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「オカ事件」批判で立候補辞退 [2008年下院選]

2127564 9月11日、自由党候補のシモン・ベダールが、予定していたケベック市からの出馬を辞退した。
 彼は1990年、CJRPラジオの番組「アクション・リアクション」において、当時起こっていたモホーク・インディアンによる交通封鎖「オカ事件」について、「軍隊を派遣して一掃すればいいんだ。50人、100人、125人殺せば、それでおしまいだ」と語っていた。
 ところが今回の立候補にあたり彼は、先週初めにケベックの新聞「ル・ソレイユ」紙のインタビューを受けていたが、その席で「軍隊導入が危機を解消した」「もし当選したら、カネサタケの地下マフィア一掃のため尽力したい」と語ったことが世論の反発を買った。
 10日には発言の訂正を余儀なくされたが、「立候補を辞退するつもりはない」と表明し、11日にはヒューロン族酋長とともに謝罪記者会見を予定していた。しかし事態を重視したディオン党首が出馬辞退を強く要請し、やむなく了承に至った。ディオン党首は自由党ホームページにおいて「ベダール氏は、先住民に関する自身の意見について、自由党の政策・理念と合致しないと認めた」とコメントした。


写真:オカで睨み合うパトリック・クルティエ上等兵とモホーク兵士のブラッド・ラロック。

争点はケベック:保守党圧勝の可能性も [2008年下院選]

2095170 保守党過半数を阻止(block)できるのは、どうやらケベック連合(Bloc Québécois)だけのようだ。ハーパー首相は7日に総督官邸を訪れ解散を要請したあと、すぐにケベック州に入りケベック市のホテルで演説した。
 「ケベック連合はいつも反対していた。そして手ぶらでケベックに戻って行った。独立はもはや争点ではない。18年前の結党以来、独立運動は少しもゴールに近づいていないではないか」。
 保守党は2006年総選挙で、苦手のケベックで24.6%の得票で10議席を獲得し健闘した。モントリオールは自由党の強固な地盤であり、ケベック連合や保守系のケベック民主行動党は地方で支持されている。つまりケベック連合と保守党は同じ地盤で争っているのであり、2006年に保守党が獲得した選挙区は、ほとんど全てケベック連合の議席だった場所である。 2007年ケベック州議会選挙は、ケベック党が第3党に転落するとともにケベック民主行動党が躍進するなど、独立派・民族派が衰退し保守系の支持が拡大する兆しを見せた。
 保守党は今回選挙において、モントリオール以外の26選挙区で争っており、うち4議席をすでに確実なものにしている。前回獲得した10選挙区と併せ、保守党はケベック州で少なくとも15議席を獲得する見込みである。

 グローブ&メイル紙は、2006年総選挙または最近の補欠選挙において最も接戦となったケベックの15選挙区、オンタリオの20選挙区、ブリテュッシュコロンビアの10選挙区で支持率調査を行った。
ケベック州:保守党32%、自由党24%、ケベック連合28%、新民主党11%、緑の党5%
オンタリオ州:保守党41%、自由党29%、新民主党13%、緑の党17%
ブリテュッシュコロンビア州:保守党45%、自由党25%、新民主党17%、緑の党13%
 これらの45選挙区は、前回総選挙では自由党17議席、保守党16議席、ケベック連合8議席、新民主党4議席だったところである。東部は自由党、中西部は保守党の支持が固いが、争点となる3大州においてはいずれも保守党が大きくリードしており、激戦区がことごとく保守党の手に落ちることは想像に難くない。

 ケベック連合は前回総選挙で、ケベック州において42.1%の得票率で51議席を獲得した。保守党の得票率は24.6%(10議席)、自由党の得票率は20.7%(13議席)であった。世論調査を見る限り、今回ケベック連合が現有議席48を維持するのは絶望的である。しかもケベック連合はケベック州にしか候補者を立てていないため、他党と異なり他州での挽回はできない。30議席を下回った場合、デュセップ党首の責任問題に発展するのは必至だろう。彼は今年61歳になっている。

ハーパー首相が下院を解散、総選挙は10月14日 [2008年下院選]

 スティーブン・ハーパー首相は9月7日午前8時20分(東部標準時)、総督官邸リドー・ホールを訪れ、ミカエル・ジャン総督に下院の解散を奏上した。総督はただちに下院解散の詔勅を発し、10月14日の総選挙を公示した。

 現時点での各党立候補者数は以下の通り。( )は現有議席数。
保守党:300(127)
自由党:276(95)
ケベック連合:72(48)
新民主党:187(30)
緑の党:135(1)
リバタリアン党:41(0)
カナダ行動党:35(0)
ネオ・サイ党:34(0)
マリファナ党:17(0)
クリスチャン・ヘリテージ党:16(0)
進歩カナダ党:2(0)
動物同盟・環境有権者党:2(0)
カナダ先住民党:1(0)
無所属:?(3)

 グローブ&メイル紙調査による政党支持率は以下の通り。( )は議席数。
全国(308):保守党36%、自由党30%、ケベック連合8%、新民主党17%、緑の党8%
東部(32):保守党24%、自由党42%、ケベック連合0%、新民主党17%、緑の党4%
ケベック(75):保守党27%、自由党24%、ケベック連合31%、新民主党11%、緑の党6%
オンタリオ(106):保守党34%、自由党39%、ケベック連合0%、新民主党17%、緑の党11%
中西部(56):保守党59%、自由党18%、ケベック連合0%、新民主党17%、緑の党5%
BCと北部(39):保守党45%、自由党25%、ケベック連合0%、新民主党16%、緑の党3%


 注目はケベック州である。保守党の過半数を阻止するためには、自由党・ケベック連合がここで食い止めなければならないが、自由党はかつての金城湯池ケベック州で保守党にリードを許している。モントリオールは自由党の固い地盤だが、保守党はケベック市界隈のフランコフォン地域で支持を集めている。
 新民主党の支持者は、自由党がピンチになると自由党に投票するという習性があり、自由党は支持率以上に得票することがあるが、今回保守党の楽勝が伝えられた場合、新民主党支持者の得票は得られないかも知れない。

10月14日総選挙か [2008年下院選]

 ジャン総督は9月6日から10日まで北京パラリンピックに出席する予定だったが、8月27日ハーパー首相がそのキャンセルを依頼したため、首相はこの間に下院解散・総選挙の勅許を得るため総督官邸を訪れるのではないかという噂が駆け巡った。首相官邸スタッフの一人は、匿名という条件で「ハーパー首相が下院解散を奏上する日は9月2日から7日の間で、投票日は感謝祭の翌日10月14日になるだろう」と語った。しかし事情通は、首相が総督に解散を奏上するのは9月7日だと断言した。
 選挙法は選挙期間を少なくとも36日と規定し、投票日はそれ以降の最初の月曜日で、その日が祝日の場合はその翌日に行うものと規定している。10月17日から19までケベック市でフランコフォニー・サミットが開催されるため、10月20日投票日では最も忙しい最後の3日間と重なってしまう。
 だが10月14日投票日は仮庵の祭の初日に当たり、カナダユダヤ人会議はまだ決まってもいない投票日を変更するよう要請している。ユダヤ系住民の多い、トロントのソーンヒル選挙区選出のスーザン・カディス議員(自由党)は「10月14日の投票は不適切で無神経だ」と非難したが、首相官邸筋は「不在者投票すれば済むことだ」と取りあう様子はない。オンタリオ州のマギンティ首相は昨年、投票日がユダヤ教のシェミニ・アツェレットと重なったため、投票日を変更している。

 ハーパー首相は9月15日に再開される連邦議会を間近に控え、議会が機能するかどうかについて野党各党党首と個別に会談している。29日に会談したケベック連合のデュセップ党首は、野党がこれまでハーパー政権と合意できる領域を探してきたことで少数政権が2年半も存続しえたのだと指摘し、
「たとえ野党が多くの問題に関し協力的になったとしても、総理は解散・総選挙に向けて邁進しており、解散するためにはどんな口実でも見つけるだろう。国民にとって最善の利益を探す以前に、総理は自党にとって最善の利益となる総選挙を求めている。総理は選挙がしたいのだ。以上」
と吐き捨てた。
 30日に会談した新民主党のレイトン党首は、議会で優先的に取り組むべき事項として経済、ヘルスケア、環境、食品の安全とリステリア症の4つを挙げたが、
「総理は辞職したがっている。私は総理に、そんなに辞職したいなら、これらの懸案を解決することに失敗したと国民に説明した方がいいと言った」
と語り、
「もし私が首相だったらするであろうことを、ハーパー首相はする意志があるとはまるで感じられなかった」
と首相官邸前で語った。
 この発言を受けて首相広報のコリー・テニーク氏は、
「新民主党は今国会において、内閣不信任動議では一貫して賛成してきた。レイトン党首は政府と同じ立場にない」
と発表した。

 ハーパー政権は、4年ごとの秋に総選挙を実施する「選挙日固定法」を昨年成立させている(http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2007-05-04 参照)。この法律は2009年10月19日の選挙を約束するもので、このとき首相は「政府は早期解散・総選挙を求めていないことを明確にしたい。議会はいつでも内閣を不信任して、選挙を早期に実施することができる。もし野党が無責任に望むならば」とコメントしており、ここで解散・総選挙に打って出るならそれは公約違反と受け取られても仕方がないだろう。ハーパー首相が党首会談を行っているのは、これを紛糾させ解散・総選挙を実施する口実にするつもりなのだろうか。首相は、選挙日固定法は多数政権のみを想定したものだと強弁しているが、オタワ大学で法律を教えるエロール・メンデス教授は、ハーパー首相が下院を解散するのは憲法上疑義があり「あらゆる解散・総選挙を誘発する行為は、あらゆる法廷闘争を誘発することになるだろう」と語った。

 自由党のディオン党首は、多忙なため9月8日の補欠選挙より前には党首会談に応じられないとしているが、首相官邸筋はディオン党首を無視して、その前に解散・総選挙に打って出ることをすでに決意している。

解散の 秋風誘う 補選かな [2008年下院選]

 スティーブン・ハーパー首相は8月中旬のニューファンドランド&ラブラドル訪問の際、「下院は機能不全に陥りつつある。私は下院が機能するかどうかについて、近いうち審判を下さなくてはならない」とコメントしたため、オタワは一気に解散風が吹き荒れる展開となった。ハーパー首相は、下院で与党過半数割れの状態に2年半も耐えてきたが、安定政権樹立のため総選挙に打って出ようというのである。首相は野党3党の内閣不信任で総選挙を強制されるくらいなら、自ら解散権を行使するのではないかという憶測が飛び交っている。首相は近く野党各党党首と、下院が機能するかどうかについて個別に会談すると明らかにした。

2050163 来る9月、オンタリオとケベックで4つの補欠選挙が行われる。この補選は総選挙の前哨戦と見られており、主要4党がそれぞれ何議席獲得するかがその後の政局を大きく左右するものと見られている。
 オンタリオ州ゲルフ選挙区は、自由党のブレンダ・チャンバーレイン議員の辞職に伴う補選である。保守党は2007年3月にブレント・バーを候補に公認し、ゲルフ市会議員でカナダ地方自治体連盟代表のグロリア・コバックは公認に漏れたが、その後彼女がカナダ地方自治体連盟代表を更迭されたことへの抗議が殺到し、保守党はバーの公認を取り消しコバックを公認した。自由党候補の弁護士フランク・バレリオットは苦しい戦いになりそう。
2050168 ケベック州サン=ランベール選挙区は、ケベック連合のマカ・コット議員の辞職に伴う補選である。この選挙区は自由党とケベック連合が接戦を繰り広げて来た。自由党は元検事総長のロクセーヌ・スタナーズを候補に立てて必勝の構え。
 モントリオールのウェストマウント=ビル・マリー選挙区は、自由党の前副党首ルシエンヌ・ロビヤール議員の辞職に伴う補選である。この選挙区創設以来、彼女が10年以上4期にわたり独占してきた鉄板選挙区であり、カナダ初の宇宙飛行士である自由党のマルク・ガモー候補の優位は動かないだろう。
 トロントのドンバレー・ウェスト選挙区は、自由党のジョン・ゴッドフリー議員の辞職に伴う補選である。彼が1993年から独占してきた選挙区だが、保守党の支持も一定数あり侮れない。この選挙区だけ投票日が9月22日となっているのは、保守党は4つのうち1議席取れればいいのに対し、自由党は4選挙区全てを戦うことになるため、選挙法で補選は欠員が生じてから47営業日以降でないと行えない規定を利用して、ゴッドフリー議員の辞職を8月1日まで先送りし、この選挙区だけ遅らせたのである。
 新民主党は俳優デビッド・スパローを候補に立てているが、投票日が9月22日となっているため、補選は実際には行われないものと思われる。

2050162 4つの選挙区のうち3つは自由党の選挙区だが、新民主党はどの選挙区も苦しく、1勝すれば大勝利である。ケベック連合はケベック州の2選挙区にしか候補を立てないから、1勝すれば勝利と見なすだろう。保守党は現有1議席もないのだから、やはり1勝以上で勝利と見なすはずだ。自由党は難しい立場だが、全勝も夢ではなく、その場合は一気に解散に打って出ることも考えられる。ウェストマウント=ビル・マリー選挙区は鉄板で、ゲルフ選挙区は苦戦、ほかの2選挙区は接戦となるだろうが、3勝なら勝利、2勝なら敗北だろうか。自由党の敗北は即ち保守党の勝利であり、やはりどう転んでも総選挙突入は避けられそうにない。何しろ野党は過半数だから、与野党双方から解散・総選挙を仕掛けられるのである。

 だがここへ来て、9月冒頭の解散説もにわかに信憑性を増して来た。補欠選挙で有権者の動向を見てから解散・総選挙に打って出るのでは、補選が当選者にとっても選挙民にとっても無意味となるからであり、補選を待たずして解散・総選挙に打って出る可能性を、ハーパー首相は否定はしていない。
 ミカエル・ジャン総督は北京パラリンピックのため、中国に9月6日から10日まで滞在する。そのため、この間に総督官邸を訪れ解散の勅許を得ることはできない。解散は早くてもレイバーデーの後で、遅くともアメリカ大統領選の前になるというのが事情通の見方である。大統領選でオバマが勝利すれば、「チェンジ」旋風が吹き荒れ自由党にとって大きな追い風となるからである。
 ここへ来てハーパー内閣の閣僚たちが、秋の予定をキャンセルしているという情報がオタワを駆け巡った。ジャン=ピエール・ブラックバーン労働大臣は、緊急の閣議があると告げられたため来週の英会話レッスンの予定をキャンセルしたと口をすべらせた。

 ケベック連合のジル・デュセップ党首は「すでに始まっている補選に先んじて解散するのは失礼で無責任だ」と吐き捨てた。
 自由党のステファン・ディオン党首は「議会が機能していないという総理の言い訳は嘘である。真相は、ハーパー政権がいくつかの倫理問題を抱えていることや、我々が景気後退に直面しているということに国民の目が向くことを総理が望んでいないということだ」と語った。
 新民主党のジャック・レイトン党首は、「総理は議会の召集に応じる義務がある。もしも総理が、議会の召集に応じ議会に何ができるかを見ることもなく解散の大権を行使するなら、総理は民主主義と、少数政権を与えられたという民意を侮辱することになるのだ。」とコメントした。

 総選挙の焦点は、与党が単独過半数を取れるかどうかである。そこで議席の27%を占めるケベック州において、ケベック連合が何議席獲得するかが重要となる。もしもケベック連合が40議席以上取るようだと、保守党・自由党いずれが勝利しても過半数割れとなろう。保守党はケベック州ではこれまでケベック自由党を支援してきたが、昨年の州議会選挙で保守系の民主行動党が躍進したため、次の総選挙では保守党は民主行動党を足がかりとして攻めて来るに違いない。前回総選挙で保守党はケベックで10議席と食い込んで健闘したが、次回もケベックが重要な鍵となるだろう。


写真上:グロリア・コバック候補。
写真中:マルク・ガモー候補。
写真下:ドンバレー・ウェスト選挙区にて、自由党のロブ・オライファント候補(左の男性)とステファン・ディオン党首(右の男性)。
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