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日本の全国学力テストも米国のNAEPのようにやってほしいものです

昨日韓国入試についてのニュースの話をしました。また昔、自分が受験生のころは米国の大学に入るのはそれほど難しくないという話をよく耳にして、日本もそうなればいいのに、と思っておりました。日本では最近、「大学全入時代」などと言われておりまして、大学生の学力低下も問題になっているようです。

さて、「大学に入るのはそれほど難しくない」という噂の米国でしたが、この認識は必ずしも正しくはなかったようです。米国の大学入試では、日本のように一発勝負の大学別ペーパーテストですべてが決まるような仕組み(が基本)ではなく、SATと呼ばれる全国共通テストの結果をはじめ、高校時代の成績、エッセイの評価、高校時代の課外活動実績などから総合的に選抜される仕組みなんだそうです。

そういえば日本でも最近、全国学力テストを復活させるという文科省の方針が示されまして、教育関係の研究者の間でもホットな話題となっています。このテストがSATなどと同様に「IRTなどのテスト理論を 使って共通化された. 尺度」を用いて、科学的に実施されることを期待します。

昨日、東大の教育測定・カリキュラム開発講座にて、東北大学の村木先生から米国全米学力調査(NAEP)の研究についてお話を聞いてきましたが、NAEPでは、本ブログで理想とするような「能力を測るモノサシ」としての試験をつくって実施すべく、長年研究が重ねられ、継続的に実施されてきています。日本においても、NAEPのような活動をお手本に、来るべき全国学力テストが科学的かつ継続的に児童・生徒の学力(能力)を測定して、より良いインストラクショナルデザインにつながるものとなるように期待します。

 もうすぐ1歳になるうちの娘が小学校に入る頃に、この試験がまた批判を浴びてすでに終わっているようなことがないように、、、

 


1回の試験で人生が決まるというような運用は避けたいですね

昨日テレビでは韓国大学受験が厳重な不正行為防止チェックを伴ってはじまりました、というニュースをやっておりました。昨年の入試で、携帯電話による大量カンニングが発覚したことを背景に、今年は試験会場への携帯電話持込を禁止するなど、厳重な不正行為防止策を講じているということでした。

一昨日、TOEFL-iBTが自宅受験できない理由として、不正行為防止を含むセキュリティの対策課題が大きいというお話をしました。「人生を左右する試験になればなるほど」受ける方も必死になりますので、セキュリティの対策はより重要になります。資格認定試験一般でいえば、例えばピアソンVUEの場合、「試験中、テストセンターにお持ちになった私物に触れることは許されません。」といったことになっておりますし、携帯電話の電源は切ることが求められます。またメモ帳と筆記用具もテストセンターで用意されたものしか利用できません。このように、厳格なセキュリティのもとで試験を実施してこそ、取得された資格の価値が保証されるということになります。

一方で、CASECやヤフーのインターネット検定のように、人を選別するための試験というよりは、自己診断的・教育支援的な要素が強い試験の場合、不正行為をしても自分のためにならない、という受験者の意識がはたらきますので、セキュリティの対策はそこまで重要視されないのかもしれません。

考えてみれば、1回の試験で人生が決まるというような仕組みは、無いに越したことはないのでしょう。かといって、試験不要論が出てくるのもあまり感心しません。あくまで試験はハードル(試練)ではなく、能力をはかるモノサシとして機能すべきなのです。試験そのものが問題なのではなく、結果の利用方針に問題があるということです。自動車免許の適性検査として、視力が両眼で0.7無い人が不合格になるのは、あきらかにその適正が欠けていることから仕方が無いとしても、その他多くの場合は、1回、あるいは1項目の試験の結果だけで不合格としてしまうような「運用」は、様々な不都合、歪が生じます。自動車免許の視力検査にしても、裸眼で不合格であっても、メガネやコンタクトレンズを利用することで0.7以上になればOKですし、私のように方眼0.3の視力が無くても、視野検査で合格とするような救済措置もあります。試験の結果、ある分野の「能力」が劣っていたとしても、それは落とすための理由ではなく、今後補うべき、また伸ばしていくべき「課題」として捉え、その他の能力で秀でていれば合格となるような、試験結果の運用法がいいですね。


TOEFL-iBTといっても、自宅で受けられるようになるわけではありません

昨日、ヤフーのインターネット検定のお話をした際に、ヤフーの検定試験の特長はインターネット上でヤフーIDにて受験できることであると申しあげました。インターネット上で受験、といえばTOEFLも北米では既に、Internet-based Testing (TOEFL-iBT) を始めています。日本でも2006年から始まるとされていますが、だからといってTOEFLの試験がヤフーのインターネット検定のように自宅で受けられるということではありません。インターネット上で試験をやる最大のメリットは、いつでも、どこでも受験ができるということでしょうが、TOEFL-iBTがそのようになるわけではありません。その代わりに、TOEFL-iBTの試験会場の募集が、日本での開始に向けて現在行われており、そこには厳しい基準と実施にこぎつけるまでの長い道のりがあります。現在のTOEFL-CBTの実施会場が日本全国に四つしかない現実を考えますと、はたしてどのぐらいの会場がTOEFL-iBTの実施にこぎつけることができるのかは注目に値します。

インターネット経由でTOEFLを実施するということは、全国の資格認定試験をコンピュータを使って実施している会場や、コンピュータ教室を持つ大学等が開催地の候補になるわけです。現在のように首都圏大阪に行かなければCBTで受験できないという状況から、全国でコンピュータ・ベースの試験が受けられるようになる期待があるのですが、はたしてそのような利便性が確保されるのかどうかは今後の動きをみなければわかりません。

 自宅で試験が受けられるということは便利な反面、試験を実施する側からすれば、本人確認や不正行為の防止といったことはかなり難しくなるわけですからリスクも大きいわけです。なので、TOEFLがインターネット・ベースで実施されるようになっても、自宅で受けられない大きな理由はセキュリティ問題なわけで、ここからくる受験可能な場所に対する制限は、当然といえば当然です。また現在のCBTでは、試験会場には有効期限内のパスポートを持参し、本人確認してから受験するのが原則です。iBTになったとしても、このような厳格な本人確認や不正行為防止への対策は求められるはずなので、そのようなことをきちっとできる試験会場というのでなければETSも実施を許可しないでしょう。

自宅で試験を受けても、本人確認や不正行為の防止ができるような仕組みがあれば、より多くの資格認定試験が、もっと簡単手軽に受けられるようになります。しかしながら、人生を左右する試験になればなるほど、そこで担保されるべきセキュリティのレベルは高くなるはずですから、実施の条件は厳しくなり、これをクリアするようなセキュリティ技術や枠組みを作るというのは並大抵のことではないでしょう。はたして、うちの0歳の娘が大学生になって、米国留学すると言い出したとして、TOEFLを受けるようになるころには、自宅でいつでも受験できるようになっているでしょうか。


ヤフーが「インターネット検定」を開始?

先週土曜日の日経新聞朝刊に、ヤフーが「インターネット検定」を開始するという記事がありました。合格者には「サイトデザインアーキテクト(SDA)」の認定を与えるということなんですが、はて、これはビッグニュースなのか、別に大して注目すべき話ではないのか、この記事をいかなる位置付けとして読めばいいのかと考えてしまいました。

日経新聞はたまにこのような、「これは大ニュースなの?」と疑問に思う記事が出ますね。IT関連でずっと働いていると、特にこの分野の記事で気になります。というのはヤフーは以前から「インターネット検定」という名のもとに、インターネット上で受験できる試験サービスを展開しております。なのでいまさら、「ヤフーが『インターネット検定』を開始」という見出しはなんだか変です。オールアバウトさんなどは1年半前にこのような見出しの記事を書いておられます。あるいはこれは日経新聞のスクープなのかもしれません。ヤフーのプレスリリースにはこの話はでておりませんし。

この記事だけを読むと、このような検定は今までに無くて困っていたかったように読めなくもないのですが、「インターネット検定」といえば、NTTコミュニケーションズのドットコムマスターなどが先行していますし、インターネット実務者検定は1998年からやっているそうです。日経さんも、このようなニュースをせっかくとりあげるなら、既存のものと比べて何が新しいのか、ヤフーがやる理由はなんなのか、といったところもちゃんと書いてほしいところでしたね。

ヤフーのインターネット検定の特長は、既に実施済みの「インターネットコミュニケーションアドバイザー」や「ショッピング・オークションアドバイザー」などの認定を、取得したヤフーのIDに対して得られるということでしょう。そうすれば、ヤフー内でそのIDを使ったオークション出品や、掲示板等でのコミュニケーションに対して「信用」が保証されるということになります。その認定と「信用」は、どこかの試験会場に試験を受けに行くことによるのではなく、インターネット上でそのIDにて受験することによって得られるというのが、この検定のポイントです。今度の「サイトデザインアーキテクト」もこの特長を引き継ぐものになれば、ヤフーがやる理由は十分あるかと思いますが、他社の「インターネット検定」と同様に、実名で、本人確認を必要とする受験スタイルだとすれば、ヤフーがわざわざやる意味はちょっと薄れるような気がしますね。ただ受験料1万円ということですから、無料のヤフーIDに対する「信用」のためだけに受けるものとも考えにくいので、その点はどうなるのでしょう。まずは続報を待ちましょう。

 


試験結果から補強教材提案への長い道のり

さて、先週から話題にしてきたことをふりかえりますと、「試験結果から弱点診断が行われて、補修教材が提案されるといい」という話から始まって、その好例とおぼしき、パソコン検定(P検)対策CD-ROM教材に着目しました。弱点というのは、「能力」が(相対的に)劣っているところに発生するはずですから、それを的確に診断するためには、「難易度」があらかじめ分かっている問題を用いた試験が必要となります。ただし、「難易度」だけがわかっても、視力のように「1.0以上の人は、0.7や0.5に対応するランドルト環が必ず見極められる」といったことが一概にいえるわけではありません。これを「能力の一次元性」の問題としましたが、この一次元性が確保されていないと、「この問題ができるひとは、他のこのぐらいのレベルの問題まではできるはず」という予測が立たなくなるので、色々都合が悪いのです。しかし、現実の資格認定試験では、このような予測は簡単に外れます。それは、多くの資格認定試験の場合、単一の「能力」だけが問われるという場合の方がむしろ少ないわけで、たとえ単独の「能力」を問う試験であったとしても、そこで出題される問題の「難易度」を視力検査のランドルト環の切れ目のように系統立てて制御することは非常に難しいからです。パソコン検定のように、ざっと見ても15の職務遂行能力が問われている、といった場合もありますし、同じ任務(カテゴリー)に属する職務であっても、その遂行における難易度の大小を一意に決められない場合も多くなります。

 さて、試験終了後のインストラクショナルデザイン(特に補修教材提案)をうまくやるためには、「この問題ができないということは、ここからこの辺りまでの知識が欠けているはずだ」といったことが、試験結果から判断できなければなりません。もし仮に一次元性が確保されているとすれば、視力検査結果のように「視力0.7に満たないので、自動車運転中に外界の物を安全に知覚・認知できていない。結果、運転免許証は発行されない。」また「運転免許証発行のためにはメガネかコンタクトレンズで矯正視力を高めなければならない。」といったことが一意に提案できます。一方で、資格認定試験において問われている「能力」の次元数が、多ければ多いほど、この試験後の提案が細分化され、複雑化します。

 また多くの場合、問われている「能力」次元は互いに完全独立ではなく、影響しあっているので、ある「能力」を補っても、ほかの「能力」もこれと合わせてアップしなければ、結果として試験の得点アップや実務能力の総合的な向上につながらないということがあります。久しぶりにプロ野球の例でいえば、野球は「投打のバランス」が重要ですから、いくらシーズンオフにFA権を取得した長距離ヒッターばかりかき集めても、ピッチャーが駄目なら今年の巨人のように悲しい結果になってしまします。野球の場合、チームの総合的な「能力」を高めなければ試合には勝てない(試験でいえばある問題について正解には至らない)わけで、来シーズン、より良い成績をあげるためには、「投手力」「打撃力」の両方を底上げすることが必要になります。このような場合、前回の試験結果(野球でいえば今シーズンの結果)を踏まえて、何をなすべきかという提案も、その採否判断も複雑になります。

試験問題の場合、あらかじめ15の「能力」が問われているということが明確であれば、個々の「能力」を問う問題を別個に作成して、15のセクションに分けて出題することで、セクションごとのスコアを出し、個別に評価、補強教材提案を考えることもできます。これはひとつの現実策ですが、実際の試験では複数の「能力」を駆使して正解に至るような総合力を問う問題も出題されます。このような場合、一意に試験結果から弱点を特定し補強教材提案をすることは難しくなります。資格認定試験の性格や目的にもよりますが、試験結果から弱点診断が行われて、補修教材を提案することに主眼をおくには、総合力を問う問題よりも個々の「能力」を問う問題を中心に出題するほうが提案のオペレーションがシンプルになるかもしれません。

しかし、2006年から日本でも実施される、TOEFL iBTなど、留学関連の英語技能試験では、その流れはむしろ逆で、英語の四つの基本技能とされる、読む、書く、聞く、話す、という個々の「能力」よりも総合力を問う方向に向かっているという報告もあります。来週はそのあたりの話を進めたいと思います。


パソコン検定では少なくとも15次元の「能力」が試されている?

昨日からの続きですが、もし仮にパソコン検定の出題数が200問とかあり、要求される職務遂行能力の全てを問う問題を毎回出すことができれば、昨日話したような、要求されるパソコン全般に関する「能力」を大きい(小さい)順に一直線に並べられる「一次元性」というものは必ずしも必要ないかもしれません。しかしながら、例えば4級では79問のみの出題ですから、全ての職務遂行能力を細かく問う問題を(「クライアントのデータのバックアップ」について複数手段を知っているかを問う問題などを含めて)網羅するわけにはいかないはずです。そうなると重要なのは、昨日の例でいえば、E.「クライアントの環境のバックアップ」についての問題に正解するひとは、正答のために要求される「能力」がより低くて済むはずの、D.「クライアントのOSなどの環境設定」についての問題やA.「クライアントのデータのバックアップ」についての問題は、わざわざ出題しなくても当然できる、という関係が成り立つことです。そうすれば、少ない問題で適切に要求される「能力」を測ることができるわけです。ただし、そのためには常にE.>D.>A.という「一次元性」が、受験対象となる多くの人について成り立っていなければいけません。

この例に限っていえば、ある程度上級者の2級、3級受験対象者にとっては、E.>D.>A.という「一次元性」が成立しそうな気もします。では別の例として、4級の人を対象とした、A.「クライアントのデータのバックアップ」、B.「検索機能を使った他社、業界のホームページ検索」、C.「会議の開催通知、トラブル内容などの関係者へのメール連絡」という遂行能力についてはどうでしょうか?これについても、パソコン全般に関する「能力」の大きい(小さい)順に一直線にならべようとするとどうなるでしょうか?確かにA.ができる人は、既にメールやブラウザを使いこなしている可能性が高いので、A.>C.>B.などの関係が仮定できそうですが、バックアップの方法だけ教えられた人が、メールやブラウザも、バックアップに関する知識を利用して使いこなせるとは思えません。つまり、これらの職務遂行に要求される「能力」は、本質的に異なるものといえそうです。ちょうど以前お話した、「『英語』と『社会科』の能力は質的に違う」ということと同じように。また人によってはメールは仕えてもブラウザは使えない、その逆、あるいはいずれもできても、データ・バックアップという概念が無い(以前のうちの親のように)ということになるでしょう。そうすると、A.B.C.という「能力」の間には「一次元性」は見出されず、それぞれの職務遂行には異なる次元の「能力」が必要とされる(「能力」の多次元性がある)ということになります。

 実際のところ、パソコン検定においても問われる「能力」の多次元性については考慮されており、要求される職務遂行能力には、各「能力」の次元を表すような「任務」というカテゴリーが設けられています。また上記のA.B.C.もちゃんと異なるカテゴリーに分けられています。同一の「任務」カテゴリーの中の個々の「能力」について見てみると、そのカテゴリー内においては、要求される「能力」の「一次元性」が、ある程度成立しそうです。その場合でも、「任務」カテゴリーは全部で15個ありますから、少なくとも15次元の「能力」が問われているといえそうです。受験者は少なくとも15次元の「能力」それぞれについて鍛えて合格を目指すということで、これまで仕事で当然のようにパソコンを使ってきた人にはあたりまえでも、うちの親のように2年前とかに急にパソコンを独習し始めた人にとっては、この15次元の能力を一度に伸ばすのはなかなか大変でしょう。


パソコン検定で要求される「能力」は高い順に一直線にならべられるか

昨日パソコン検定のための勉強は「どのあたり、どの辺まで」すればいいのか、というお話をしましたが、なぜその学習範囲についての判断が難しいのかを考えてみましょう。例として出した、「クライアントのデータのバックアップ」という職務遂行能力についてみてみると、その能力の中身もそうですが、この「能力」がある人の多くは、他に同時に何ができて、逆に何ができないのかが想定しにくいことが一因ではないでしょうか? 例えば、A.「クライアントのデータのバックアップ」ができる4級の人は、他に満たすべき職務遂行能力としての、B.「検索機能を使った他社、業界のホームページ検索」やC.「会議の開催通知、トラブル内容などの関係者へのメール連絡」は当然できることといえるでしょうか?また3級の人が満たすべき「能力」としての、D.「クライアントのOSなどの環境設定」や2級の人ができて当然の、E.「クライアントの環境のバックアップ」ができるとは限らず、4級合格がやっとの人であれば、A.はできても、D.やE.ができないのはあたりまえといえるでしょうか?

なぜそのような込み入ったことを言い出したのかというと、ここが能力の大小を科学的に、系統立てて整理し、試験問題作成や試験全体の品質改善に活かしていくには極めて重要だからです。先に視力検査の例を出しましたが、例えば視力0.7に対応するランドルト環の切れ目を正しく見極められる人は、当然視力0.5に対応する(より大きい)ランドルト環の切れ目も正しく言い当てられるはずで、逆に視力0.7に対応するランドルト環の切れ目を見極めるのがやっとの人は、視力1.0に対応する(より小さい)ランドルト環の切れ目を正しく言い当てることは非常に難しいはずです。このようなことがいえるのは、「視力」という「能力」が高い人は、低い人と比べて、確実により小さなランドルト環の切れ目を正しく見極められるといえるからです。一方で、パソコンに関する「能力」が高い人、すなわち「一般的な情報社会の中でパソコン全般の知識や操作能力・レベル」が高い人は、低い人と比べて、確実に「より○○な××が正しくできる」とシンプルにいえるでしょうか?

ここで重要なことは、それぞれの職務遂行能力を、要求されるパソコン全般に関する「能力」の大きい(小さい)順に一直線に並べられる「一次元性」なのです。能力レベルが高い人に対して、シンプルに「より○○な××が正しくできる」といえないということは、この「一次元性」が保証されない、ということになります。上記の例で、仮にA.「クライアントのデータのバックアップ」と、3級で要求される、D.「クライアントのOSなどの環境設定」や、2級の人ができて当然の、E.「クライアントの環境のバックアップ」という職務遂行能力を、要求される「能力」の大きい順にならべてみると、E.>D.>A.となるでしょうか?「一次元性」が保証されるためには、そうらなければいけません。なぜなら、パソコン検定では、この順に要求される能力レベルが、2級>3級>4級と決められているからです。ここで、A.ができない人にE.ができないことは確かにいえそうです。またA.ができてもD.ができない人は結構居そうです(うちの親などはこれに類するでしょう)。しかし、D.とE.についてはどうでしょうか?これができる、できないの違いは、パソコン全般に関する「能力」の大小によるといえるでしょうか?4級レベルの初級者であれば、たまたまD.あるいはE.いずれかを行う方法を知っているだけで、それは「能力」の大小を表すものではないかもしれません。また、そもそもA.、D.およびE.で定義されている職務遂行能力の中身は「どのあたり、どの辺まで」でしょうか?A.を達成するための手段を(うちの親のように)一つだけ知っていればOKなのでしょうか?あるいはA.を達成するための手段を複数知っていることが要求されるのでしょうか?

とまあ、考え出すときりが無いし、どんどん話は込み入ってくるので、今日はこのへんにして、また明日つづきをやりたいと思います。要するにここで言いたかったことは、要求される職務遂行能力の大小を、わかりやすく整理して大きい(小さい)順に一直線に並べられないと、試験対策においてもどの順番に勉強していけばいいか分かりにくいということなんです。学習者の立場からすれば、要求レベルが小さいものから順に勉強していけるのがいいのですが、「パソコン」という広範な知識を習得していくうえでは、これはなかなか難しそうです。

 


パソコン検定(P検)の試験対策はどこまで深くやればいいのでしょうか

昨日パソコン検定は測るべき「技能(能力)」を明確しており、なかなか良さそうだというお話をしましたが、あらためてサンプル問題を見てみますと、なかなか広範囲に出題されています。このため、実際の試験や模擬試験で間違った(自信が無かった)問題から弱点分野を明らかにして、補修教材を見つけて弱点補強するのはなかなか難しいのではないかという印象をもちました。

例えば4級試験問題例の中の、問題例3[インターネット]というもの。正解は「(4)モデムを介してパソコンとアナログ電話回線を接続する」のようですが、この問題、うちの親にはまず正解できないだろうと思われます。そんなうちの親に欠けている知識・スキルは、「活用>インターネット>基礎知識」あるいは「運用>インターネット/イントラネット>個人の接続環境」といったところだと思います。ちなみにうちの実家はケーブルTVの回線経由でインターネットに接続しているので、「モデム+ケーブル回線」がインターネット接続に必要であることは(うちの親でも)知っているでしょう。しかし、TAやISDNとは何か、またアナログ/デジタル回線の違いなどは知る由も無いのです。もしこのあたりの知識が、4級が要求する人物像の中の一つ、「インターネットや電子メールを支障なく利活用できるレベル」というのを満たすために必要なのであれば、うちの親も「このあたりの知識」を補強しなければ、4級に合格することはできないでしょう。

また4級で求められる職務遂行能力というところに、「クライアントのデータのバックアップ」といのもあります。先日の実家のパソコン・トラブルで、過去のメールデータ復旧など、大騒ぎだった経験から、うちの親は「バックアップ」なるものは非常に重要であるということを認識しました。それで自主的にパソコンの説明書を読んで、「CD-R」というものを買ってくればメールデータや孫の写真をバックアップできることを学んだようです。おそらくうちの実家の場合は、CD-Rにメールや写真データをバックアップする手順さえ体得すれば、「クライアントのデータのバックアップ」という職務遂行能力は身に着けたということになると思いますが、その他、シンプルにUSBメモリーにデータをコピーするとか、CD-R以外にもCD-RWやDVD-RWなど色々なバックアップメディアがあることも学ばなければ4級に合格しないかもしれません。4級の知識レベルとは、実際どこまでをいうのか、といったことは結局「過去問」など、これまでの出題実績をみなければわからないといことになるのでしょうか。

さて、ここでの課題は、不正解であった問題から弱点がみつかったとしても、その弱点を補うべき「このあたりの知識」とはどのあたり、どの辺までを言うのかが明確にしにくいということです。これはパソコン検定が、文字通り「パソコン」という極めて一般的で広範な概念について知識・スキルを問う検定であるといことにも関係していると思います。またパソコン検定4級の出題数は79問ですから、広い出題範囲の割に、その中で「このあたりの知識」を問う問題は1回の試験で最大でも10問も出ないでしょう。場合によっては検定を受けた回によっては「クライアントのデータのバックアップ」に関する出題が無いかもしれません。このあたり、試験対策をするにしても、試験対策にとどまらず「パソコン」全般に関してスキルアップしたい場合でも、「どのあたり、どの辺まで」勉強すればいいかはなかなか判断が難しいところですね。


パソコン検定(P検)では測るべき「技能(能力)」がちゃんと定義されていますね

先週からパソコン検定についてお話していますが、この検定については、どのような「能力」を測ろうとしているのか、明確に記載してありますね。特に、検定取得者が持つべきスキルマップを、「人物像」、「職務遂行能力」、「知識・スキル」という三つの観点から体系化しており、一律で測るのが難しいパソコンに関する「技能(能力)」をうまく整理し、それぞれのレベルの人がパソコン技能向上に向けたそれぞれの目標を立てやすいようになっていると思われいます。

これはとても素晴らしいことだと思います。「試験は成長(能力)を測るためのモノサシ」であるという本ブログの考え方からすれば、各級を取得する人が本来持っているべきスキルがあらかじめ明確になっていることは非常に重要です。これが明確であれば、現状出題されている試験問題が、適切に要求する能力を測定できているか、また各級を既に取得した人が本当にこのような能力を備えているか、といったことを事後調査・分析で確認して、試験問題の品質を常に維持管理、向上させていくことができます。

またこのパソコン検定は、「最新ソフトに対しての能力評価を目的としていますので、年度表示の合格認定制をとっています」と謳っておりますから、時代とともに変化していくはずの、要求されるべき「能力」についても、常に更新されていく期待があります。このことも試験の妥当性を時代とともに維持していくうえでは非常に重要です。これはなかなか毎年大変な苦労が伴うと思われますので、試験実施関係者の皆さんには敬意を表したいものです。このような日々の努力もあって、パソコン検定は厚生労働省認定試験となっているのでしょう。かつて某ソフト会社では一太郎検定というのを単独で実施しておりましたが、もはやワープロ技能だけがあれば職務が遂行できる時代ではないので、今はこの検定はパソコン検定の中のワープロ技能を測るうえでの一つの選択肢として有機的に組み込まれているようです。このあたりも時代の要請に対応している感じがしますね。

さてさて先週、うちの親にもパソコン検定対策教材プレゼントして試しにやってみてもらうとういアイデアを持っておりました。そこでさらに調べてみたところ、この教材は書店等には売っていないもので、パソコンスクール等から買うようになっていることがわかりました。しかし価格がまちまちで、どこから買うべきか、ちょっと悩んでしまいました。それで現在は購入を躊躇しております。このあたり、学習教材価格の透明性は、学習者にとって試験問題の品質と同じぐらいに重要だと思います。この教材販売はパソコンスクールさんの重要な収入源となっているのかもしれませんが、せっかく良さそうな教材なので、もっとオープンな販売形態で、どこから購入しても安心な価格設定にしてもらいたいものですね。

 


パソコン検定(P検)対策教材はなかなか良くできているようです

昨日から、パソコンの「技能(能力)」とインストラクショナルデザインのことを考えておりますが、パソコンの一般的な「技能(能力)」を測る検定としては、旺文社のパソコン検定(P検)というのが有名です。この検定の4級ベーシック試験問題例というのをみてみますと、パソコン基礎知識、インターネットワープロ・表計算基礎知識、情報モラルと情報セキュリティ/情報機器の発達、などの知識(技能)が問われています。ただ単に、パソコンの操作について教授を受けたり、操作についての疑問点を的確に質問できるだけのボキャブラリーや基本操作知識があれば良い、ということではなく、ハードウェアを含めパソコンに関わる周辺知識についても問われているようです。また、「操作シミュレーション問題」もありますので、ワードやエクセルの「技能」についても実践的に問われています。

ううむ。これをうちの親にやらせるとほとんど不正解かもしれない。しかし、「米国とのコミュニケーション」という尖がった唯一の目的を達成するためだけに、知識より実践から果敢に挑んでいるのは、ある意味偉い気がしますね。同時に、このような基礎知識を習得することをサポートしてこなかった自分にも責任を感じてしまいます。うちの親の場合などは、知識を順序だてて体系的に習得することには結構前向きなので、マニュアルなどを最初のページからじっくり読んだりするのはわりと抵抗がないようです。しかし、いろんな専門用語が最初から出てくるのでチンプンカンプンになることが多いようです。

ここで小学校の授業のことなどを考えると、各学年で習っていない漢字は教科書の中で出てこないようになっているはずなので、このように、知識を体系的につける目的において、基本的なボキャブラリーが未熟なことが大きな障害にはならないのだと思います。しかしながら、小学生向けの教材なら「小学校4年生向け」などの基準を引くことで、前提知識として要求されるボキャブラリーは明確化できますが、パソコンの場合、「P検4級程度」の知識量(ボキャブラリー)が求められます、などと言っても一般にはコンセンサスが無いので難しいでしょう。

 そんなわけで、これまで親には特にパソコンの教科書的なものを推奨してこなかったのですが、P検の場合「バイブル」と呼ばれているものがあるそうです。「パソコン検定委員会公認のP検短期合格を目的とした学習用CD」なんだそうですが、アセスメントテスト、ラーニングコンテンツ(学習プログラム)、アチーブメントテスト、本試験形式による合否判定付模擬問題という構成になっているそうで、これは先にお話した「弱点補強を前提とするアセスメント(試験)システム」に近いものになっている期待があります。さすが「パソコン検定委員会公認」、インストラクショナルデザインがしっかりできている感じがします。各級用がそれぞれ4800円だそうですので、一つうちの親にプレゼントして、トライしてもらってもらっても面白い気がしますね。「アセスメントテストの結果で、正解か不正解かのマーキングが付いた個別学習メニューが自動作成されます」、とありますから、知識としてぽっかり穴があいているところだけ埋め合わせていくにはなかなか良さそうです。

しかし、インストラクショナルデザインにおいては、はじめに教育目標を明確に設定することが重要ですので、そもそも「一般的な情報社会の中でパソコン全般の知識や操作能力・レベル」を問うパソコン検定の場合、その対策も含めて教育目標は何であるか、また試験の内容とどのように関係付けられるべきか、来週はそのあたりを考えていきたいと思います。


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