野田MAP・パイパー [舞台]
みたのでしれっと更新。
以下雑感。
ネタバレがいやなひとはよまないでね。
* * *
野田さんの初SFモノだそうです。
謎の機械?「パイパー」とともに火星に移住した地球人たちの話。
それから1000年の時を経て、みるかげもなく荒廃した火星を生きる姉妹、
妹ダイモス(松たか子)と姉フォボス(宮沢りえ)が主人公。
いったい、火星には何がおこったのか?
劇中で大きくテーマとして取り扱われていたうちの1つ「幸福値」。
天気予報や政治、健康や文化と同じように、
「本当は実態のないものなんだけど、数値にしてみたらそれっぽく感じるよね」的な
人々の幸福の度合いを数字にしちゃったよ、っていう、移住した地球人が開始した仕組み。
火星移住時の「777」から始まり、それの数値の上下に人々は一喜一憂し、
盲目的に、0になるのを恐れている。
そしてもうひとつが「何を食べるのか」。
火星では食物を自生できないので、皆人口食料を食べていて
野菜、植物を食べることを汚らわしいこととし、「ベジタリアン」として、嫌悪したりしている。
ちょうど今、鯨とかをめぐってやりあってるのと同じような現象が、舞台上でも行われる。
しかし、やがて地球が滅び、火星が地球の援助をえられない危機的な状況に陥ると、
食べるものがなくて、最たる禁忌に手を伸ばす者がいる。
つまり「人間」を食べる。
結局、戯曲のつまりは「なにを食ってもおなじ」ということで、
それに勝手な意味や理屈をつけているのは人間のほうだ、といっていたのかな。
こんにちでは一種リベラルな姿勢(宗教で行っている人意外)であるように見えるベジタリアンでも
立場と環境が違えば、鯨を食ってるのとおなじ扱いを受ける。
数字もそれと同じで、勝手に意味をつけているのは人間のほうで、
その勝手に構築した意味と価値の中で、お互いに戦ったり罵りあったりしているのは、
大変愚かなことである、しかし人間とはそうせずにおれないものでもあるのだろう、と
私はそういうメッセージを受け取った。
「食べ物をあれこれ選んだり、それ以外の意味づけするのは贅沢。
たとえば戦争時代では、生きるだけで精一杯で、そんなぐだぐだ言う余裕なんかなかった」
という意見をこういう場合に良く聞くけれど、それはナンセンスで
文化や生活習慣が安定して、豊かな時代になったからこそ
芸術や創作物が生まれるように、こういったデリケートな軋轢も表面化してきたわけで、
ある意味歴史上対面してきた困難や問題の中では、レベルの高い部類のものだと思う。
なので、我々はより人間のステージを上げるような答えを考えなくてはならない、と。
「鯨食うのは文化の差だし」
って言い切ってしまうのもまあそうなんだけども
じゃあ人間食う民族が現れておんなじこと言い張ったときどうすんの? という。
そのときに我々はなにか発信すべき言葉やアティテュード?のようなものを持っていようよ、
ということなのだろう。
きっと人間が今後相対していくのは、こういった形而上的な問題なのだろうと思う。
野田さんは、そういった文化や価値のふり幅があるなかで、我々はどこに視点を定めるべきか、
というような一種の問いかけを示していた。
こういう問題は、おそらく日本以外でのほうが訴求力のあるテーマかも。
海外で草の根的に活躍している野田さんならではか。
――で。
まあ、テーマ云々はともかくとして、
物語としてはいまいちだったなあ、というのが感想。
食べる、といった身近な現象を扱っているのに、火星とかパイパーとか
いまいち感情移入しきれないギミックが多かったからじゃないかなあと思うんだけど。
あと、野田脚本では珍しく、主人公が行動しない。
今までの野田芝居だと、国とか動乱とかなんか壮大な背景があって、
その中で奔走したり画策したり、っていう主人公がいて
なんかヒロインと運命的な出会いをして、
事件に飲み込まれながら、いろんなパラダイムが交錯していく……、ってパターンなんだけど
今回主人公のダイモスは、過去のシーンを断片的に見せられるだけで、
事態をどうにかしよう、とか何もしないんですよね。
それが最後までなんかドラマ感が薄いような気がした由縁なのではないかなあと……。
ラストの無理やりハッピーエンド感もなんかなあ……と……。
そうせざるをえない、って感じなんでしょうかね。最近の時勢とか、いろんな意味で。
同じようなテーマを扱っているけど、寓話として綺麗にまとまっていた『赤鬼』のほうが
数段よくできていたような気がする。
あ、役者さんはほんとみなさんすばらしかったです。
松たか子は相変わらずみずみずしい会場の支配力がありましたし
宮沢りえも、気が強い役だったので、演技にブレがなくて安心してみてられました。
大倉孝二も相変わらずおもしろいです。
でもなんか偏差値が高そうな野田芝居はやりづらそうに見えたのは私だけでしょうかw
以下雑感。
ネタバレがいやなひとはよまないでね。
* * *
野田さんの初SFモノだそうです。
謎の機械?「パイパー」とともに火星に移住した地球人たちの話。
それから1000年の時を経て、みるかげもなく荒廃した火星を生きる姉妹、
妹ダイモス(松たか子)と姉フォボス(宮沢りえ)が主人公。
いったい、火星には何がおこったのか?
劇中で大きくテーマとして取り扱われていたうちの1つ「幸福値」。
天気予報や政治、健康や文化と同じように、
「本当は実態のないものなんだけど、数値にしてみたらそれっぽく感じるよね」的な
人々の幸福の度合いを数字にしちゃったよ、っていう、移住した地球人が開始した仕組み。
火星移住時の「777」から始まり、それの数値の上下に人々は一喜一憂し、
盲目的に、0になるのを恐れている。
そしてもうひとつが「何を食べるのか」。
火星では食物を自生できないので、皆人口食料を食べていて
野菜、植物を食べることを汚らわしいこととし、「ベジタリアン」として、嫌悪したりしている。
ちょうど今、鯨とかをめぐってやりあってるのと同じような現象が、舞台上でも行われる。
しかし、やがて地球が滅び、火星が地球の援助をえられない危機的な状況に陥ると、
食べるものがなくて、最たる禁忌に手を伸ばす者がいる。
つまり「人間」を食べる。
結局、戯曲のつまりは「なにを食ってもおなじ」ということで、
それに勝手な意味や理屈をつけているのは人間のほうだ、といっていたのかな。
こんにちでは一種リベラルな姿勢(宗教で行っている人意外)であるように見えるベジタリアンでも
立場と環境が違えば、鯨を食ってるのとおなじ扱いを受ける。
数字もそれと同じで、勝手に意味をつけているのは人間のほうで、
その勝手に構築した意味と価値の中で、お互いに戦ったり罵りあったりしているのは、
大変愚かなことである、しかし人間とはそうせずにおれないものでもあるのだろう、と
私はそういうメッセージを受け取った。
「食べ物をあれこれ選んだり、それ以外の意味づけするのは贅沢。
たとえば戦争時代では、生きるだけで精一杯で、そんなぐだぐだ言う余裕なんかなかった」
という意見をこういう場合に良く聞くけれど、それはナンセンスで
文化や生活習慣が安定して、豊かな時代になったからこそ
芸術や創作物が生まれるように、こういったデリケートな軋轢も表面化してきたわけで、
ある意味歴史上対面してきた困難や問題の中では、レベルの高い部類のものだと思う。
なので、我々はより人間のステージを上げるような答えを考えなくてはならない、と。
「鯨食うのは文化の差だし」
って言い切ってしまうのもまあそうなんだけども
じゃあ人間食う民族が現れておんなじこと言い張ったときどうすんの? という。
そのときに我々はなにか発信すべき言葉やアティテュード?のようなものを持っていようよ、
ということなのだろう。
きっと人間が今後相対していくのは、こういった形而上的な問題なのだろうと思う。
野田さんは、そういった文化や価値のふり幅があるなかで、我々はどこに視点を定めるべきか、
というような一種の問いかけを示していた。
こういう問題は、おそらく日本以外でのほうが訴求力のあるテーマかも。
海外で草の根的に活躍している野田さんならではか。
――で。
まあ、テーマ云々はともかくとして、
物語としてはいまいちだったなあ、というのが感想。
食べる、といった身近な現象を扱っているのに、火星とかパイパーとか
いまいち感情移入しきれないギミックが多かったからじゃないかなあと思うんだけど。
あと、野田脚本では珍しく、主人公が行動しない。
今までの野田芝居だと、国とか動乱とかなんか壮大な背景があって、
その中で奔走したり画策したり、っていう主人公がいて
なんかヒロインと運命的な出会いをして、
事件に飲み込まれながら、いろんなパラダイムが交錯していく……、ってパターンなんだけど
今回主人公のダイモスは、過去のシーンを断片的に見せられるだけで、
事態をどうにかしよう、とか何もしないんですよね。
それが最後までなんかドラマ感が薄いような気がした由縁なのではないかなあと……。
ラストの無理やりハッピーエンド感もなんかなあ……と……。
そうせざるをえない、って感じなんでしょうかね。最近の時勢とか、いろんな意味で。
同じようなテーマを扱っているけど、寓話として綺麗にまとまっていた『赤鬼』のほうが
数段よくできていたような気がする。
あ、役者さんはほんとみなさんすばらしかったです。
松たか子は相変わらずみずみずしい会場の支配力がありましたし
宮沢りえも、気が強い役だったので、演技にブレがなくて安心してみてられました。
大倉孝二も相変わらずおもしろいです。
でもなんか偏差値が高そうな野田芝居はやりづらそうに見えたのは私だけでしょうかw
2009-02-13 06:04
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