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保守党は「強力な公式野党」か [2015年下院選]

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 保守党のローナ・アンブローズ暫定党首は、「強力な公式野党」と称して99人の院内勢力を誇った。だが今の保守党は、歴史的に見てそれほど強力なのだろうか。
 保守党は、2015年総選挙で得票率31.9%を記録した。彼らは、自党にいまだに根強い支持がある根拠としてこの数字を挙げたが、それは2011年に新民主党が記録した30.6%や、2006年に自由党が記録した30.2%とほとんど変わらないものである。なお両党とも、次の総選挙ではさらに悪い結果に終わっている。
 議席率においても、保守党が獲得した99議席は、3桁に迫る数だが、定数が338議席にまで拡大したため、議席率では29.3%にすぎない。それは過去42回行われた総選挙のうち、28番目に大きな最大野党であるにすぎない。カナダの最大野党は平均して議席率32%になるが、今の保守党はそれに9議席足りない。
 2つの表は、総選挙に敗北し下野した与党の議席率と得票率を示している。(なおマッケンジー・キング首相率いる自由党は、1925年総選挙で第2党に転落したが、進歩党の協力で政権を維持したので、表から除外している。)敗北し下野した16の与党のうち、今の保守党は議席率で12位にランクしている。また敗北し下野した与党の議席率は、平均で30.7%となっており、今の保守党はこれをわずかに下回っている。なお、1993年におけるキャンベル首相の成績が際立って悪く、平均値を大きく押し下げていることには注意を払う必要があるだろう。
 2015年のハーパー首相より成績が悪いのは、キャンベル首相、ターナー首相、ベネット首相、マーチン首相、ミーエン首相だが、世界恐慌の真っ只中にいたベネットを除き、あとの4人は有権者の信託を得ず前任者の辞任によって政権に就いたことには、注目すべきだろう。
 保守党の得票率31.9%は、16例のうちの11位で、平均値の37.1%を下回る。なお、ランキングの上位5つのうちの4つが、1921年以前であることには注意する必要がある。というのは、それ以前は2つの党のみが議席を有した純然たる二大政党制であり、それ以降は3つ以上の政党が議席を有する多党制だからである。
 客観的に見て、今の保守党はさほど強力とはいえず、むしろ平均以下といえる。単に定数が増えたため、議席の数が多いというだけである。
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ケベック連合のデュセップ党首辞任 [2015年下院選]

 複数のメディアが10月21日、ケベック連合のジル・デュセップ党首が翌日辞任すると報じた。デュセップ党首は22日の午後1時に記者会見を行う。
 デュセップ氏は2011年総選挙で4議席と大敗し、自身も落選して党首を辞任した。ところが新たに党首に就いたマリオ・ボリュー党首は内紛をひき起こし、議員の離党が相次いだため、6月にデュセップ氏が党首に復帰していた。
 デュセップ党首は2015年総選挙で10議席を獲得したが、公式政党資格である12議席に届かず、ケベックでの得票率は19.3%にとどまった。そして彼自身も、ローリエ-サン=マリー選挙区で落選した。
 ラ・プレス紙は、レアル・フォルタン議員が暫定党首に就くと報じた。
「総選挙ではしっかり支える」と助言し、デュセップ氏の党首復帰を促したケベック党のペラドー党首は21日、彼の党首残留を望むと語った。
「彼は非常に有能であり、党首に留まることを望んでいる。」
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総選挙、各州それぞれの攻防 [2015年下院選]

 10月19日に実施された連邦議会総選挙は、自由党184、保守党99、新民主党44、ケベック連合10、緑の党1(定数338議席)という結果となり、自由党のジャスティン・トルドー党首が、43歳という史上2番目の若さ(最年少はジョー・クラークの39歳)で首相に就任することが決まった。
 大多数の調査機関は、自由党の少数政権を予測した。スリーハンドレッドエイト・コム社は、自由党の最大限度を161、保守党の最少限度を99、新民主党の最少限度を58としていたが、結果はそれらの限度を超えたものとなった。このようなギャップを説明するには、有権者が投票日の2・3日前に、新民主党から自由党に雪崩をうってスイッチしたと考えるしかない。事実、セントジョンズ・イースト選挙区(ジャック・ハリス議員)、ハリファックス選挙区(ミーガン・レスリー議員)、ガティノー選挙区(フランソワーズ・ボワバン議員)、オタワ・センター選挙区(ポール・デュワー議員)、トロント-ダンフォース選挙区(クレイグ・スコット議員)、ウィニペグ・センター選挙区(パット・マーチン議員)など、新民主党は安全と思われていた選挙区を数多く失っている。

 オンタリオの投票が終わらないうちに東部で開票が始まると、自由党の「赤潮」が東部を席捲し、早くも自由党勝利が報じられた。低成長・高失業率のこの地域では政府の財政出動が求められているが、保守党政権は財政規律を重んじ、雇用保険を削減した。それは、景気刺激のために赤字財政に甘んじるとするトルドー党首とは、対照的だった。
 ニューファンドランド&ラブラドル州のダニー・ウィリアムズ元首相(ニューファンドランド&ラブラドル進歩保守党)は、ABC(Anybody But Conservative/保守党以外誰でも)運動で公然と保守党に叛旗を翻した。「最後の進歩保守党」ピーター・マッケイ氏の引退や、プリンスエドワード島に居住実態のなかったマイク・ダフィー上院議員の任命などは、この地域の人々を怒らせた。結果は、東部の全議席が自由党一色に塗りつぶされることになった。

 ケベックでは、選挙戦序盤をリードした新民主党が16議席の惨敗を喫し、ケベック出身のマルケア党首をリーダーに据えたにもかかわらず、ケベックの地盤を一瞬のうちに失った。自由党は40議席と、1980年のピエール・トルドー首相以来35年ぶりにケベックの第一党に返り咲いた。これは同時に、ケベック連合を支持し続け「万年野党」化したケベックが、27年ぶりに「キングメーカー」の地位に返り咲いたことをも意味する。
 保守党のクロード・カリニャン上院議員は、ケベック州民はニカブ問題を通して、新民主党は自分たちとは考えが違うと感じたと説明する。
「人々はレイトン党首の人柄に1票を投じ、その政策について注意を払わなかった。今回総選挙では、人々は新民主党が何を訴えているのかわからなかったのだろう。」

 オンタリオでは、保守党が反移民と思われる政策を採ったことが裏目に出た。重罪を犯した外来系市民から市民権を剥奪するC-24号法案の導入や、シリア難民受け容れの制限などである。選挙戦最終週には、ハーパー首相がロブ・フォード前市長とともに遊説するという致命的過ちを犯した。
 2011年総選挙では、保守党が得票率44%で73議席を獲得したのに対し、新民主党と自由党は得票率25%でそれぞれ22議席と11議席しか獲得できなかった。今回総選挙では、自由党は得票率45%で80議席を獲得している。保守党は今回、苦戦している選挙区でことごとく敗北した。彼らが2011年に過半数を獲得したとき、オンタリオで僅差で勝利した選挙区はことごとく失った。

 中西部では、保守党が相変わらずの強さを見せたものの、エドモントンの3議席・カルガリーの2議席・ウィニペグの8議席を自由党と新民主党に奪われた。

 ブリティッシュコロンビアでは、自由党は17議席を獲得し、1968年にピエール・トルドー首相が16議席を獲得した記録を上回り、47年ぶりに第一党となった。保守党は事前の予想通り得票率30.0%を記録したが、10議席しか獲得できず、得票率25.9%で14議席を獲得した新民主党をも下回った。
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自由党過半数、トルドー党首親子で首相に [2015年下院選]

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 連邦議会総選挙の投票は、太平洋時刻の10月19日午後10時に締め切られた。判決で、市民権宣誓式と選挙の投票でのニカブ着用が認められたため、今回総選挙は、ニカブを含む、カボチャやウサギの被りものやスーパーの紙袋などで顔を覆いながら投票するパフォーマーの姿が全国的に見受けられた。
 CTVとCBCとグローバルニュースは、投票締め切りから15分以内に自由党勝利を報じた。現時点での各党獲得見込み議席数は、自由党187、保守党102、新民主党38、ケベック連合10、緑の党1(定数338議席)。
 開票は東部から始まったが、自由党は東部の全議席を獲得し、その後の躍進を予感させた。保守党はクリス・アレクサンダー市民権・移民大臣、ゲイル・シー水産大臣、ベルナール・バルクール先住民問題担当大臣が落選したほか、引退したピーター・マッケイ法務大臣のセントラル・ノバ選挙区をも失った。そこは1968年の選挙区創設以来、5年を除く42年間マッケイ親子が保持してきた鉄板選挙区だった。またオンタリオではジョー・オリバー財務大臣が、自由党候補にリードを許す苦戦を強いられている。
 自由党は、オンタリオの73選挙区で当選したほか、5選挙区でリードを保っている。ケベックでは78選挙区中36選挙区で当選したほか、10選挙区でリードを保ち、1980年以来35年ぶりにケベックの第一党に返り咲いた。そして苦手のアルバータでも11年ぶりの議席を獲得するなど、自由党は全国的に躍進し、過半数到達を確実にした。新民主党は、主戦場のケベックで11議席しか獲得できない見込みの惨敗を喫したほか、大票田オンタリオでも9議席にとどまる見込みで、野党第一党の地位を失った。保守党は、ニカブ論争に乗じケベックで議席を倍増させる11議席を獲得できる見込みで、オンタリオでも彼らの基盤である「905地区」などで33議席を獲得した。本拠地アルバータでも3議席を除く全議席、サスカチュワンでも3議席を除く全議席を獲得する見込みで、中西部での圧倒的な強さを示し、全国で3ケタ議席を獲得して面目を保った。ケベック連合は、当初議席獲得が絶望視され、党存続すら危ぶまれたが、ニカブ論争に乗じ10議席を獲得し存在感を示した。緑の党は、メイ党首が唯一の議席を守った。

 自由党は、「イケメン王子」トルドー党首が就任して以来高い支持率を誇ってきた。昨年12月まで、保守党はいつ選挙をやっても勝てなかっただろう。それが昨年秋、イスラム過激派のテロが続発すると、若く経験が浅く「お坊ちゃん」イメージのトルドー人気にかげりが見え始め、テロに強い態度を示した保守党が支持率を上昇させた。
 与党には解散・総選挙をいつでも実施できるアドバンテージがあるが、2015年に入ると各党は総選挙モードに入り、抜き打ち総選挙はできなくなった。2015年以降、保守党は世論調査を見ながら解散のタイミングを計っていたことだろう。トルドー党首はイブ・アダムス議員の入党を認めただけでなく、記者会見に同席さえしたが、結果は予備選敗退となり、党員と支部にNOを突きつけられた格好となり、指導力に疑問を抱かせた。保守党にとっては、これが解散の最後のチャンスだっただろう。最終的には、法律で定められた最終期限に総選挙を実施することになったが、選挙戦の最中にマイク・ダフィー上院議員の公判が開かれたり、シリア難民の幼児が水死したりする不運にもみまわれた。ハーパー首相は選挙戦の最中にTPPを合意に導いたが、有権者はあくまでも変化を求め、評価されることがなかった。

 予想に反し、自由党は過半数政権を築く。ハーパー首相は党首辞任を発表したため、保守党は党首選を行うことになる。新民主党は、ケベックの地盤を一瞬にして失い、元のオンタリオと中西部だけの党に先祖帰りした。消滅の危機に瀕していたケベック連合は、死の淵からよみがえった。ケベック連合の分派である「力と民主」は、議席を獲得できず消滅することになるだろう。カナダの新しい時代が始まる。


写真:ジャスティン・トルドー次期首相とソフィー・グレゴワール=トルドー夫人。
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総選挙投票始まる:自由党10年ぶり政権奪回へ [2015年下院選]

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 戦後最長の選挙戦は終わり、カナダではすでに投票が始まっている。あらゆる世論調査は、自由党がカナダの政治史上初めて第3党から政権奪取し、ジャスティン・トルドーが初めて親子で首相になることを示している。
 スリーハンドレッドエイト・コム社は10月18日、8社による世論調査の結果から、各党の獲得見込み議席数を自由党137(118~157)、保守党122(99~139)、新民主党73(58~92)、ケベック連合5(1~12)、緑の党1(1~1)、その他0(0~1)(定数338議席)と発表した。
 世論調査は、投票日当日に発表することは禁止されている。18日朝までに発表された8社による世論調査について、自由党は17回連続でトップに立った。そして1社を除く全社の調査で、自由党は誤差の範囲を超えて「有意な」リードを保っている。
 選挙戦の序盤ではマイク・ダフィー上院議員の公判があり、保守党は支持率を下げ、かわって新民主党が過半数を獲得する勢いを見せた。自由党は選挙戦を、3位から始めることになった。ところが選挙戦中盤にはニカブ論争が巻き起こり、ケベックで新民主党が支持を失った。その隙に、自由党はフランコフォン有権者を味方につけケベックで支持率トップに立ち、ケベックから締め出されていた保守党は議席を倍増できそうな位置につけた。そして議席獲得が絶望視されていたケベック連合は支持率を取り戻し、片手で足りるほどの議席を獲得し、組織を維持できそうだ。
 オンタリオは、かつては自由党が100議席を保持した金城湯池だったが、近年は3党が接戦を繰り広げる激戦地である。自由党はこのオンタリオにおいて、2011年総選挙ではかなり多くの選挙区で惜敗した。予想を超えたおびただしい数の取りこぼしは、保守党に過半数を許す原因となったが、ひとたび有利な風が吹けば、自由党がそれらの失地を回復することは難しいことではない。自由党は世論調査では、最大の票田オンタリオでも保守党に12ポイントの差をつけている。
 自由党は主戦場の中部で支持率トップに立ち、苦手のアルバータでも11年ぶりに議席獲得できる勢いを示し、東部でも大きなリードを保っている。そして世論調査によると、有権者の3分の2が変化を求めている。自由党の政権奪回は、ほぼ確実な状況といえる。
 だが、自由党の保守党に対するリードは7ポイントで、絶対的なものではない。最大の獲得見込み議席において、自由党は保守党を下回っている。
 また高齢者ほど投票率が高く、高齢者に保守党支持者が多いと言う指摘もある。選挙管理委員会は、2011年総選挙において、55歳以上の有権者の70%以上が投票したと発表した。いっぽう35歳未満の有権者は、その半分以下であった。
 一部の批評家は、今年イギリスの総選挙で予想に反し保守党に過半数を与えた「シャイ・トーリー」の存在を指摘する。それは、他人の評価を気にするあまり世論調査で本音を言わない保守主義者のことである。
 だが自由党には勢いがあり、ここ3週間で毎週2ポイント程度支持率を上げている。いっぽう保守党は、支持率に変化が見られない。そして「誰が首相にふさわしいか」というアンケートで、トルドー党首はハーパー首相を大きく上回っている。

 与党保守党はおそらく、総選挙に勝利できないだろう。できたとしても、内閣不信任を免れない。そしていずれの場合でも、ハーパー首相は党首を辞任するだろう。党首選が開催されることになるが、最も有力な後任はジェイソン・ケニー国防大臣である。ハーパー首相は後継者の育成を怠り、ジム・プレンティス氏、ピーター・マッケイ氏、ジョン・ベアード氏ら多くの側近を引退に追い込んだ。
 カナダ同盟のハーパー党首と進歩保守党のマッケイ党首が2003年、保守合同(実は前者による後者の吸収)に合意したとき、新党の党首にはハーパー氏が就き、マニフェストは両党のものをつぎ足したようなものになった。ところがカナダ同盟の人々は進歩保守党に党を乗っ取られたと言い、進歩保守党の人々はカナダ同盟に魂を売り渡したと言って、不思議なことに両者とも不満をこぼした。両派の微妙な舵取りは、ハーパー氏が党首だったからできたことであり、党首が変われば再びカナダ同盟時代の極右に戻る可能性もある。カナダ保守党が与党たりえたのは、オンタリオに存在する膨大な数のレッド・トーリー(穏健保守)が、極右のカナダ同盟を嫌い自由党に投票してきたのを、カナダ保守党にスイッチしたのが原因であり、ひとたび極右の政策に戻れば、彼らは再び保守党を離れる危険性がある。現に、「最後の進歩保守党」マッケイ氏の引退により、保守党は東部での議席獲得が困難になっている。

 今日、カナダで歴史が変わる。若いトルドーをリーダーに据えた自由党が、10年ぶりに政権を奪回する。その政権は不安定なものになるだろうが、保守政界の再編を誘う可能性を秘めている。
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自由党、トロント郊外でも好調 [2015年下院選]

 ナノス・リサーチ社が10月14日から16日まで、1600人の有権者を対象に実施した対面世論調査によると、政党支持率は自由党37.0%、保守党30.7%、新民主党22.6%、ケベック連合4.4%、緑の党4.7%という結果となった。
 1か月前には3大政党がほぼ同じ数字で競り合っていたが、ここ30日間で自由党は、29.6%の3位から37.0%の1位まで約7ポイント上昇した。いっぽう新民主党は30.4%から22.6%に後退し、約8ポイント減少させていることから、自由党は新民主党支持者の票を得たと考えられる。保守党は31.0%から30.7%と、誤差の範囲内だった。
 保守党を支持する被験者にとって最も多い次善の選択肢は「投票しない」で、44%だった。自由党を支持する被験者にとって最も多い次善の選択肢は新民主党で、56%だった。新民主党を支持する被験者にとって最も多い次善の選択肢は自由党で、54%だった。緑の党を支持する被験者にとって最も多い次善の選択肢は新民主党で、37%だった。ケベック連合を支持する被験者にとって最も多い次善の選択肢は新民主党で、52%だった。
 ブリティッシュコロンビアでは自由党32%、保守党31%、新民主党28%、緑の党10%と、相変わらず3党が競り合っているが、新民主党のかつての優位は消えうせている。
 中西部では保守党49%、自由党29%、新民主党17%、緑の党5%と、依然として保守党が強いものの、自由党も支持率を大きく上げ、11年ぶりの議席獲得が現実のものになっている。新民主党は、この地域でも支持率を下げている。
 ケベックでは自由党31%、新民主党29%、保守党18%、ケベック連合18%、緑の党4%と、新民主党によるかつての圧倒的支持は見る影もない。かわって保守党が、ニカブ論争などに乗じ支持率を上げた。
 東部では自由党52%、新民主党26%、保守党19%、緑の党4%と、自由党が大きなリードを保っている。
 大票田オンタリオでは自由党45%、保守党33%、新民主党18%、緑の党3%と、3党伯仲から新民主党だけ脱落した状態になっている。90年代には自由党が100議席を有していたが、その後自由党・保守党・新民主党の3党が競り合う激戦地となった。2006年総選挙では保守党が議席を上積みし、政権交代の原動力となった。2011年総選挙でも保守党が106議席中73議席を獲得し、過半数獲得の大きな力となった。
 トロント郊外は、2011年総選挙では保守党が18議席中17議席を獲得した。だが最近の世論調査によると、25議席中18から22議席が自由党の手に落ちそうで、残りの3から7議席が保守党の取り分となりそうだ。新民主党は、この地域では全く食い込むことができない。保守党はクリス・アレクサンダー市民権・移民大臣(エイジャックス選挙区)、ジュリアン・ファンティーノ国防副大臣(バーン=ウッドブリッジ選挙区)らが落選する。
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少数政権のシナリオ [2015年下院選]

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 総選挙の結果、自由党か保守党による少数政権が誕生する可能性が非常に強くなった。ケベック連合のデュセップ党首は、こう述べた。
「たとえハーパー氏が議会で最も多くの議席を得たとしても、彼は首相ではない。」
 首相の指名は、日本のように議会で首班指名選挙を行うのではなく、カナダでは総督の判断で行われる。第一党が過半数を獲得した場合は問題ないが、そうでない場合は規定がなく、慣習法の世界なので対応が非常に難しいことになる。以下は、考えられるいくつかのシナリオである。

●シナリオ1:自由党少数政権
 ハーパー首相は、最も多くの議席を得た党が政権に就くべきだとつねづね述べている。それは必ずしも正しいとは言えないが、保守党が第一党になれなかった場合、ハーパー首相は辞職するだろう。それからトルドー党首が総督公邸に招待され、組閣の大命が降下する。
 自由党が過半数に少し足りない強い少数政権を築く場合、緑の党との閣外協力に入ることが考えられる。そして過半数に大きく足りない弱い少数政権を築く場合、新民主党との閣外協力に入ることが考えられる。

●シナリオ2:保守党少数政権→内閣総辞職
 保守党が第一党になった場合、政権を続行できる。ところが自由党・新民主党・ケベック連合は、保守党政権を支持しないと明言している。そこで連邦議会が召集され、スローン・スピーチ(施政方針演説)が行われるが、その信任投票は否決される。これは内閣不信任と見なされるので、内閣総辞職か議会の解散・総選挙のどちらかになる。
 内閣総辞職になった場合、野党第一党の党首が総督公邸に招待され、組閣の大命が降下する。

●シナリオ3:保守党少数政権→憲法危機
 保守党は第一党となり政権を維持するが、連邦議会で内閣不信任される。そこでハーパー首相は総督に議会の解散・総選挙を上奏する。しかし前回総選挙から日が浅く、同じ結果に終わる可能性が高いと総督が判断した場合、これを拒否することは大いにありえる。そしてこれを拒否して野党第一党党首に組閣を命じた場合は、「憲法危機」となる。1926年、総選挙直後に進歩党の支持を失い少数政権となったキング首相が、ビング総督に解散・総選挙を拒否され、総辞職してミーエンが首相に指名されたかの事件の再来である。
 その結果、ビング総督は政治に干渉したと非難され、ミーエン首相も内閣不信任され、キングの自由党が総選挙に圧勝する。だが政治学者のかなり多くは、ビング総督の判断を英断だと評価している。
 ブリティッシュコロンビア大学で政治学を教えるマックス・キャメロン教授は、こう指摘した。
「カナダ国民が歴史上最も長く最も高額な選挙を経験した後ということを考慮すると、国民感情はそれを支持すると思う。」

●シナリオ4:保守党少数政権→時間稼ぎ
 保守党が少数政権を築く場合、連邦議会で即座に内閣不信任されるリスクがある。そこで時間稼ぎとして、ハーパー首相が党首と首相を辞任し、党首選を開催し新党首を選出するため、議会の開会を数か月遅らせることができる。
 議会の召集は6月までに行えばいいので、このシナリオは法律上は可能だとキャメロン教授は指摘した。議会の召集は通常は総選挙の直後に行われるが、彼は、ハーパー首相は過去に何度も慣例に反することをしてきたと強調した。
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投票日、ジェイズのプレーオフと同日に [2015年下院選]

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 トロント・ブルージェイズは10月14日、プレーオフの第1シリーズを2連敗後に3連勝して制し、アメリカンリーグ優勝決定シリーズに駒を進めた。これにより、総選挙投票日はシリーズ第3戦、地元トロントのロジャース・センターでの試合と同日となった。総選挙は例年にない接戦が繰り広げられているが、10月9日から12日までに実施された不在者投票は360万人にも及び、投票所では職員が食事も摂れないほどの事態となった。当日の投票率は、意外と低くなるかもしれない。
 ジェイソン・ケニー国防大臣は14日、苦戦が報じられている保守党(イメージカラーは青)を、ブルージェイズにたとえて演説した。
「青いチーム、彼らは後方から来た。そして、彼らは3連勝した。あたかも別の青いチームが10月19日に勝利するのと同様に。」
「それは勇気と信念を持ち、原則を守ることだ。それこそが、ジェイズが我々に教えたものであり、我々が来週の月曜日にカナダに見せるものである。」
 1993年の総選挙は、ブルージェイズが劇的な逆転サヨナラ3ランでワールドシリーズを制した2日後に実施された。当時のキム・キャンベル首相は、投票率の低下を懸念していた。進歩保守党は、キャンペーン・バスのフロントガラスに“Go, Jays, go!”のシールを貼っていた。
 2011年の総選挙では、モントリオール・カナディアンズがスタンレーカップのプレーオフに進出していたため、フランス語のテレビ討論の日程が変更された。
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トルドー党首、過半数について言及 [2015年下院選]

 総選挙投票日まで数日を残すのみとなったが、各世論調査機関は政党支持率について、自由党を30%台半ば、保守党を約30%、新民主党を20%台前半と発表した。自由党は保守党を数ポイントリードしており、自由党少数政権誕生の可能性が非常に強くなっている。
 メディアはトルドー党首に、過半数獲得の見込みについて問い続けてきたが、彼は答えなかった。だが9月14日、オンタリオ州ハミルトンのモホーク・カレッジで開催された集会で、彼はついに過半数について言及した。
「私は、カナダ人に我々に一票を投じるようお願いしているのか? そうだ。私は、国中の人々に我々に一票を投じるようお願いしているのか? そうだ。私は、過半数政権のために一票を投じるようお願いしているのか? そうだ。」
 彼は選挙期間中、一貫して新民主党との連立や閣外協力の可能性を否定し続けてきたが、自由党少数政権誕生が濃厚となった今、改めてこれを問われると、こう答えた。
「カナダ人が望まないものは、裏取引をする政治家である。私は、カナダ国民を信じている。私は、カナダ国民が10月19日に本当に強い選択をすると承知している。」
 だがトルドー党首が過半数について言及したと聞いて、イノベーティブ・リサーチ・グループのグレッグ・ライル氏は驚いたという。
「私が彼の立場だったら、私はそれを言わないだろう。それは保守党に、攻撃のきっかけを与えることになるだろうから。」
 現に危機感を抱いた保守党は最近、自由党政権になれば増税され、マリファナや売春が合法化されるだろうと批判を強めている。
 選挙戦終盤となるここ数日、トルドー党首はオンタリオ南部の保守党と新民主党の現有する選挙区を集中的に巡った。それは、ハーパー政権に失望させられた旧進歩保守党支持者の票を得るためと、新民主党を支持する左派有権者の票を得るためである。自由党や新民主党を支持する左派有権者が、投票日当日にどちらに転ぶか、まだ予断を許さない。EKOSリサーチ社のフランク・グレイブ社長は、保守党は唯一の右派政党であり、票の分散がないため、展開次第では有利になるかもしれないと語った。
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【世論調査】自由党少数政権、濃厚に [2015年下院選]

 フォーラム・リサーチ社が10月8日と9日、1427人の成人カナダ人を対象に実施した電話世論調査は、自由党37%、保守党31%、新民主党23%という結果となった。
 これをもとに選挙区ごとのシミュレーションを行うと、予想獲得議席数は自由党145、保守党116、新民主党69、ケベック連合7、緑の党1(定数338議席)となり、投票日まであと10日に迫っているが、自由党が過半数に25議席足りない強力な少数政権を築く見込みが示された。
 これについて、フォーラム・リサーチ社のローン・ボジノフ社長は「新民主党が今後の10日間で回復することはありそうにない」と語った。
 なお調査は、ほぼ3分の1にも及ぶ回答者が、新民主党をも選択の余地としていることを示している。
 自由党と新民主党は、調査結果についてのコメントを辞退した。
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左派連立の鍵は「数」 [2015年下院選]

 カナダ総選挙の行方は、3党デッドヒートから新民主党が1馬身脱落し、保守党・自由党の一騎討ちとなりつつある。投票日まであと10日、このような状況ではどの党も過半数を獲得できないだろう。
 各党は表向きは連立を公言しないものの、自由党と新民主党の左派両党は、水面下では保守党を政権から引きずり降ろすための連立あるいは政策協定を模索しているとも言われる。
 両党のベテランは、1985年にオンタリオで成立した「自由党=新民主党政策合意」を思い出す。総選挙の結果、進歩保守党52・自由党48・新民主党25(定数125議席)となり進歩保守党が政権を維持したが、自由党と新民主党は政策合意(連立協定ではない)を結んだのち、内閣不信任して政権を奪取した。小勢力だった新民主党は、自由党政権を2年間閣外から支えたのち、1990年総選挙に勝利して初の新民主党政権を樹立した。
 自由党の事情通は、1985年の選挙期間中には連立に関して何の公約もなかったことを強調した。つまりは、現在行われている連邦議会選挙でも連立は言及されてなく、ゆえに有権者の委託を受けたとは言えないが、制度上可能だというのである。
 新民主党の事情通によると、連立が成立するためには、数が偶然に揃わないといけないのだという。連立にとって最もいい条件は、自由党140議席・新民主党120議席(定数338)で、これなら関係はより長く、より深いものになるのだという。しかし自由党80議席・新民主党160議席の場合は、自由党が拒否するだろう。
 自由党にとって最悪のシナリオは、保守党150議席・新民主党130議席・自由党60議席だという。この場合、ハーパー首相が少数政権を築くことになり、彼はスローン・スピーチ(所信表明演説)にTPP合意を成果として盛り込むことになる。
 選挙戦では一貫して自由貿易を訴えてきたトルドー党首は、そのとき果たして首相を支持して賛成投票するだろうか。それとも、自由貿易を訴えながら反対投票するのだろうか。
 保守党は資金集めに苦労することはないため、保守党が少数政権を築く場合、数か月後にでも抜き打ち解散・総選挙を行い、疲弊した野党を一掃して過半数を取り戻すこともありえる。
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【世論調査】新民主党による政権奪取、絶望的に [2015年下院選]

 ナノス・リサーチ社が10月8日に発表した政党支持率調査は、自由党33.5%、保守党31.6%、新民主党24.2%という結果となった。選挙戦は自由党と保守党による伝統的二大政党の争いになることが明確となり、新民主党による政権奪取はほぼ絶望的となった。新民主党は9月24日の調査では支持率30.8%だったが、この2週間で約7ポイントも低下したことになる。
 批評家の多くは、新民主党転落の原因として、均衡予算の提唱とニカブ問題を挙げる。自由党も新民主党もともにニカブ容認を主張するが、ケベックにおける自由党の基盤がアングロフォン地域であるのに対し、新民主党の基盤はライシテ(公共の場での宗教禁止)を支持するフランコフォン地域であるから、新民主党は自由党よりもっと大きなダメージを受けているだろう。
 だがトロント大学で政治学を教えるネルソン・ワイズマン教授は、これとは異なる見解を提示する。
「この数字は、新民主党が野党第一党の地位を失うことを示している。これは、政権を目指す戦いではない。選挙戦はいまや、3党鼎立から1対1の戦いに変わった。」
 ワイズマン教授は、選挙戦の緒戦において、保守党によるトルドー党首へのネガティブ広告「まだ準備ができていない」が一定の成果を挙げたと見ている。その結果として、有権者は新民主党の旗のもとに集ったという。
 マルケア党首はテレビ討論に臨み、「トルドーを叩きのめす」と言っていた。だが実際にはそうはならず、むしろトルドー党首の強い態度が印象に残った。
 ワイズマン教授は、投票日まであと2週間もないが、新民主党はケベックの議席にしがみつく厳しい戦いになるだろうと語った。
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「オレンジ・クラッシュ」:新民主党の支持率低下、止まる兆しを見せず [2015年下院選]

 10月に入り、投票日まで残すところあと半月となったが、最新の世論調査は、新民主党が主にケベックで支持を失いつつある「オレンジ・クラッシュ」現象を示している。
 レジェ・マーケティング社による10月2日の政党支持率調査は、自由党32%、保守党30%、新民主党26%となった。またナノス・リサーチ社による10月1日の政党支持率調査は、自由党33.5%、保守党31.9%、新民主党25.9%となった。
 そしてレジェ・マーケティング社によるケベックでの支持率は、新民主党28%、自由党24%、ケベック連合24%、保守党21%となり、主要4党全てが20%台で並ぶことになった。新民主党はかつての圧倒的な支持を失い、一週間で支持率10ポイントを失った。
 レジェ・マーケティング社のクリスチエン・ブルク氏は、もしも現在の支持率が投票日当日にそのまま反映されたら、自由党はモントリオールとその周辺で議席を増やし、保守党はケベック市地域で議席を増やし、ケベック連合は2011年総選挙で新民主党に譲った地方の議席を回復することになるだろうと予測した。
「新民主党の転落は、ほかの3党を助けた。3党はいずれも、上に傾いている。」

 新民主党は8月末の時点では、ケベックで78議席中60議席を獲る勢いだった。選挙戦の緒戦では、「ハーパー政権を終わらせるには、新民主党はあと35議席、自由党はあと100議席を必要とするだけだ」と語っていて、この印象的なフレーズは功を奏したように思われる。それが3週間続いた低落の後、現在は50議席以上を獲得する見込みとなっている。支持率減少のわりに議席が減らないのは、失った票が分散しているからだ。
 新民主党は大雑把に見て、支持率を1ポイント減らすたびに1.5議席減らすことになる。それが、議席を譲る相手がケベック連合の場合はさらに悪く、支持率を5ポイント減らすと12議席減らすことになる。10ポイントの減少では、32議席減少となる。

 新民主党がケベックで支持を減らすことになった原因は、やはりニカブ論争だろう。多民族なトロントやバンクーバーで支持されてきた同党は、市民権宣誓式でのニカブ着用を擁護したが、保守党は調査でカナダ人の多くが、特にケベックではニカブ禁止が支持されていると知って、攻勢を強めている。
 新民主党には、ニカブ禁止に回ればトロントやバンクーバーで支持を失い、ニカブ着用を擁護すればケベックで支持を失うというジレンマがある。だが多くの批評家は、同党が総選挙に勝ち残るには、ニカブ問題への対応を改めるしかないと結論づけている。
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【世論調査】新民主党、3党伯仲レースから脱落か [2015年下院選]

 ナノス・リサーチ社が9月28日から30日まで、1200人を対象に実施した政党支持率調査は、保守党32.8%、自由党31.7%、新民主党26.1%、緑の党4.1%という結果となり、3党伯仲レースから新民主党が脱落しつつあることを示した。
 レジェ・マーケティング社のクリスチエン・ブルク氏は、新民主党のケベックでの支持率は、選挙戦初期には45~51%あったと指摘する。それが最近の10日間では、30%近くにまで下落した。いっぽう自由党・保守党・ケベック連合の支持率は、20%台中頃となっている。データは、失われた新民主党の支持の多くが保守党に行ったことを示唆している。
 ブルク氏は、こう述べた。
「新民主党票は、あたかも粉砂糖のように州全体に拡散し、4者によるレースを始め、保守党にケベック進出の道を拓いた。」
 新民主党の支持率下落は、ニカブ論争が取り上げられた、先週のフランス語によるテレビ討論の後に始まった。フォーラム・リサーチ社のローン・ボジノフ社長は、こう総括する。
「保守党はニカブ論争で、明確な得点を挙げたように見える。ニカブ論争は明らかにケベックで受け容れられ、瀕死の状態にあったケベック連合をも復活させた。」

 新民主党党内では、このままでは選挙を戦えないとして、ニコル・テュルメル前暫定党首やアレクサンドル・ブレリス議員などが、ニカブ擁護から距離を置く動きを見せている。
 テュルメル前暫定党首は、明確にこう述べた。
「私は、男女平等のためにずっと働いてきた。誰かがニカブを着ているのを見ると、落ち着かない。」
 ダニエル・ランドルビル候補も、新民主党の政策支持を繰り返し表明した後、こう述べた。
「フェミニストとして、ニカブ着用には苦痛を覚える。」
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新民主党、ハーパー首相の「犬笛政治」を批判 [2015年下院選]

 新民主党のマルケア党首は9月21日、ハーパー首相の「古株のカナダ人」発言について「対立を生むゲーム」「犬笛政治」と批判した。
 EKOSリサーチ社のフランク・グレイブス氏は、「古株のカナダ人」発言を「いつもの犬笛アプローチ」と評する。それは彼の発する言葉が、大多数の人には相手にされないが、一部の人々には強く反応されるからだという。
 マルケア党首は、ハーパー首相の「犬笛政治」を批判した。
「彼は『古株のカナダ人』と言った。それこそがキーワードだ。彼は、自分が何をしているのかよくわかっている。」
「私は、恐怖と分割の政治は行わない。ハーパー首相は、いつもそれを行っている。彼は、カナダ人を分裂させる理由を見つけたら、それをやるだろう。」
 自由党のトルドー党首も、保守党政権を批判した。
「政府は、個人の権利や自由を制限するとき、理由を明確に説明する必要がある。今の政権はそうせず、分割と恐怖の政治を続けている。それは多様な国カナダにふさわしくない。」
 連邦控訴裁判所は15日、市民権宣誓式におけるニカブ着用の禁止を取り消すという下級審の判決を支持した。だがハーパー首相は、穏健なイスラム教徒と「カナダ人の圧倒的大多数」は政府を支持するだろうと述べた。さらに「可能なあらゆる法的措置を取る」と述べ、上告を示唆するとともに、総選挙で再選されれば100日以内に新たな法を制定すると発表した。

 新民主党が従来多民族なトロントやバンクーバーを基盤にしてきたことを思えば、ニカブ着用の擁護は当然だが、新たな基盤であるケベック州ではライシテ(公共の場での宗教禁止)の支持者が多い。世論調査は、相当な人数が保守党政権のニカブ禁止を支持することを示しているので、新民主党には難しい舵取りが求められている。
 ケベック連合は、ニカブ禁止に反対する新民主党の批判広告を放送している。24日にはフランス語によるテレビ討論が行われるが、ケベック連合は失った支持を取り戻すため、支持を奪った新民主党に的を絞り、ニカブ問題を追及してくることは確実だろう。
 イスラム教民族団体は、ケベック連合の広告について「イスラム教徒とケベック州民を分裂させ、イスラム教徒市民が外国人だという印象を与えようとしている」と評した。
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ハーパー首相の「古株のカナダ人」発言が波紋 [2015年下院選]

 9月17日に行われたテレビ討論で、ハーパー首相が「古株のカナダ人」と発言したことが、波紋を呼んでいる。
 ハーパー首相は「我々は、彼らに普通のカナダ人が受けるより良いヘルスケアを提供しない。それこそが、新しい者と既存の者と古株のカナダ人が同意できることだと思う」と述べた。
 ネット上では、この「古株のカナダ人」発言について「うちは3代前からカナダに住んでいるけど、古株なのかしら?」「アルコール濃度の高いビンテージものを飲むカナダ人のことか?」などと冗談交じりに話題にされた。
 ハーパー首相は翌日記者会見でこの件について問われ、移民へのヘルスケア・プログラムに関する定義づけだと釈明した。
「普通のカナダ人が受け取るよりも良いヘルスケアを、明らかに合法的でない人々に与えなければならない理由はない。」
「政策は、自身が移民であるカナダ人と、我々の残り、すなわち一世代以上前に移住した移民の子孫であるカナダ人によって支えられる。」
 首相はこう述べ、「古株のカナダ人」とは「一世代以上前に移住した移民の子孫」を意味すると説明した。
 多くの人々にとってこの「古株のカナダ人」発言は、今話題のシリア難民問題や、市民権宣誓式においてニカブ着用を禁止した規定についてイスラム系移民が告訴した問題にからみ、新参者を排除することを連想させた。
 自由党のトルドー党首は、ハーパー首相の政治姿勢を強く批判した。
「カナダ人がカナダ人であることに疑問を呈し、カナダ人のうちに異なるカテゴリーがあるという問題に、ハーパー首相は再びスポットを当てようとしている。再びカナダ人を分裂させ、恐れを政治に利用しようとしている事実は、彼がカナダの首相に値しないことを意味する。」
 新民主党のマルケア党首も、懸念を表明した。
「我々は皆カナダ人であり、そのように人々を分類するのは好きではない。」
 保守党広報のコリー・テネイック氏は、首相を擁護した。
「総理はその言葉に、侮辱や悪意をこめたわけではない。」
 EKOSリサーチ社の世論調査は、シリア難民の受け容れは無制限かそれとも常識的な数かについて、意見が割れていることを示している。また、市民権宣誓式においてニカブ着用は禁止されるべきかどうかについては、相当な人数が保守党政権の主張する禁止に同調していることを明らかにしている。
 保守系圧力団体「国民連合」でかつてハーパー首相とともに活動したジェリー・ニコルズ氏は、首相が保守党以外の支持者を取り込むため、「我々vs彼ら」のゲームをしていると推測した。


【動画】 https://www.youtube.com/watch?v=k_R0tOpD8aw
ハーパー首相が“ordinary Canadian”と言ったところで異論が出ていることに注意。
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トルドー党首、選挙区で苦戦と報じられる [2015年下院選]

 CROP社が9月11日から14日の間に、新民主党の依頼で実施したパピノー選挙区有権者375人を対象とした電話世論調査が、17日にリークされた。これによるとパピノー選挙区での支持率は、自由党のトルドー党首35%に対し、新民主党のアン・ドーソン候補が46%となり、楽勝と思われていた選挙区でトルドー党首が11ポイントという途方もない差をつけられていることが示された。ケベック連合のマクシム・クラボー候補は、10%だった。
 このニュースはCTVテレビで報じられ、その後モントリオール・ガゼット、ラ・プレス、ル・デボワールなどモントリオール各紙でも報じられると、新民主党支持者などによりツイッターでも話題となった。

 だが、世論調査機関スリーハンドレッドエイト・コム社のエリック・グルニエ氏は、このデータに疑問を呈した。
 第一に、たとえ1選挙区であっても、対象者375人というのは世論調査としては異例なほど少ない。これは意志が未定でない281人の対象者にとって、プラスマイナス5.8%の誤差を生じることになり、最大で11.6%もの誤差は、両候補の差11ポイントよりも大きい。
 第二に、対象者が有権者に対し代表的でない。パピノー選挙区住民の50.1%が女性で49.9%が男性であるから、対象者はこの割合に等しく、男女がほぼ同数であるべきだが、この調査では男性対象者117人に対し女性対象者258人と、69%が女性であり著しい偏りがある。なお新民主党支持者は、女性が多いことが知られている。
 誤差が最大「プラスマイナス5.8%」とは、対象者がランダムに選ばれた場合の数字である。回答者のわずか14%が2011年連邦議会選挙で自由党に投票したと回答しているが、実際にはトルドー氏は38.4%の得票率で当選しているという事実は、対象者の抽出が代表的でなく不適切であることを示唆しており、対象者が新民主党支持者に偏っている可能性がある。
 カナダでは連邦議会選挙と州議会選挙で違う党に投票することは普通に行われており、4年前の連邦議会選挙でどこに投票したかを覚えていない人がいても不思議ではない。その後ケベックでは2度の州議会総選挙が実施されたから、混乱することはありえるが、ケベック自由党は2014年州議会選挙で勝利しているから、自由党の数字は実際より高くなることはあっても低くなることは考えにくい。パピノー選挙区は労働者が多く、住民の入れ替わりは激しいが、それを考慮してもなお、この調査の信頼性には疑問が残る。
 メインストリート・リサーチ社が17日、選挙区住民783人を対象に実施し、18日に発表した「2011年国勢調査に基づく、年齢・性別の偏りのない」世論調査は、トルドー党首41%、ドーソン候補36%、クラボー候補12%という数字を示した。この調査では、誤差は最大3.72%とされている。

 そもそも新民主党は、選挙区情勢を知るために内密に依頼した世論調査の結果を、なぜ公表する必要があったのだろうか。公表は、同日行われたグローブ&メイル紙主催の党首討論の直前に行われた。新民主党は何らかの理由で、トルドー党首が首相になれないかもしれないという情報をリークする必要があったのだろうか。新民主党は数多くの選挙区で同様の調査を行っていると考えられるが、自党に都合のいい情報だけをリークしている可能性についても考慮する必要があるだろう。
 新民主党のマルケア党首は、CROP社の調査結果についてこう述べた。
「この調査は、我々が現地で見ているものを反映しているものと考えている。我々には、本気でパピノー選挙区を獲得する意志がある。」
 同党のレベッカ・ブレイキー代表は、サポーターに「11ポイント」というタイトルの電子メールを送り、そこでこう綴った。
「世論調査は、トルドー党首の支持率が選挙区でこれほど下がっていることを示している。パピノーは自由党の鉄板選挙区だったが、流れは変わってきている。」
 いっぽうトルドー党首は、調査結果を一蹴した。
「何があろうと、私はパピノーで負けはしない。」
 メインストリート・リサーチ社のクイート・マギー社長は、パピノー選挙区での戦いの鍵となるのは、支持の強さだと指摘した。
「トルドー党首には強い支持者が82%もいて、考えを変えるかもしれない回答者は8%しかいない。いっぽうドーソン候補には強い支持者は61%で、考えを変えるかもしれない回答者は28%いる。これがトルドー支持者の特徴だ。」
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ケベック連合は生き残れるか [2015年下院選]

 ケベック連合は、1993年の最初の総選挙以来、一貫してケベックの第一党であり続けた。それが2011年総選挙では、わずか4議席に転落した。その後は内紛と離党が相次ぎ、解散時勢力は2議席しかない。
 ケベック連合候補に当選する可能性のある選挙区は、わずか15しかない。そのうち11選挙区は勝率1%未満であり、当選の見込みは最大で4選挙区しかない。最悪の場合、ケベック連合は1議席も獲れずに、連邦議会から一掃されることもありえる。
 最も当選の可能性があるのは、ベカンクール=ニコレ=ソレル選挙区の現職ルイ・プラモンドン議員である。彼は、ケベック連合が初めて戦った1993年総選挙で当選して以来、ずっと議員を務めている。彼の勝率は、26%と算出された。
 次に望みが高いのは、ガスペジー・マドレーヌ諸島選挙区のニコラ・ルッシ候補で、勝率は25%と算出された。
 アビニョン=ラ・メティ=マターヌ=マタペディア選挙区のケディナ・フルーリ=サムソン候補にも、当選する可能性が残されている。この選挙区の現職はジャン=フランソワ・フォルタン議員で、前回総選挙でケベック連合から立候補したが、後に離党して新党「力と民主」を結成した。泡沫政党党首の彼に当選の可能性はないが、フルーリ=サムソン候補が当選できるかどうかは、フォルタン候補がケベック連合の票をどれだけ奪えるかにかかっている。
 リッチモンド=アサバスカ選挙区は、ケベック連合・新民主党・保守党・自由党の4党が接戦を繰り広げる数少ない選挙区の一つで、オリビエ・ノラン候補にも当選の可能性はある。

 ケベック連合が連邦議会から一掃された場合、その未来はどうなるのだろうか。以下の3つのシナリオがある。
 (1) 泡沫政党としてこれまで通り存続
 片手で足りるだけの選挙区に細々と候補を立て、テレビ討論には招待されない。これが最もありそうなシナリオである。
 (2) ケベック連合は消滅し、新たな分離主義政党が結成される
 ケベック独立は依然として根強い人気があり、州レベルでは分離主義のケベック党が有力政党のまま存在している。これもありそうなシナリオではある。
 (3) ケベック連合は消滅し、新たな分離主義政党は結成されない
 世論調査は、ケベック連合支持者の第2の選択は、40%が新民主党、30%が棄権であることを示している。ケベック連合が消滅すれば、それらの票の多くを新民主党が吸収し、その支持率はケベックで50%にも達するだろう。その場合、70議席以上の獲得が見込めるようになる。
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ライ麦畑で「ハーパー以外誰でも!!」 [2015年下院選]

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 オンタリオ州バーフォードで農業を営むジョン・ラングスさんは、46エーカーのライ麦畑に100メートルの大きさの文字で“ANYBODY BUT HARPER!!”(ハーパー以外誰でも!!)と書いた。
 その文字はブラントフォード空港から約10キロ離れた位置にあり、上空を行き交う多くの自家用機から見えるように書かれている。彼によると、文字はトラクターを用いてわずか45分で完成したという。
 ラングスさんは「ハーパー首相は辞めるべきだ。彼はカナダのためにならない」と語った。
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左派有権者の多くが投票先を保留 [2015年下院選]

 ナノス・リサーチ社による世論調査は、保守党には強い支持者が多いいっぽう、他党支持者や無党派からの票の取り込みは期待できないという。だが左派政党である新民主党と自由党の支持者は、保守党政権を打倒するためにはどの党に投票するのがいいか、思案している。
 ナノス・リサーチ社のニック・ナノス社長は、次のように述べた。
「支持政党のある有権者の半数が投票先を決めていないというのは、全く前例のないことだ。」
「全ては、誰が二番手かにかかっている。自由党が二番手の選挙区では新民主党からの票が集まり、新民主党が二番手の選挙区では自由党からの票が集まる。」
 これほど多くの有権者が投票先を自由党か新民主党か決めかね、最後まで様子見に徹しているとなると、当日の投票結果は全く予想がつかないものになるだろう。

 エドモントン・ストラスコーナ選挙区に住むエレノア・スチュワートさんも、投票を決めかねている左派の一人である。彼女はトルドー党首について知るため、9月9日にラディッソン・ホテルで開催された自由党の集会に参加した。そして、トルドー党首がシリア難民への対処を訴えたことには満足したが、先住民問題については言及しなかったのは残念だったと語った。
 彼女はこう述べた。
「地元に対してベストな候補か、国に対してベストな候補か、どちらを重視すべきかというジレンマがあります。」
 彼女は迷っている自分を決心させるため、両党の主張をもっと聞きたいと考えている。しかし最終的には、どちらの党が保守党政権を打倒できるかが決め手になるだろうと語った。

 自由党と新民主党は、ケベック州全域とブリティッシュコロンビア州の一部で激戦を展開している。だが勝負の趨勢は、大票田オンタリオで決まる。勝敗の鍵は政策よりむしろ、自党が相手より強いと有権者に信じさせることにかかっている。ナノス氏は、自由党と新民主党のどちらかがか明確な優位を示すまで、左派有権者は態度を鮮明にしないだろうと予測する。
「膠着したレースを打開する一つの要因は、党首の重大な誤りだ。これほどの接戦が続くとき、各党首は間違いをしないように細心の注意を払うだろう。こんなときは、どの党も大きな得点を挙げにくいはずだ。」
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