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交渉の余地を排した保守党党首選 [保守党]

 カナダの党首選は伝統的に、誰かが過半数に達するまで候補を足切りしながら投票を重ねる方式が採用されてきたが、今回の保守党党首選では、独特な方式で行われる。
 まず党員は、全ての候補に順位をつけて投票する。338の選挙区支部には100ポイントが割り振られており、各候補は党員の投票結果に比例して得点する。そして誰かが過半数の16901ポイントに達するまで、下位者の足切りが行われ再集計される。
 従来の方式と最も異なることは、投票は1回のみであり、投票を重ねるごとに脱落する候補者の票を得るための交渉の余地がないことである。候補どうしの協定は、ただ一度の投票の事前になされる必要がある。
 党首選に勝利する一つの方法として、「当たって砕けろ」戦略がある。これは、脱落する他候補の票の取り込みを考慮せず、演説では言いたいように言って、1回目の投票で過半数を獲得し電車道で圧勝することを目指す戦略である。この戦略だと、他候補に気がねする必要がないので演説の歯切れはよく、公約も明確だが、1回目の投票で誰も過半数を獲得できなければ本命不在の混戦になることから、勝つためには脱落する候補の票の取り込みが重要となるが、他陣営に配慮せず好きなように言ってきた候補は、行き詰るだろう。
 今回の保守党党首選は、10人以上が立候補しているが、本命がいない。資金面で優位に立っているケリー・リーチ氏が、あえて特定の人々を敵に回す「カナダの価値」論争を仕掛けているのは、1回目の投票での過半数獲得を目指しているのだろう。しかし敵を作りすぎると、脱落した候補の票の取り込みが難しくなる。
 本命不在の混戦を勝ち抜くには、他候補との協定が重要となる。脱落した候補の票を取り込むため、ポストを約束したり、選挙費用を負担したりすることはよくある。それとは別に、他候補を指して「自分が敗退したらあの人を支持する」と表明することもある。
 2011年のアルバータ進歩保守党党首選では、アリソン・レッドフォード候補が「ダグ・ホーナー氏が次善の候補だ」と公表した。ホーナー候補もすかさずこれに応じ、2人の提携が成立した。レッドフォード候補は、先に敗退したホーナー候補に支援されたことで、当選し首相になることができた。
 2006年の自由党党首選では、マイケル・イグナティエフ候補とボブ・レイ候補が有力視されていたが、ステファン・ディオン候補は、政策的に近いジェラード・ケネディ候補との間に、先に脱落した方が相手を支持するという協定を結んだ。それで1回目の投票は3位で通過したダークホースだったにもかかわらず、最終的に当選できた。イグナティエフ候補とレイ候補は大学時代からのライバルで、互いに意地を張り合った結果、漁夫の利をさらわれてしまった。
 このような伝統的な方式は、投票を重ねるたびに交渉しコンセンサスを得ていくことになるが、党内のコンセンサスを得る資質は、総選挙での勝利に必ずしもつながるとは限らない。ディオン氏は弱いリーダーとみなされ、総選挙で大敗し辞任に追い込まれた。レッドフォード氏は総選挙には勝利したが、首相として2年しかもたなかった。
 保守党が求めるべきは、嫌われないリーダーではなく強いリーダーであり、勝てるリーダーである。ただ一度の投票で決し、交渉の余地を激減させた新しい方式は、その決意の表れなのだろう。
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