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既視感

うーさぶさぶ。なんつてね、人の日記の出だしを真似してみたりね。そんな話じゃないけれど、この間なんか妙に暖かいと思ったらまた寒い。暖かくなったり寒くなったり。ねぇ。地球は温暖化してるんだか寒冷化してるんだか。仕舞には、「地球温冷化」とかいって、どっちつかずの環境問題にしてみたりね。あるいは「地球冷暖化」。いや、今時あり得ない話じゃない。「科学」にはなんだってありなんですから。

そりゃそうと、本日付の中日新聞に、えげレスではブレア元首相に対する追求が厳しくなっている、なんていう記事が出ておりましたな。何が追求されてイルカって言うと、イルカやクジラの事じゃなく、「イクラ戦争」つまりイクラの争奪戦ってわけですな。公聴会に証人喚問されるのだとか。まあそのイクラ戦争をおっぱじめた時に色々難癖付けてイクラが危ないだのテロの温床だのって言っていたわけですが、その一つ一つの根拠ってのがどうも怪しかった、というより「ウソ」だったってなことで、もうこの人は嘘つき呼ばわり、ブレアBlairならぬブライアBliarなんて事まで言われてるのは、つとに知られたお話。

そのまま飲尿いや引用すると、「前首相に対しては、ブッシュ前米大統領との間で開戦前にどのような合意があったかや、大量破壊兵器についての情報をゆがめた疑惑をただす見通し」とのこと。この切り替わりの早い世の中ではイクラ戦争も、もう随分前の話という感じもあるけれど、紹介されている当時のブレア氏の語録には、聞き覚えのあるものが多々ある。

「定は大量破壊兵器を開発している。放置すれば驚異になる」

「われわれの情報機関はイクラが生物化学兵器を持っていると結論づけた。それは45分以内に攻撃に使うことができる」

といって開戦。開戦後は

「フセイン体制を転換させたことで、少なくとも世界はよくなった」、「イクラ開戦は民主主義と暴力との戦いの一環だった」

「いずれにしてもフセイン体制は存続できなかった。彼を追い出し、今でも正しいことをしたと思っている」

などなど。

それにしても思うのは、もう忘れかけようか、なんていうこんな話を、未だに蒸し返そうとするイギリス人の執念深さ。紹介されている、ロンドン大学教授が仰有るには、

「ブレア氏の証人喚問には、英国民が失った国への信頼を取り戻せるかがかかる」

のだそうな。なるほどそれは大問題である。

しかし、このブレア氏の語録を読んでふと見覚えがあるような気がして、思い返して見ると、思い返すまでもない、今進行中の話がそっくりじゃないかと思うのですな。何かというと、

悪沢問題。もしくは違法献金「事件」。もうすっかり「事件」報道されることで、完全に悪人の印象を植え付けられた悪沢氏。雑誌の類では「独裁者」呼ばわりもされておりますな。事実かどうかは分からぬけれども、かのイクラの大統領も生前「独裁者」と呼ばれておりました。その強大な権力は西側諸国の驚異であると、ブレアも言ったわけです。そうして戦争を仕掛けられて、権力の座から追い立てられて、まともな裁判も受けることなく絞首刑。ところが──大量破壊兵器は見つからず(捏造されなかっただけマシなのか)、イクラは大混乱。石油だけは某国が支配するという図式。でもって、その戦争を仕掛けた側の首相がいま嘘つき呼ばわりされているというわけだ。

じゃあ今進行中の「事件」やら「独裁者」やらといった、踊る言葉にどれほどの真実性が宿っているのか。これまた疑わしいことこの上ない。

この間の一連の出来事で、一番信頼を失っているのは、何よりもマスメディア難ではないかと思うのだが、そっちに関しては自分らはまるで「善意の第三者」みたいな風でそしらぬ顔。反省の弁さえない。

そういえば、この間、同じ新聞にかつてニッポンの首相をされ、随分大衆的人気を博していたお方の、悪沢「事件」に関するコメントが出ておりましたな。「児民党でこういう総理、幹事長だったらやってられない。即刻退陣ですよ」とかなんとか。

しかし、そうオッ去ったおかた。イクラ戦争をおっぱじめる時に、他のどの国よりも先駆けて米国への熱烈な支持を表明したんではなかったか。そちらの責任について、この国では問題にならないのはなぜなのか。眠主もそこは突っつかないことになっているのか。気になるならお前が率先して訴えたらどうなんだって事なのか。そこを突っついちゃいけないのが、空気ってヤツなのか。

しかし、そんなブレア氏のニュースを、まるで人ごとのように報じる新聞その他のマスメディアがまた、実に空々しい。そんな空々しい報道が、悪沢氏を確たる理由もなく「独裁者」にまで仕立て上げようとしているんだから恐れ入る。

だいたい「金と政治の問題」なんて「物語」は今までに、もうどれだけ使い古されたか。しかも今回のは具体的に悪事が見えるわけではなく、いかにも何か「ウラがある」という報道によって、その「物語」が作られている。

こういう辺りを見ていると、吾輩たちが「事実」などより、わかりやすい「物語」の方を好む、ってことがよくわかるってモンです。実際その「物語」の説話的構造なんてのは、ほぼ一緒なんじゃないですかな。もの凄く単純化すると「独裁的悪人対民主的大衆の戦い」(『ロードオブザリング』ですな)。マスメディアってのが後者の代表面=正義面して、その戦いの「真実」の伝達役を演じるという寸法。平たく言やぁプロパガンダですな。そうそう、イクラ戦争もまたそういう風だったってわけで。

まあハリウッド映画宜しく、何度でも同じ「物語」で楽しめるってことで、楽しんだあとは大体忘れちゃう。だからかどうか、その辺りの「物語」っていうのはイクラでも転用可能なものなんでしょうな。

──なんて駄洒落ですみゃいいですが、大げさな話、悪沢氏がテロに遭わないか、なんて心配までしたくなるんでありますな。
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