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ロスト・シンボル [海外翻訳]
ラングドンはハーバード大学の宗教象徴学の教授。
いつものように朝の日課の水泳を終えたところに、旧友であり、フリーメイソンの最高幹部である大富豪のピーターから連絡が入った。
急遽今夜、ワシントンDCの連邦議会議事堂で講演をしてほしいとのことだった。
専用ジェットとリムジンのお迎えで首都に向うと、そこでは恐ろしい運命が待ち受けていたのだった。
◇ ◇ ◇
ダン・ブラウンの大ベストセラー『天使と悪魔』、『ダヴィンチ・コード』でブレイクしたラングドン教授ものの3作目です。
昨日の夜、ヒッグス粒子のニュースが駆け巡りましたが、その実験を行ったのは欧州合同原子核研究機関(CERN)です。
私がそのCERNの存在を知ったのはもう何年も前ですが、『天使と悪魔』を読んだときでした。
反物質がCERNから盗まれることから『天使と悪魔』の物語が始まります。
本当にそういう研究機関があることにびっくりしました。
(スタートレックを見ていると普通に反物質が出てくるので、これまたびっくりなんですけど)
ダン・ブラウンには宗教的でオカルトっぽいところもありますが、科学のうんちくもふんだんにあるのが特徴です。
今回も純粋知性科学研究所が出てきますが、これまた本当にあるということです。
物語ではそこの科学者が人間の魂にも重さがあることを証明したことになっていて、なんだかヒッグス粒子と似たような話だなと思いました。(全然違うのかな)
『ロスト・シンボル』はフリーメイソンのことが詳しくでてきます。
ダン・ブラウンの本を読む前は、フリーメイソンはカルト的な秘密結社なのかと思っていましたが、どうも違うようです。
政治家や財界のトップに多く、堂々と自分はフリーメイソンだと発表している人もいるらしいので、認識があらたまりました。
この物語はページターナーでおもしろかったのですが、最後の最後が思わせぶり過ぎて拍子抜けでしたね。
この町の誰かが [海外翻訳]
郊外の小さな町で高校生の女の子サリーが惨殺死体となって発見されます。
そこは人口1万8千人、黒人はふたりしかいない、殆どが中流家庭で知り合い同士という町です。
サリーはご近所のお宅でベビーシッターをしている最中にレイプされ、ハンマーで殴り殺されました。
きちんとした家庭の品行方正な女の子を無惨に殺害した犯人はこの町にいるのでしょうか?
小さな町で疑心暗鬼が広がります。
◇ ◇ ◇
すべてインタビュー形式で書かれている異色の作品です。
つまり、ほとんどが会話文なんです。
ですので、小説とお芝居の脚本の中間みたいになっています。
邦題は「この町の誰かが」となっていますので、犯人の謎解きがメインの作品に思われますが、どちらかというと犯人探しは二の次のように思われます。
それよりも、サリーの死によって平和で安全だと思っていたコミュニティーの中で、不穏な空気が流れて町が崩壊していく模様を書いた作品ではないでしょうか。
町の有力者たちは少数派の人たち――よそ者、黒人、知的障害者、ゲイetc.――を犯人ではないかと疑い、はじいていこうとします。
その模様が嫌らしく描かれています。
恐らく90年代に書かれたのだと思いますが、60年代のアメリカが舞台のような気にさせられます。
アメリカの郊外の小さな町はそれだけ変わっていないということでしょうか。
エージェント6 [海外翻訳]
レーニン時代のソビエトで秘密警察の優秀な捜査官であるレオは、あるVIPの警護をまかされる。
そのVIPとはアメリカの人気黒人歌手のジェシー・オースチン。
オースチンは共産主義に傾倒し、ソビエトが理想の国だと信じていた。
そのオースチンがソ連を訪問することとなり、ソ連に幻滅を感じさせないよう案内するのがレオの任務だった。
時が経ち、レオは捜査官をやめていた。
そんな折、ニューヨークの国連で、アメリカとソ連の子供たちが親善を目的とした演奏会をする話が持ち上がった。
学校の教師をしている妻のエレナとふたりの娘がそのコンサートに参加することになった。
元秘密警察だったレオは渡米できず、ひとりソ連に残っていた。
すると妻のエレナがニューヨークで殺害されてしまう。
冷戦時代の両国で穏便に事を片づけようとして、事実とはまるっきり違った報道がなされた。
レオは妻を殺した真犯人をつきとめようと誓うが、自分はアメリカに渡れない。
果たしてレオがニューヨークの地に立つのはそれから16年後のことだった・・・。
◇ ◇ ◇
「チャイルド44」、「グラーク57」に続く3作目で、本書が完結編らしいです。
でも、前の2作を読んでいなくても、充分楽しめます。
「エージェント6」ていつ出てくるのかな? と思っていたら、ちゃんと最後に出てきました。
妻を亡くし傷心のレオはアフガニスタンに派遣されます。
まだアメリカがアフガニスタンに興味を示す前で、ソ連がなんとか支配しようとしているころが舞台になっています。
あらすじには書きませんでしたが、アフガニスタンでのエピソードも読みごたえがありました。
「チャイルド44」は猟奇的殺人事件をモチーフにしたもの、「グラーク57」はどちらかというと冒険活劇、そしてこの「エージェント6」はスパイものの要素が強い感じがします。
三部作なのに、主人公は同じなのに、3つとも違ったタイプの物語になっているところが凄いと思いました。
作者のトム・ロブスミスは若くてかっこいいんですよね
実は、来日したときトークショーに行ったんです。
でも、残念ながら女性には興味ないみたい。
(どうして残念なのかわからないけど、残念です)
ピザマンの事件簿2 犯人捜しはつらいよ [海外翻訳]
オクラホマ州の小さな町に住むテリーとその仲間たちの事件簿です。
テリーは昼間は大工の請負をして、夜はピザを配達している、とっても働きものの若者です。
大工の仕事も徐々に頼まれることが多くなり、順調な生活を送っていました。
そんな折、テリーが自分のトレーラーで寝ていると、銃声が聞こえてきました。
ルームメイトで警察官のジョンと銃声のしたほうへ行ってみると、テリーの別居中の妻のメリールーが銃を持ってふらふら歩いていました。
そばのトレーラーを覗くと、男が銃で撃たれて死んでいました。
メリールーが男を殺した!?
そんなことは信じられないテリーは、仲間と共に真犯人を捜すのでした。
◇ ◇ ◇
シリーズの1作目がおもしろかったので、続けて2作目も読んで見ました
1作目より、ミステリーらしい展開だったと思います。
警察には何も話さない住民も、テリー達が聞いてまわればぽろっと重要な情報しゃべってしまう、という仕組みです。
まあ、何より、ガテン系のテリーとテリーの仲間達の生活ぶりが魅力的ですね。
みんな若くて働き者で、友情があつく、交わす冗談がおもしろいです。
でも、小さな町で、それもテリーのまわりでそんなに頻繁に殺人事件が起きないだろうし、長くシリーズ化というのは苦しそうですね。
死刑囚 [海外翻訳]
舞台はスウェーデン。
船の中のダンスフロアーで歌っていたプロの歌手が、突然男性客を殴り重傷を負わした。
男性客が女性客に酔っぱらって悪さをしていたからだという。
警察がその歌手の男を逮捕してみると、男はなんと、アメリカ人で6年前に死んだ人物だった。
それも、死刑囚として服役しているときに心臓病で死んだはずだった。
17歳のとき、ガールフレンドを殺害した罪で死刑を言い渡されたが、本人は無実を訴えていた。
その男がスウェーデンに住み、妻と子供と暮らしていたのはなぜか?
◇ ◇ ◇
スウェーデンには死刑がありません。
州によって違いますが、スウェーデン人にとってはアメリカに死刑制度があることが野蛮に思えてしょうがないようです。
そこで、アメリカの死刑制度に一石を投じるため、この小説を書いたようです。
「人間が人間を法律で殺すのはおかしい」、「冤罪だったらとりかえしがつかない」ということを訴えたかったみたいで、まずそれがありきなので、ところどころ苦しい展開になっている部分がありました。
でも、この程度の抗議じゃ、アメリカ人はなんとも感じないでしょうね。
死刑囚のジョンが気概のない奴で、もっとちゃんとしろ!と言いたくなるようなキャラでした。
スウェーデン警察の面々は、シリーズ化しているらしく、キャラが確立していて面白かったです。
ヘニングマンケルやミレニアムシリーズのミステリーも警察関係者のキャラが楽しいので、警察小説はスウェーデンの得意分野なのだと思いました。
ピザマンの事件簿 デリバリーは命がけ [海外翻訳]
ミステリーの女王アガサ・クリスティをはじめとして、上流階級を描くミステリー作家は多いですが、この物語の主人公は面白いことにガテン系です。
「おれ」ことテリーは大工をしていましたが、傷害事件を起こして刑務所行きなりました。
無事お務めを終えたときには、職を失い、奥さんからも離婚を言い渡されるという始末。
しかたがなく、とある小さな町に住む友人のところへ転がり込みます。
近くにある 『カーロ』でピザの配達人を募集しているのを知り、現金の欲しいテリーは『カーロ』で働き出します。
モデル並みのいい男グラフや、とっても可愛い女の子ジャクソンたちに囲まれ、順調に仕事をこなしていました。
ところがある日、従業員のひとりが駐車場で殺されているのを発見します。
警察がなかなか犯人をあげられずにいたため、『カーロ』の仲間やルームメイトと一緒に犯人捜しに乗り出すのでした。
◇ ◇ ◇
ミステリーとしてのストーリー展開は、可もなく不可もなく、というところですが、読んでいて何だかとっても楽しくなるお話でした。
いわいるアメリカのブルーカラーの人たちの生活がよくわかって面白かったです。
ピザマンとは最初、人の名前かと思ったのですが、ピザ配達人のことなんですね。
仕事の内容が詳しく書かれているので、作者はきっと経験者なんでしょう。
テリーは刑務所帰りなわけですが、酒もマリファナもやめて、真面目で働き者で、とても好感が持てました。
テリーの周りにいる人間もみんないい奴で、こんな職場だったら楽しいだろうなと思いました。
「国連運輸部鉄道課」の不思議な人々 [和書]
タイに本部がるESCAPという国連の組織に勤務する日本の鉄道マンの奮闘記録です。
鉄道のことを知らない人にはわからないかな、という箇所もありますが、読んでいるとだんだんおもしろくなりました。
いくつかエピソードをあげてみますと…
ESCAPには世界のいろいろな国々から人が派遣されてきています。
ソ連(旧)から来ている人は、どうも実はスパイらしいというというのが公然の秘密。
普段の業務のかたわらに国連でせっせと情報を集めては祖国に流していたらしいです。
国連の職員には外交特権があって、車を1台免税で輸入できます。
タイでまともに外国車を買うともの凄い関税がかかります。
でも、タイのお金持ちはどうしてもベンツが欲しい。
国連の職員は5年間使ったあとには自由に車を売ることができます。
そこで、タイのお金持ちに5年間使用したベンツを売って小銭を稼いでいる職員がほとんどとか。
それでも、日本から来た職員は、こいういうことにはあまり首を突っ込んでいなかったそうです。
日本人て、本当にまじめですよね。
国連といえども、普通の会社で起こるようなパワハラ、権力争い、不倫等がやはりあって、共感できるところが多くておもしろかったです。
死への祈り [海外翻訳]
ニューヨークに住む資産家のホランダー夫妻が自宅で惨殺されました。
夫妻は出先から帰ってきて、ふたり組の泥棒と遭遇し、殺されたようでした。
しばらくして、その泥棒と思われるふたり組も死んでいるのが発見されました。
ひとりは射殺されて、もうひとりは拳銃を手にして死んでいました。
警察の見立てでは、ふたり組が死んでいた部屋が内側から鍵がかかっていたこともあり、仲間を殺して自殺をしたのだろうということになりました。
しかし、ホランダー夫妻の姪はこの事件に疑問をもち、ホランダー夫妻の一人娘が遺産目当てに企てたのではないかと思いました。
そこで、私立探偵のスカダーに相談します。
泥棒の死によって一件落着と思われた事件も、スカダーの地道な調査によって、やがてほころびが生まれ、驚くべき事実ー-連続殺人犯--が浮かび上がってくるのでした。
◇ ◇ ◇
いつものスカダーシリーズなんですが、いつものパターンよりは派手なストーリーだったと思います。
いつもは、登場人物同士の会話のおもしろさで物語を読ませることが多いのですが、本書はそれプラス、恐ろしいシリアルキラーが現れるので、スカダーファンではなくても、初めて読んだ人でも楽しめると思います。
愛おしい骨 [海外翻訳]
走っている自動車を歩いている人が追い越せそうな、眠ったような、アメリカの片田舎の町で事件が起きました。
元判事の家の前に、人間の骨と思われるものが、ひとつずつ何日にも渡って置かれるようになったのです。
元判事にはその骨に心当たりがありました。
20年前、みなが一目惚れしてしまうほどの美しい兄弟、17歳のオーレンと15歳のジョシュアが森に入って、帰ってきたのは兄だけでした。
ふたりの兄弟は判事の息子でした。
弟のジョシュアは家出した形跡がなく、殺害され埋められたと見なされました。
兄のオーレンは事件の後、遠くの町に追いやられ、成人すると軍の捜査官になりました。
兄弟の母は早くに亡くなっていたため、家には元判事の父と家政婦だけが住むようになりました。
家政婦のハンナがオーレンに帰って来るように手紙を出し、オーレンは久しぶりに故郷を訪れました。
帰ってきたオーレンは保安官とともに弟の事件を調べ直します。
けれども、オーレンをとりまく町の住人には、それぞれに人に言えない秘密を持っているのでした。
◇ ◇ ◇
『クリスマスに少女は還る』のキャロル・オコンネルの新しい小説です。
『クリスマス…』ほど不思議なトーンではありませんが、独特なタッチは健在でした。
いろいろな住人が出てきて、それぞれに個性豊かに描かれています。
昔あったアメリカのドラマ『ツインピークス』を思い出してしまいました。
田舎の町で起こった恐ろしい事件、一見善良そうな田舎の人々が実はいろいろと秘密を持っている、という点が似ていて、本書も連続ドラマにできるくらい濃厚な内容でした。
それなのにちゃんと1冊でまとまっているところは凄いです。
まあ、ところどころちゃんと説明されていない部分が多々あるのですが。
それがオコンネルらしくて、それが気にならない人は夢中になること請け合いです。
さぶ [和書]
山本周五郎を読むといいよ、と勧められたので珍しく時代物を読んで見ました。
時は江戸時代。
栄二と「さぶ」は、芳古堂という表具・経師を扱う江戸で一流の店の職人さんです。
同い年で、子供の頃から奉公していました。
栄二は男前で女性からモテモテ。
職人としての腕もぴかいち
一方「さぶ」のほうはルックスもいまいちで、栄二ほどには仕事もできず、性格も自信なげなところがありました。
それでも、ふたりは親友でした。
ところがある日、ふたりで仕事に行ったお得意さんから、栄二は泥棒の濡れ衣を着させられてしまいます。
お得意さん所有の金襴が、栄二の仕事袋に入っていたというのです。
栄二は、お得意さんへの出入りを禁止され、のれん分けした兄弟子の店で働くように言われます。
身に覚えのない栄二は、荒れに荒れてしまいます。
兄弟子のところを飛び出し、何日も飲んだくれて放浪したあげく、芳古堂に怒鳴り込んで捕まり、捕まった先で岡っ引きを半殺しの目にあわせてしまいます。
罪人にはなりませんんでしたが、人足寄場というところに送られたのでした。
そこで栄二は、芳古堂をはじめとする世間を恨み、いつか復讐してやると思いながら、悶々と過ごすのでした。
そんな栄二を心配して、「さぶ」は休みを利用して差し入れを持って寄場に会いにくるのですが、かたくなになった栄二は会おうとしません。
やがて、芳古堂に栄二に会いに行っていることがばれ、「さぶ」は芳古堂を首になってしまいます。
果たしてふたりの運命は?
栄二の仕事袋に金襴を忍ばせたのは誰?
◇ ◇ ◇
タイトルは「さぶ」ですが、主人公は栄二です。
栄二の人生に「さぶ」が大きく影響を及ぼしたからでしょう。
でも、「さぶ」がいなくても、栄二は何とかひとりでやっていたような気がしますが。
後ろの解説に、純文学と大衆小説の間だと書かれていましたが、なるほどそうだと思いました。
最後にオチがあるので、大衆小説(エンターテイメント)と言えるし、栄二がいろいろ悩むところは純文学ぽい気がしました。
でも、栄二が悩むところは、なんだかイライラしました。
そこまで荒れなくても、そこまで世間をうらまなくても、という気がしたからです。
芳古堂にしてみれば、お得意さんから盗みの苦情が来たら、処分しなくちゃならないし、首にしないで、のれん分けしたところへ異動させたのですから、かなり温情があった処置ではなかったのではないでしょうか。
人足寄場というのは刑務所ではなく、職業訓練所とホームレス対策を合わせたような所で、身元引受人がいない人を住み込みで働かせ、賃金も与えるというところです。
あの長谷川平蔵が考えたそうです。
江戸時代にもうまいことを考える人がいるもです。
全体的に漢字にふりがなが振ってあって、とても読みやすかったです。
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