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失敗・叱責・クレームに,拗ねるな,怒るな,戦うな [楽しい会社員生活]

新人や若い社員は,間違いの指摘,より効率的な手法,より良い書き方など,しばしば指導を受ける。この際,「私は悪くない」を連発する子がいる。

こうした思考傾向は,個人の成長を遅らせる要因になる。
「自分のせいではない」=「自分には直す所が無い」のだから,誰かが何かしてくれなければ抱えている問題は解決しないことになる。彼ら自身は「自分のせいではない」と言い切った段階で,思考停止状態になる。従って,自身で改善提案を考えることはできないし,行動修正もできない。つまり,成長できない。

彼らが仕事を上手く処理するためには,必ず条件がつく。
「○○さんの~が悪いからできなかった。」
「○○さんが~してくれればわかる。」
条件が付けば付くほど,成功を収める確率は低くなっていく。しかし,彼らは問題を放置したまま,処理成功のための条件を増やしていく。

ある朝,私が出社すると,A君が守衛ともめていた。A君のセキュリティーカードが破損し,オフィスの鍵が開けられなかったようだ。一先ず,私のセキュリティカードで鍵を開け,彼をオフィスに向かわせた。私は守衛の小言を一通り聴いた。守衛によると,A君は合鍵でオフィスを開けるように守衛に頼んだらしい。当然,守衛は断った。「御尤もです。Aにはよく言っておきます。」と言ったものの,「合鍵を予め作っておけ。」だの,「古い鍵は諦めて新しいの作れ。」だの,あちらの考えを押し付けられる感じで,私も気分は良くなかったよ。しかし,それとこれとは話が別なのだ。

「あの守衛,おかしいんですよ。」と,A君。
「守衛さんは,A君が悪いと言っているわけではないよ。彼は彼の立場でものを言うてるねん。彼の仕事を全うしただけや。彼の立場ではオフィスの責任者の許可もなく,合鍵で勝手に開ける訳にもいかんやろ。確かにあの言われ方ではこちらの気分は良くないけどな。」と,私はA君に言った。
自分の言うことを聴かない守衛が悪い,守衛の態度を正したいという考えに囚われると,本来の目的(鍵を開け,オフィスに入る)を忘れる。

こういうとき,自分が責められているという位置から視点を移動させて,相手の立場や第三者の目線で現状を再考することが必要だ。問題を解決するためには,多方向から観察・考察すること,そして成功も失敗も自分の中に原因を見つけ出し,自分にできる策を精一杯実行することが求められる。研修,通信教育ビジネス書などで,何度も何年も勉強して,やっと理屈が分ってきた。だが,理屈で理解しているつもりの私でも,一度定まった視点を移動させることは難しい。

「自分にできることを全てやったか? それで十分だ。」とは,どこかの偉い人のお言葉だが,この簡単で短い言葉はどんな場面にも通用する指針であると思う。


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