコンビを組み、そもそもの銃撃事件の真相に迫る…。

特に、マギーの立場から書かれた章が秀逸である。銃撃事件の真相はには、意外な裏があり、スコット自身が殺人の容疑をかけられたりするのである。そして、最後は、お決まりの通りであるが、窮地になっても相棒を守ろうとするスコットとマギーの姿が涙をさそう。


容疑者 (創元推理文庫)

容疑者 (創元推理文庫)




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堂場瞬一『見えざる貌 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真』 [書評]

堂場瞬一の『見えざる貌 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真』を読みました。
新人刑事の成長を描くシリーズの二作目です。

皇居周辺ジョギングをする女性が立て続けに襲われる。被害者にランナーである以外の共通点はなく、通り魔的な犯行と考えられた。警察が警戒する中、第三の事件が発生。女性タレント・春木杏奈が襲撃され、一之瀬は杏奈の警護にあたることとなる。その直後、杏奈とおなじランニングウェアを着た女性が襲われ、ついに殺人事件に発展する。

ポイントは犯人逮捕した後のほうだろう。もともとの犯行の原因となった事態にタレント・春木の特異な性格が関係していると考えた一之瀬だったが・・・。

一之瀬の同期の半蔵門署刑事課・若杉と野関係など、一歩一歩階段をのぼっていく拓真が丁寧に描かれています。


見えざる貌 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫)

見えざる貌 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫)




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堂場瞬一『ルーキー - 刑事の挑戦・一之瀬拓真』 [書評]

堂場瞬一の『ルーキー - 刑事の挑戦・一之瀬拓真』を読みました。この著者には『刑事・鳴沢了シリーズ』もあるが、それとは違って、こちらは新人刑事が主人公。したがって、ミステリーという側面よりも、新人の生長物語という側面が強いかもしれない。

一之瀬拓真、二十五歳。交番勤務から千代田署刑事課強行犯係に転属した新人刑事。管轄はビジネス街――このエリアは窃盗犯中心だと聞いたが、初日から殺人事件が起きる! 被害者に恨みをもつ人物はなかったが、不審な入金が発覚し、捜査陣は色めきたつ。一之瀬は教育係の藤島の薫陶の下、第一歩を踏み出すが、やがてある新興のIT企業傘下の会社の粉飾決算との関係が浮かび上がってくる。

一之瀬拓真もまた、組織の人間として、この事件に向き合うのだが、その過程で暴力団の男や新聞記者などとの関係で、学んでいく。『刑事・鳴沢了シリーズ』ほど泣けないと思うが、まぁ、このシリーズはしばらく続けて読んで見ようかと思います。


ルーキー - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫)

ルーキー - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫)




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M・J・カーター『紳士と猟犬』 [書評]

M・J・カーターの『紳士と猟犬』を読みました。舞台は、1837年、まだ東インド会社が支配するインド。ほとんどミステリーらしいことは発生しないのだが、いかんせん、インドと言う舞台設定だけで読ませる。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞&英国推理作家協会賞新人賞W受賞の歴史ミステリです。

上官に呼び出された軍人エイブリーは、奥地で姿を消した詩人の行方を捜すよう命じられる。この任務に同行するのは“ブラッドハウンド”と呼ばれる謎の男ジェレマイア・ブレイク。反りが合わないながらも旅に出たふたりを大いなる陰謀と冒険が待ち受ける!、といっても、でてくるのはインドの暗殺者集団(?)サグと東インド会社をめぐる陰謀である。

主人公エイブイリーの最後の判断も中途半端と言う印象がぬぐえない。一軍人としては仕方がないか。
今日的な立場からみれば、東インド会社というインドの植民地統治機関へと変貌していく組織のありようを認めたくはないが、やがて発生するインド大反乱へとつながっていくお話だ。じつは、本書には続編もありそうなのだが、インドの風物への関心だけで読ませるのはつらいと思うなぁ。


紳士と猟犬(ハヤカワ・ミステリ文庫)

紳士と猟犬(ハヤカワ・ミステリ文庫)




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谷治宇『さなとりょう』 [書評]

谷治宇(たにはるたか)の『さなとりょう』を読みました。このタイトルだけでは分かりにくですが、りょうとは、坂本龍馬の妻のおりょうさんのことで、さなとは北辰一刀流桶町千葉道場主・千葉定吉の二女の佐奈のことで、龍馬の許嫁であったという。頃は明治六年、二人が協力して、龍馬暗殺の真相に迫るというお話です。
なかなか面白い作品に仕上がっていますが、タイトルに二人の名前がありますが、主人公あくまで佐奈さんでしょうね。もう少しりょうさんが描けていればよかったと思いますね。

物語の冒頭のつかみ、佐奈が旧幕臣の無頼の徒をいとも簡単に懲らしめ、千葉の鬼小町と呼ばれた片鱗を見せつける入りは大変うまいです。

ただ、龍馬暗殺の理由というのは、その背後には西郷や勝がいたというのは、少し説得力にかけるような気がしますが、最後のシーンは印象的です。


さなとりょう

さなとりょう




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佐藤賢一『小説フランス革命(10)ジロンド派の興亡』 [書評]

佐藤賢一の『小説フランス革命(10)ジロンド派の興亡』を読みました。

1792年、フランスでは、さらなる凶作と物価の高騰に民衆はいまだ飢え、苦しんでいた。そんな中、失墜した王家の威信を取り戻したいルイ16世は、国民の不満を国外に向けるため他国との戦争を望むジロンド派の面々を起用し、開戦内閣を組織し、戦争を始める。だが、緒戦は敗戦続きで、さらなる不満が鬱積する。

高校の世界史のフランス革命に関する知識しかもっていないわたしにとっては、はじめて知る人物だが、本編から登場してくるロラン夫人によって多くが語られている。ジロンド派の黒幕的存在だったことからジロンド派の女王とも呼ばれたそうだ。結局、最後はご他聞にもれず処刑されるのだが、そのとき、「自由よ、汝の名の下でいかに多くの罪が犯されたことか」という有名な言葉を残す。知らなかったのは私だけみたいです。初めて、このシリーズで女の視点が入ってきました。

民衆による抗議行動が起こるが、ルイ16世は、これを何とか乗り切る。この小説では、ルイ16世は単なる、愚昧な王としては描かれていない。ここらは印象的です。

そろそろ、本作であまり登場しなかったロベスピエールが牙をむくのかなぁ・・・。





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柚月裕子『慈雨』 [書評]

柚月裕子の『慈雨』を読みました。わたしにとっては、初めての著者ですが、なかなか良い小説です。ただし、その面白さはミステリーの側面ではない。

警察官を定年退職した神場智則は、妻の香代子とお遍路の旅に出た。42年の警察官人生を振り返る旅の途中で、神場は幼女殺害事件の発生を知る。16年前、自らも捜査に加わり、犯人逮捕に至った事件と酷似していたのだ。しかも、その犯人には、冤罪の可能性もあったのだが、県警はそのことに蓋をしてしまった。いまだに罪の意識を持つ神場は、かつての部下を通して捜査に関わり、あることに思い当たる…。

特に、次のシーンは泣けましたね。一人娘の幸知は、実は殉職した先輩警官の子どもを養子にしたものの、その事実を幸知につげていなかった。が、幸知はそのことを知っていると、捜査に協力してくれ、幸知と付き合っている後輩刑事、緒方から知らされるというシーンがです。

「私、前にあなたに、根っからの刑事なのね、って言ったことがあったでしょう。私は根っからの、刑事の妻なのよ」という香代子のセリフで物語りは終わるのが印象的です。

ただ、物語は唐突に終わる。とくに、現在の事件は容疑者を逮捕して良しとしても、16年前の事件については、明確には語られない。また、いかに先輩刑事であったとしても、辞めた刑事から現役の刑事がアドバイスを受けるかなぁ、といった疑問も残ります。

初老にはいった夫婦が八十八箇所をめぐりながら、今までの人生を振り返る物語としては、良くできています。


慈雨

慈雨




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上橋菜穂子『鹿の王』 [書評]

上橋菜穂子の『鹿の王』を読みました。NHKのTVドラマ『精霊の守り人』が、きっかけですっかりファンになり、『獣の奏者』も読んで、たどりついた『鹿の王』。本屋大賞を受賞したという触れ込みだが、どうだろう、上橋菜穂子さんの作品にしては、少し期待はずれだろうか。

とくに、冒頭の掴みがあまい。一方の主人公であるヴァンが奴隷に落とされ、岩塩鉱に囚われているのだが、一群れの不思議な犬たちが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生するところから話が始まるのだが、一体何が何だがわからない展開で、少し退屈しそうになる。そこで、もう一方の主人公、天才的医師であるホッサルが登場してから、物語りは面白くなっていく。様々な人物が登場し、黒狼病という病との闘いが描かれる。そこに民族間の争いがはいってきてややこしい展開となる。
ただ、この結末も、「あり」だと思うが、『獣の奏者』ほど感激的ではない。

確かに、その世界観は良く描かれている。本書のテーマは、生命の不思議であり、生きると言う意味を問うているのだろうが、むしろ、侵略したほうの国と侵略された国があるが、民はそれぞれの生活の中で、お互いに必要な人になっていると言う点に焦点を当てた方がよかったと思うしだいである。





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マシュー・サイド『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』 [書評]

マシュー・サイドの『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』を読みました。失敗とタイトルがついた本の中では、中央公論者から出版されている『失敗の本質』と並んで面白い本でした。

冒頭、航空業界と医療業界の比較から始まる。
2013年には、3640万機の民間機が30億人を乗せて世界中の空を飛んだが、そのうち、亡くなったのは210人のみだ。一方で、アメリカでは毎年4万4000〜9万8000人が、回避可能な医療過誤によって死亡しているという。これは、ボーイング747が毎日2機事故を起こしているようなものだ、という驚愕のデータが示される。

両業界の違いは本書のタイトルにもあるように、、失敗から学ぼうとするか否かで分けているのだが、たしかに医療現場は、時々話題になる事故やミスの話をきいても、そこから皆で学ぼうと言う意識は低そうだ。
なにしろ、「わたし、失敗しないんで・・・」とうそぶく女医が主人公のテレビドラマが大人気であったりするぐらいですからね。

ただ、残念なのは、ただ、航空業界も最初からそうであったとも思えず、今に至る過程や、現在の実際の取組内容についても詳しく紹介して欲しかった。

いずれにせよ、
真の無知とは、知識の欠如ではない。学習の拒絶である。

と言う言葉は印象的である。


失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織

失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織

  • 作者: マシュー・サイド
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2016/12/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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畠山健二『本所おけら長屋(八)』 [書評]

畠山健二の『本所おけら長屋(八)』を読みました。ちょうど、一年前に知ってから、すっかりお気に入りのシリーズになりました。前作(七)の感想で、パターンが見えてきたと書いたが、なかなかどうして八巻は快調そのものです。

特に、第一話の『すけっと』がいい。病身の父親に代わって、仇討ちをするので、剣術を教えてくれと、おけら長屋の浪人、島田鉄斎に頼み込んできた娘がいた。通常であれば、娘を助けて、無事仇を討たせるという物語を想像するところだが、おっとどっこい。そこからひねりが効いていて、かつホロリとさせる物語になっている。
『うらしま』に出てくる、万松コンビが出いりしている居酒屋のお栄さんも、きっぷが良くって、いいですねぇ。
相変わらず、涙を拭くハンカチを握り締めながら電車の中で本書を読みました。


本所おけら長屋(八) (PHP文芸文庫)

本所おけら長屋(八) (PHP文芸文庫)




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