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トロント市長選の衝撃 [オンタリオ]

 トロント市長選で、既成政党の支持を持たない「草の根保守派」のロブ・フォード候補が当選したことは、各方面に衝撃を与えている。何より驚くべきことは、カナダで最も多くの移民を抱えているこの街で、彼に投票した外国生まれの有権者が、カナダ生まれより20%も多かったという事実である。カナダの最も保守的な街でビジブル・マイナリティの市長が選ばれた直後に、最もビジブル・マイナリティの多い街で保守的な市長が選ばれたのだ。

 トロント市長選の結果について、クリス・フロガット氏は、
「教育・所得水準のあまり高くない中高年世代が、手厚い老人のケアと児童福祉の間に挟まれ、自分たちが負担した税金が自分たちのために使われることなく、ただ住宅ローンにあえいでいる中、高級取りのエリートが税金の使い途を決めていることへの敵意こそ、フォード候補勝利の原動力である」
と分析した。
 ナビゲーター社のロビン・シアーズ氏は、
「彼らは政府を、税を増やしてサービスを拒否するだけの障害としか見ていない。彼らの主な関心は、税金ではなくむしろエリートとの距離だろう。彼らは尊重されない、そして忖度されない。これこそが、カルガリーとオタワで変革を招いた有権者の感情そのものである。そして皮肉にも、この感情がトロント市民を政治に引き戻したのだ。自由党はもはや、困ったときの相談役としてこの街を保持できなくなるだろう」
と語った。
 いっぽうディミトリ・パンタゾプロス氏は、
「トロント市長選は最終的に、有権者が聞きたかった『単純で効果的なメッセージ』の局面に移行した。それは『抑制と変革』である。」
と述べた。
 またEKOSリサーチ社のフランク・グレイブス氏は、
「単純化されたメッセージと感情を織り交ぜて発するのは、リベラル・エリートがやってきた手法であり、世論調査は新しいタイプの右派ポピュリズムが、古いエリート主義に代わって支持されていることを示している。」
と分析した。

 投票日の前日、多くのメディアが、フォード候補とスミザーマン前オンタリオ副首相(自由党)の接戦と報じていたのに対し、EKOSリサーチ社は支持率をフォード候補48%、スミザーマン候補33%と発表し、フォード候補圧勝を予想した。インターネットによる世論調査は、フォード候補を最も強く支持した、中高年の、所得・教育水準の低い(メカに弱い)有権者の意見を集約できなかったのである。アメリカで台頭する「ティーパーティ」運動が「ネット右翼」と見られているのに対し、フォード候補に投票し変革を求めた「小さな政府」主義者は、ネット上に現れなかったのだ。

 連邦自由党の事情通は、フォード候補を勝利に導いた政治勢力に順応すべく、低所得世帯への税控除や、児童ケアなどの政策を放棄する戦略立て直しにかかっていると明かした。しかし自由党のイグナティエフ党首は、フォード候補の勝利をハーパー政権への警告とみなし、記者団にこう述べた。
「トロントにおける今年最大の浪費は、サミットでの13億ドルの出費である。浪費について目を覚ますべき人は、ハーパー首相の方だ。」
 いっぽう保守党のジョン・ベアード下院院内総務は、フォード候補の勝利は保守党の橋頭堡たりえるという楽観的な分析を否定はしなかったものの、これを自分を含む既成政治勢力への警告と受け止めた。彼は、
「これはあくまで地方の選挙であり、そこからあまり多くの教訓を引き出すべきではないが、トロントの有権者が納税者に敬意を払ってほしいと感じていたことは、明らかだと思う。」
と述べ、政治家は「より安い税と、納税者へのより多くの敬意」というフォード候補のメッセージに、耳を傾けなければならないと主張した。それからフォード候補の選挙運動について、賞賛の言葉を贈った。
「フォード候補は、驚くべき選挙運動を実行した。彼は強くて単純なメッセージを発し、それを警告し続けることで有権者の家にまで持ち込んだのだ。」
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