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せめて世界が燃えゆく前に [本]

なんかそろそろ日本語の読みたい本がなくなってきたかもしれない。どうしよう。

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冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

  • 作者: 辻村 深月
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/08/11
  • メディア: 文庫


なんか久しぶりにミステリ読んだです。数年前にメフィスト賞をとったらしいです。
雪の日に校舎に閉じ込められた生徒8人。無人の校舎の中、5時53分でとまった時計。彼らはやがて、学園祭の最後の日に自殺した級友のことに思い至るが、どうしてもその顔と名前が思い出せなくて……っていうどこかで聞いたような話ですが。
雪山の山荘ならぬ吹雪の中の校舎、というクローズドサークル! いいねえ!
読めばわかるけれども、ちょっとSF風味が入った変化球の本格モノ?という感じ。(序盤に明らかになるから書いちゃうけど、8人が閉じ込められてて、校舎が無人な理由はレベルEの高校野球のネタにもあったアレなのです。)しかし変化球なりに推理も可能だし、解答編の前に解答用紙が挟まってたりして、なかなかマニア心がくすぐられます。
ロックドルームはないけれども、「ホスト」の手によって8人が追い詰められて、一人ずつ減っていくさまは、大名作「そして誰もいなくなった」を思わせる緊迫ぶり。最初の一人がいなくなるシーンは中々壮絶で、思わず背筋が寒くなりましたよ! ちょっと長すぎるけどね!いらない箇所いっぱいあるけどね!それはまあデビュー作ってことで。
思えば学園ってのは、それだけで孤立して閉ざされた価値観の状況下なわけで、それだけでクローズドの密室みたいなものかもな。
私が学生のときも、何かいろいろあって自殺未遂しちゃったりする子もいたけど(大人になってからもいるけど)、もっと先に遠くに見るべきものを、もっとそんなのどうでもよくなるくらい夢中になるものを見つけられたらよかったのにと思うよ(それが難しいから死んじゃうんだろうけどさ…)。でもみんな卒業して大学生になったりしてめっさ自由を獲得したら、「あんな小さい世界で、しかもたったの3年間で、何を気に病んでたんだか」って気分になるもんね。誰でもほっといたらイヤでも大人になるんだし、そしたらどこにでも行けるのに、何にでもなれるのに。ってそういうニュースとかみてても思います。
え、私の推理ですか? もちろん外れましたが何か?
××××と×××が××××だ、ってとこまでは気づいたんだけどなー。(それいつも言うせりふ)




六番目の小夜子 (新潮文庫)

六番目の小夜子 (新潮文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2001/01
  • メディア: 文庫


どういうわけか学園モノブームなんです。いや、わたしが。
第何回だかの日本ファンタジー大賞の佳作だったそうです(ちなみに大賞は↓の佐藤亜紀のバルタザールの遍歴)。
テレビドラマとかにもなったんだよね?六番目の小夜子。恩田陸はタイトルがいちいちカッコいい。
学園に伝わる「サヨコ伝説」ってのがあって、そこに現れる超美少女の転校生沙世子と仲間たちのこそばゆい一年の物語(ちがくね?)
わけのわからん噂と恐怖に振り回される少年少女の閉ざされた価値観の中で生きている感じがなつかしい。
でもなんかぬるいんだよな。面白いんだけど。登場人物がみんななんとなくおっさんおばさん臭い感じも含め。大人が懐かしんでる小説って感じがして、思春期特有のピリピリした感じとかがあんまりない。そんでまたオチがなんとも…。恩田さんはこういう雰囲気チックなオチなの多いよね。。
あ、学園祭のお芝居のシーンはよかったです。



バルタザールの遍歴 (文春文庫)

バルタザールの遍歴 (文春文庫)

  • 作者: 佐藤 亜紀
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2001/06
  • メディア: 文庫


日本ファンタジー大賞とった佐藤亜紀のデビュー作。
「ひとつの体を共有する双子の没落貴族、メルヒオールとバルタザールが、大戦期のヨーロッパをどこまでも堕ちていく」って、そのあらすじだけで「なにそれ!」って思って読み始めたのでした。萩尾望都の「半神」みたいなかんじかな?と思ったけど全然ちがった。これは説明しにくい小説だなあ。スティーヴ・エリクソンの『黒い時計の旅』を思い出した。奇妙な浮遊感ととんでも設定をもって欧州の史実にそって、ファンタジーをやり遂げるところとか。そのくせものすごい緻密な描写と世界観の構築で、寸分の隙もないところとか。
とにかく当時のオーストリア文化の描写がすごい。家が何風のつくりだとか、飾ってある壁画がどんなだとか、カフェにどんな客がたむろしてるとか、没落貴族の気位を示すエピソードとか、ドイツに併合されたとたんにヒトラーかぶれになる友達とか、「何でそんなことまで知ってんの?」って思う事柄がつぎつぎ出てくる。これを二十と余年で書いたっていうんだから、本当に御見それします。
怒涛の描写で圧倒されますが、物語自体は簡素すぎて、構成がいまいちこなれてないなーと思いました。兄弟が某かの悪意によって翻弄された後、最後に出てくる黒幕の男がいるんですが、「ははは久しぶりだねメルヒオール」って悪人面して出てこられても「こいつ誰だっけ?」って感じで。最後に「私が犯人ですはじめまして」って出てくるのは…ていう。最後の対決も、船に落ちるのも、無理やり小説を収集されるためっぽくて、ドラマになりきれてないのが残念。
まあ佐藤亜紀自身が「小説は物語ではなくて記述」と言ってるので、そういうことなのかもしれません。物語作家の↑の恩田陸とは対照的かな。
佐藤亜紀はまちがいなくいま日本で有数の骨太の作品が書ける作家さんだろうと思う。作品の内容をみても、そりゃあ大賞はこっちにあげたくなるだろう。けどもたぶん総合売り上げとかは恩田陸のほうが圧倒的に上なんだろうな。うーん。
物語と記述、興味深いテーマですね。



エレンディラ (ちくま文庫)

エレンディラ (ちくま文庫)

  • 作者: ガブリエル ガルシア・マルケス
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1988/12
  • メディア: 文庫


エレンディラを読もうと思ったのは、やなぎみわさんっていう人形作家の人の作品「エレンディラ」を観たからなんですが。
http://www.yanagimiwa.net/fairy/index.html
桜庭一樹さんの「七竈と七人のかわいそうな大人」にも似てるよね。って。それで、ひどい大人(おばあちゃん)とかわいそうな美少女っていいな、って思って。
私は翻訳モノ読むのが苦手なんですが(だいたいの訳者は作家ではないので文章がへたくそで、訳す過程でその小説の言語以外の「なにか」を取りこぼしてしまっている。)しかし、そんな言葉の壁を飛び越えてぐいぐい読ませてしまう確固たる「小説の力」、というものがやはりあるのだなあ、とガルシアマルケスの小説を読んでいるとひしひしと感じるのです。面白いんだわ。
年端もいかない美少女孫娘エレンディラを売春婦として働かせる、悪女なおばあちゃんは、しかし孫娘のことを彼女なりに愛しているんですね。それで、私はタイの象と象使いの関係を連想しました。
タイで、象使いは象に芸を仕込むために、鞭でぶって痛い目にあわせるんですが、それを見かねた人が「どうしてそんなひどいことをするんだ?」とたずねると、象使いは「今回は私の番だからだ」と答えるのです。「来世では、私が象になり、彼が象使いになる。我々の魂は入れ替わり、彼が私を打って芸を仕込む。それを何度も何度も何度も繰返すのだ。それが我々の絆なのだ」、と。



グラスホッパー (角川文庫)

グラスホッパー (角川文庫)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/06
  • メディア: 文庫


はじめて伊坂幸太郎さんを読んでみたんですが。
すごくよく書けてて文章もうまいし、構成もおもしろいし、政治家を自殺させる「鯨」とか、やたらとロッカーの台詞を引用したがる事務所のモト締めとか(名前忘れた)人物も魅力的なんですが、が。
なんですかねえ。なんでしょうこの健康ぶり。うーん。
主人公は殺された奥さんの敵をうつために復讐しようと殺し屋の世界に足を突っ込むんですが……なんていうか主人公はじめ全体的に健康的すぎるんです。もう休日の午前中からテニスとかしそうなくらいに思想も体も健康的。奥さんの思い出もいたって健康的。なんなの? なんでセックスのこととか思い出さないの?(すみません)。伴侶が殺されてなお、そんな風に何も歪まずに坊ちゃん然としてられるもんか?
少なからず人の生死がかかわっているのに、ドロっとしたとことかゾクっとするとことか、人の恐ろしさとか醜さ、やるせなさみたいなもんが欠片もなくて、なんだかなあ、という気分に。
奥さんを殺したやつらはろくでなしで悪、僕は僕で正義をなす。ああそうですか。いろいろあったけどハッピーエンドで僕はまた前向きに生きていく……ってなにそれ自分さがし?男はこれだから…。



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