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総選挙投票始まる:自由党10年ぶり政権奪回へ [2015年下院選]

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 戦後最長の選挙戦は終わり、カナダではすでに投票が始まっている。あらゆる世論調査は、自由党がカナダの政治史上初めて第3党から政権奪取し、ジャスティン・トルドーが初めて親子で首相になることを示している。
 スリーハンドレッドエイト・コム社は10月18日、8社による世論調査の結果から、各党の獲得見込み議席数を自由党137(118~157)、保守党122(99~139)、新民主党73(58~92)、ケベック連合5(1~12)、緑の党1(1~1)、その他0(0~1)(定数338議席)と発表した。
 世論調査は、投票日当日に発表することは禁止されている。18日朝までに発表された8社による世論調査について、自由党は17回連続でトップに立った。そして1社を除く全社の調査で、自由党は誤差の範囲を超えて「有意な」リードを保っている。
 選挙戦の序盤ではマイク・ダフィー上院議員の公判があり、保守党は支持率を下げ、かわって新民主党が過半数を獲得する勢いを見せた。自由党は選挙戦を、3位から始めることになった。ところが選挙戦中盤にはニカブ論争が巻き起こり、ケベックで新民主党が支持を失った。その隙に、自由党はフランコフォン有権者を味方につけケベックで支持率トップに立ち、ケベックから締め出されていた保守党は議席を倍増できそうな位置につけた。そして議席獲得が絶望視されていたケベック連合は支持率を取り戻し、片手で足りるほどの議席を獲得し、組織を維持できそうだ。
 オンタリオは、かつては自由党が100議席を保持した金城湯池だったが、近年は3党が接戦を繰り広げる激戦地である。自由党はこのオンタリオにおいて、2011年総選挙ではかなり多くの選挙区で惜敗した。予想を超えたおびただしい数の取りこぼしは、保守党に過半数を許す原因となったが、ひとたび有利な風が吹けば、自由党がそれらの失地を回復することは難しいことではない。自由党は世論調査では、最大の票田オンタリオでも保守党に12ポイントの差をつけている。
 自由党は主戦場の中部で支持率トップに立ち、苦手のアルバータでも11年ぶりに議席獲得できる勢いを示し、東部でも大きなリードを保っている。そして世論調査によると、有権者の3分の2が変化を求めている。自由党の政権奪回は、ほぼ確実な状況といえる。
 だが、自由党の保守党に対するリードは7ポイントで、絶対的なものではない。最大の獲得見込み議席において、自由党は保守党を下回っている。
 また高齢者ほど投票率が高く、高齢者に保守党支持者が多いと言う指摘もある。選挙管理委員会は、2011年総選挙において、55歳以上の有権者の70%以上が投票したと発表した。いっぽう35歳未満の有権者は、その半分以下であった。
 一部の批評家は、今年イギリスの総選挙で予想に反し保守党に過半数を与えた「シャイ・トーリー」の存在を指摘する。それは、他人の評価を気にするあまり世論調査で本音を言わない保守主義者のことである。
 だが自由党には勢いがあり、ここ3週間で毎週2ポイント程度支持率を上げている。いっぽう保守党は、支持率に変化が見られない。そして「誰が首相にふさわしいか」というアンケートで、トルドー党首はハーパー首相を大きく上回っている。

 与党保守党はおそらく、総選挙に勝利できないだろう。できたとしても、内閣不信任を免れない。そしていずれの場合でも、ハーパー首相は党首を辞任するだろう。党首選が開催されることになるが、最も有力な後任はジェイソン・ケニー国防大臣である。ハーパー首相は後継者の育成を怠り、ジム・プレンティス氏、ピーター・マッケイ氏、ジョン・ベアード氏ら多くの側近を引退に追い込んだ。
 カナダ同盟のハーパー党首と進歩保守党のマッケイ党首が2003年、保守合同(実は前者による後者の吸収)に合意したとき、新党の党首にはハーパー氏が就き、マニフェストは両党のものをつぎ足したようなものになった。ところがカナダ同盟の人々は進歩保守党に党を乗っ取られたと言い、進歩保守党の人々はカナダ同盟に魂を売り渡したと言って、不思議なことに両者とも不満をこぼした。両派の微妙な舵取りは、ハーパー氏が党首だったからできたことであり、党首が変われば再びカナダ同盟時代の極右に戻る可能性もある。カナダ保守党が与党たりえたのは、オンタリオに存在する膨大な数のレッド・トーリー(穏健保守)が、極右のカナダ同盟を嫌い自由党に投票してきたのを、カナダ保守党にスイッチしたのが原因であり、ひとたび極右の政策に戻れば、彼らは再び保守党を離れる危険性がある。現に、「最後の進歩保守党」マッケイ氏の引退により、保守党は東部での議席獲得が困難になっている。

 今日、カナダで歴史が変わる。若いトルドーをリーダーに据えた自由党が、10年ぶりに政権を奪回する。その政権は不安定なものになるだろうが、保守政界の再編を誘う可能性を秘めている。
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YUKI

高橋さん、
ブログにコメント頂きましたYUKIと申します。個人的にメッセージをと思ったのですが、方法が分からず、こちらにお邪魔します。

私のブログにもコメント返しとして記載したのですが、
高橋さんのブログ、ちょこちょこ拝見しておりました。上手くまとめておられたので、記事を書く時に参考にしました。もし、「パクリだぁー!」と思われる様な不快な書き方でしたたら、削除致します。もしくは、高橋さんのブログをリンクとして貼ってもよろしければお知らせ下さい。

関係ないですが、高橋さんのブログ、全部は読んでおりませんが、カナダの事、勉強になります。

(なお、このコメントは即、削除して頂いても結構です。お邪魔致しました。)


(尚、こコメントもお邪魔でしたら、即、削除して頂いて結構です。)
by YUKI (2015-10-20 06:08) 

高橋幸二

きのうは一日中カナダの選挙情報を集めていたので、返信が遅くなりました。
私もカナダの新聞社サイトからパクりまくっているので、パクるなとは言える立場にありません。リンクを貼って宣伝していただければ幸甚です。
このブログ、14年もやってるんですね。私のブログは8年で、その間に総選挙を3度経験しました。
by 高橋幸二 (2015-10-21 13:04) 

YUKI

高橋さん、お忙しい時にお返事ありがとうございました&お疲れ様でした。(それも、私のコメント、重複、誤字多、、、すみません。)お言葉に甘えてリンクを貼らせて頂きました。

選挙終わりましたね。結果まで起きてられず、緑の党に1議席入る前に寝てしまいました。。。ま、すでに自由党がグンを抜いており、こんなに大差で勝つとは、ちょっと意外でした。カナダも風向き変わるかなぁー?!

(ちなみに、「日本人の反応はどんなもんやろ?」っと某SNSニュースのコメントを覗いてたら、誰かのコメントにコメント返ししている高橋さんを発見。ネットの世界って狭いですねー:))

by YUKI (2015-10-22 11:50) 

高橋幸二

ミクなんとかというサイトで、ハーバーなんとかという人ですね。
こういう↓コミュもやってます。
http://mixi.jp/view_community.pl?id=1611536
こっち↓のトピックもおもしろいですよ。
http://www.e-maple.net/bbs/topic.html?no=35064&rno=1
by 高橋幸二 (2015-10-22 18:28) 

YUKI

『カナダの歴史と政治について、脳がウニになるまで語り合う超絶悶絶コミュニティ』、、、もう初っぱなからお腹がよじれます。マニアックですね。「コミュニティーのルール」もナイスです。

私は、たまにお勉強しに覗きに来ますね。

by YUKI (2015-10-29 09:42) 

高橋幸二

http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2008-12-15&pagename=nice
「日本deカナダ史」の名前も、実はパロディだったりします。「日本でカナダ情報を発信するdescriptiveな元記者のブログ」も、かなり意識しています。
by 高橋幸二 (2015-10-30 05:17) 

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