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マイクル・コナリー 『罪責の神々』 [書評]

マイクル・コナリー の『罪責の神々』を読みました。お馴染みの弁護士ミッキー・ハラーのシリーズ ですが、さすがにマイクル・コナリー、納得のいく面白さになっている。

娼婦グロリア・デイトンが殺される。その容疑者としてポン引きのアンドレ・ラコースが逮捕される。そのラコースがミッキーを弁護士として指定してくる。ラコースに言わせると、デイトンがミッキーこそがナンバー1の弁護士だと言っていたというのだ。かつての依頼人デイトンが名前を変え、ロスに戻り、娼婦に復帰し、殺されていたとは意外だった。ハラーは、ラコースの弁護を引き受けることにした。
実はこの事件のうらには、悪辣な麻薬捜査官がおり、ミッキーの車も襲われるのだが・・・。

後半の盛り上がりはさすがです。ハラーの娘との間の問題も描かれています。



罪責の神々 リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)

罪責の神々 リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)

  • 作者: マイクル・コナリー
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/10/13
  • メディア: 文庫



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葉室麟『天翔ける』 [書評]

葉室麟の『天翔ける』を読みました。葉室麟さんは、一般には、映画になった『蜩ノ記』で有名だと思いますが、昨年12月に亡くなられました。本当に残念です。

本作は、越前福井藩主・松平春嶽を主人公に据えた物語です。春嶽の名前だけは知っていましたが、テレビドラマでも詳しく扱われていない人物ですが、旧幕府と新政府、両者で要職に就いた人物です。

坂本竜馬や西郷吉之助もでてきます。ただ、島津久光と徳川慶喜は我欲の人として描かれてます。
ただ、物語としては、やや淡々として、物足りない。これは、春嶽が西郷などとちがって、中庸の人だったからでしょうか。
「さようかもしれません。偏ったものこそが、正しく見えることは、ままあることでございますから」

という春嶽の正室、勇姫の言葉がでてくるのがその証拠でしょう。

ただ、本作中に次のような一節がでてくる。これが葉室さんの明治維新に対する評価なのでしょうね。

明治初年に尊攘派以外の政府要人はしだいに遠ざけられ、その後、明治維新は尊攘派による革命であったかのように喧伝されていくのである



天翔ける

天翔ける

  • 作者: 葉室 麟
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/12/26
  • メディア: 単行本



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ダヴィド・ラーゲルクランツ『ミレニアム5 復讐の炎を吐く女』 [書評]

ダヴィド・ラーゲルクランツの『ミレニアム5 復讐の炎を吐く女』を読みました。

『ミレニアム1~3』まではスティーグ・ラーソンが書いていたのですが、その後ラーソンが急逝してしまったので、続編はないものと思っていました。本作はダヴィド・ラーゲルクランツという別人の作品ですが、『ミレニアム4』も大変面白く仕上がっていました。その続編ですが、訳者あとがきによると、ラーゲルクランツはどうやら6作目までは書こうと決めているようだ。

なにかとリスベットを支援してくれた、元後見人のホルゲル・パルムグレンが何者かによって殺される。
人の性格を決めるのが、遺伝なのか、環境なのかを明確にする研究のために、過去にある研究機関が、双生児をそれと知れずにまったく別の境遇におき、その後の育成状況を調査していたことが、事の発端だ。そして、リスベット自身も、その研究対象であったのだ・・・。ただ、最期にはリスベットが誘拐され、生命の危機におちるが、ハッカー仲間の協力を得て・・・と言った展開は、型どおりといえばその通りだが、面白く仕上がっています。
 
ただ、難を言えば、リスベットの過去と絡んでいるとはいえ、そのできことに関与した人々の動きが中心で、リスベット本人の登場シーンが少ないこと。
まだ、最期にリスベットがパルムグレンの告別式で、なぜドラゴンのタツゥーを入れたのかわかる逸話も披露される。なかなか泣かせますね。

おそらく第6作は、双子の妹、カミラとの対決でしょうね。

ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 上

ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 上

  • 作者: ダヴィド ラーゲルクランツ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/12/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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柚月裕子『孤狼の血』 [書評]

柚月裕子の『孤狼の血』を読みました。この著者はわたしにとっては『慈雨』以来ですが、『慈雨』とは、全く趣のことなるハードな作品となっています。

役所広司主演で、今年5月に公開が予定されている映画の予習として読みました。この手のパターンでは
原作に比較して、映画にガッカリすることが多いいのですが、現時点では、映画への期待が膨らみます。
映画の公式サイトを見ながら、この役はこの人が演じるのかと思いながら、楽しみにしています。

ところで、本作は、広島の呉を舞台にした暴力団同士の抗争と警察との関係を描いていますが、差別では
ないけれど、女性作家がこんなに骨太な作品を書くのかと正直、驚きです。
暴力団との癒着が噂されるベテラン刑事大上を役所広司が、新たに大上のしたに配属された新米刑事日岡
を松坂桃李が、そのほかにもそうそうたる面々が演じます。
刑事大上の最期と、その後の後日談が少しあっさりしすぎていると言う印象が残ります。ただ、最期に日岡が抱えていた密命が明かされる点と、それに対する日岡の態度には感銘を受けます。そんなに単純に割り切って良いのかと疑問残りますが・・・。


孤狼の血 (角川文庫)

孤狼の血 (角川文庫)

  • 作者: 柚月裕子
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/08/25
  • メディア: 文庫



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上田秀人『忖度 百万石の留守居役(十)』 [書評]

上田秀人の『忖度 百万石の留守居役(十)』を読みました。おなじみ、若くして留守居役をおおせつかった、瀬能数馬の物語ですね。相変わらず、さらさらと読めます。

お国入りの藩主綱紀への襲撃は、百万石を世継ぎなしの危機に陥らせるものだった。加賀藩を思うままにしようとした者は誰か。綱紀と宿老本多政長は、瀬能数馬を隣藩福井に向かわせた。加賀の監視役にして名門の越前松平家。敵城で藩主面会に臨む数馬はいきなり包囲されてしまうが、加賀藩がかかえる忍び、軒猿と瀬能家の家士、石動蔵之介の活躍で血路を開くが・・・。一方、琴も数馬救出のため一計を案じ・・・。
一方で、江戸の闇を牛耳る、武田二十四将の一派が加賀藩邸を襲う、佐奈の活躍もあって何とか持ちこたえるが・・・。

というお話し。この 百万石の留守居役のなかでは、一番、剣戟シーンが多く、緊迫している。ただ、各々の藩の血筋など詳しく解説してあるが、そこらは全く読み飛ばしています。気になるのは、佐奈の手裏剣一本が敵に持ち去られたこと。将来、悪用されなければいいのだけれど・・・。


忖度 百万石の留守居役(十) (講談社文庫)

忖度 百万石の留守居役(十) (講談社文庫)

  • 作者: 上田 秀人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/12/15
  • メディア: 文庫



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陳浩基『13・67』 [書評]

昨年の暮れですが、陳浩基の『13・67』を読みました。本書のタイトルは1967年から2013年までの出来事を描いているところからきているらしい。香港を舞台にした六つの短編からなる本作だが、どれも水準以上でさすがに国内のミステリーで幾つかの賞をとっているだけのことはある。

香港警察のクワン警視の活躍を描いているが、第一話と最後の第六話で登場人物がつながるところなど、大変うまくできている。また六話ともに、微妙に世界感が異なる点、これは香港の歴史とあいまって、事件も誘拐事件であったり、凶悪犯との銃撃戦であったりと、そこらのバランスも大変すばらしい。

1960年代に、こんなに反英闘争の嵐がふきあれていたなんで、当時中学生であったわたしは全く知りませんでした。


13・67

13・67

  • 作者: 陳 浩基
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/09/30
  • メディア: 単行本



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ジェフリー・ディーヴァー『スティール・キス』 [書評]

ジェフリー・ディーヴァーの『スティール・キス』を読みました。おなじみ、リンカーン・ライムのシリーズの最新作です。最近のディーヴァー作品のなかでは、なかなか面白い作品になっています。

殺人犯を追跡中の刑事アメリアの目前で、エスカレーターが通行人を巻き込んだ。救助活動もむなしく男は死亡、殺人犯も逃走してしまった。しかい、リンカーン・ライムが警察の顧問を退いていたため、アメリアは単身、捜査をつづけるほかなかった。一方そのライムは、エスカレーター事故の遺族から民事訴訟のために調査を依頼される。ライムの弟子として働き始めた元疫学研究者ジュリエット・アーチャーを交え、調査が開始したが、そんななか、「民衆の守護者」となのる人物から、物質文明への警告を含むメッセージが投稿される・・・。
この事件の背景には、最近話題のIoT機器のセキュリティ問題がからんでいます。エスカレータだけでなく、ガスコンロ、電子レンジ、きわめつけは自動車による事件が立て続けにおこる。

加えて、アメリアが以前に付き合っていた警察官のニックが戻ってきて、強盗之罪で逮捕されて、服役後出所してきたのだが、実は自分は無実で、無実を証明することに協力してくれ、と言い出す。

犯人のうらには、彼を操る、真の目的を持った人物がいて・・と言う設定。またニックにも・・・と言った設定で、実行犯に心の動きも丁寧に描いてあり、少し同情したくなる。IoT機器のセキュリティ問題はわかりますが、こんなに、次から次への簡単にハッキングできるとは、ちょっとねぇ。そこはフィクションだと割り切りたいですね。
どうやら、アメリアとライムは結局、結婚を決意したようで、今後はまた大きく展開が変わりそうですね。


スティール・キス

スティール・キス

  • 作者: ジェフリー ディーヴァー
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/10/30
  • メディア: 単行本



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グレン・エリック・ハミルトン『眠る狼』 [書評]

グレン・エリック・ハミルトンの『眠る狼』を読みました、幾つかの賞を獲得している本作ですが、今日的には、いささか物語のテンポが、特に前半悪いと思う。

帰ってきてほしい―十年前に故郷を離れ、海外で軍務についていたバン・ショウのもとに、ずっと音沙汰のなかった祖父からの手紙が届く。プロの泥棒である祖父の弱気な言葉に胸が騒いだバンは、急ぎ帰郷した。だが到着した彼を待っていたのは、頭に銃撃を受けた祖父の姿だった!人事不省の祖父をまえに事件の真相を追う決心をしたバンは祖父の仕事仲間に協力を仰ぐのだが、やがて、6百万ドル相当の工業用ダイヤの強奪事件が発生していたことをバンは知る。そして、祖父殺害の犯人と思しき男たちとの対決になるのだが・・・。
ここらあたりは、大変テンポ良く描かれている。そして、意外な結末がまっている。

物語の間で、現在ではなくて、過去のバンと祖父との思い出が挿話される。これの扱いがうまい。徐々にお互いを理解していく過程がうまく描かれている。



眠る狼 (ハヤカワ文庫NV)

眠る狼 (ハヤカワ文庫NV)

  • 作者: グレン・エリック・ハミルトン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/04/06
  • メディア: 文庫



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青山文平『鬼はもとより』 [書評]

青山文平の『鬼はもとより』を読みました。『つまをめとらば』で直木賞を受賞していらい、お気に入りの著者ですが、本作は、時代小説に経済の問題をもちこんで、面白い小説になっています。

物語の主題として、藩札(江戸時代に各藩が独自に領内に発行した紙幣のこと)が取り上げられています。わたしは、この藩札について知らなかったが、随分とたくさんの藩で発行されていたらしい。実通貨との交換を前提としていた藩札だが、実際には、それだけの実通貨を用意できた藩はすくなく、藩札の運用が行き詰った場合には、取り付け騒ぎや一揆、打ちこわしが発生したとも言われている。(wikipediaより)

ストーリーは、期せずして藩札掛となった奥脇抄一郎が藩札掛りの頭である佐島兵右衛門亡き後、藩札の増刷を求める家老に反対し、脱藩し浪人となる。ただ、この時期に培われた藩札掛としての知見が他藩の目に留まり、東北の小藩、島村藩の財政の建て直しに赴く。今風にいうなれば経営コンサルタントとなる、と言うお話です。

『鬼はもとより』というタイトルは、藩政の改革のためには、心を鬼にするだけの信念と実行力が必要だという、執政の梶原清明の姿からきていると思われるが、どんな鬼ぶりかは、本書を読んでください。

ただこの藩札、中央政府が認めていない通貨という意味で、ビットコインなどの仮想通貨とも似た部分がありますね。
本書では、どちらかと言うと、藩札そのものよりに、藩財政の建て直しのための案(産業振興案)のほうが中心になっており、もう少し、藩札について掘り下げてあったらよかったのにと思います。


鬼はもとより (徳間文庫 あ 63-1 徳間時代小説文庫)

鬼はもとより (徳間文庫 あ 63-1 徳間時代小説文庫)

  • 作者: 青山文平
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2017/10/05
  • メディア: 文庫



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ジャック・カーリィ『キリング・ゲーム』 [書評]

ジャック・カーリィの『キリング・ゲーム』を読みました。これも、お馴染みのカーソン・ライダーを主人公とするミステリーです。そこそこ読ませるのはさすがです。予想外の結末がまっているのだが、かなり中途半端な終わり方になっており、少し引っかかります。

ただ、犯人が、ルーマニアの生まれで、かのチャウシェスクの時代に、悲惨な幼児期を過ごしたことが関係している。そのチャウシェスクの時代に、出生率をあげることで、国の労働力を強化すると決めて、避妊と中絶を禁止して、子どもを大勢もつことを推奨した。これによって、ルーマニアの人口は増加に転じたが、今度は育児放棄によって孤児院に引き取られる子供が増えるという新たな問題が生じた。こうした子供は、ストリートチルドレン化するなど後々までルーマニアの深刻な社会問題となった。
といった、史実はわたしには初耳でした。少子高齢化が騒がれる日本だが、こんな馬鹿なことが日本で起こらないことを祈りたい。

犯人の側の視点からも物語りは描かれていて、それは良いのだが、ところどころ唐突に被害者となる人物の話がはさまり、かなり読みにくい。これはもう少し整理したほうが良いだろう。


キリング・ゲーム (文春文庫 カ 10-7)

キリング・ゲーム (文春文庫 カ 10-7)

  • 作者: ジャック・カーリイ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/10/06
  • メディア: 文庫



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